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大阪ストラグル第3部009話 「焼肉屋での告白」

「坂井、上手くて安いとこやぞ。俺ら3人で一万円しかないんやからな」

俺はポケットの中に突っ込んである1万円札を確かめるように掴み、坂井と歩いた。後ろからはカッキンがついてくる。

「任せとけ。弁天町のことなら隅から隅まで網羅してる地元民やぞ」

大通りから角を曲がると、だんだんと人手が増えてきた。仕事帰りのサラリーマンのおっさんや、ネギが飛び出たスーパーの袋をチャリの前カゴに乗せたどっかのオカンを横目に、俺たち3人は焼肉屋を目指して進んでいく。

「おっ、着いた着いた」
坂井は躊躇せずに引き戸を開き、店内に入った。焼肉と書いてある赤い暖簾は油まみれで文字がかすかに読み取れるレベルだった。俺も坂井に続いて店に入る。
「おいおい、油まみれやけど大丈夫かココ…」
床も油まみれ。靴の底がペタペタと音を立てている。
「おっちゃん、3人」
何かの準備をしていたおっちゃんがコチラを一瞥した。
「なんや今日は友達と来たんかいな。昨日、オトン来てたぞ」
「そうなんやな。相変わらずガラガラで落ち着くわー」
客はゼロだった。おっちゃんはテーブルに置いてあるタレの位置を整えながら、元気よく返す。
「アホか、開店と同時に満席なってたらこんなボロ店出て行ってるわ!」
「ハハハ、言えてる」

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