【オカルト話をもらうばかりじゃズルい。】文:ピラミ△
皆さんこんにちは。
“アジト執筆陣イチ、多趣味な女(自称)”ことピラミ△です。
わたしは昔から好奇心旺盛な性格でして、興味があればまず手を出してみちゃうワケですが、とりわけ昔から好きなモノがありまして。
それは都市伝説やオカルト…そういう類のモノが好きなのです。
さて、都市伝説やオカルトと言ってもそこには様々なジャンルがあります。
例えば誰もが知っているであろう「トイレの花子さん」だとか「口裂け女」とか。
他には「小さいおじさん」や「時空のおじさん」など、なぜかおじさん系のネタや、「地図には乗っていない昔の風習が残った不気味な村の話」や「古代文明の話」「パラレルワールド」「呪いの類」「地球外生命体」「シンプルに心霊系」などなど、ひとくちにオカルトと言ってもその種類は多岐に渡ります。
そういった現象や事象を丸ごと信じているのかと言われたら…そういうわけでもないのですが、自身では体験し得ない非日常を吸収して想像することが楽しい。
そういったモノの中には実体験(ノンフィクション)の形をとっていたり、創作話(フィクション)であると明言しているものもあります。
要は「面白く、興味をそそる内容」であればお話の真偽はどうでもいいのです。そんな風に様々なオカルト系の話を読みふけっていたある時、ふと思いました。
わたしったら読んでばかりで書いてないじゃない。
それってズルくないですか(何が?)
供給に甘えるばかりで需要に応えることがないのはズルい。これからの季節は部屋が乾燥するので加湿器が活躍しますよね。彼ら(?)は”水”という供給を与えられ、”加湿”という需要に応える。フィルターの掃除や水換えが面倒で時折放置されがちな彼らですら需要と供給を叶えているというのにわたし…いやお前はそれでいいのか? 否、いいはずがない。(反語表現)
そんなワケで、今回のコラムネタには若干のホラー要素が含まれますので、どーーーしても苦手な方は片目薄目で大目に見てください。なんかラーメンの注文みたいですね、カタメ ウスメ オオメ ニンニクマシマシィ! お店の独自ルールを知らずに来店すると排除されるっていうジロ〇アン的な都市伝説ではありませんので誤解なきよう読み進めくださいマシ。
さぁ、いよいよピラミ△初めてのオカルトークを披露していきましょう。記念すべきアジト初執筆にこれを持ってくる勇気がもはやオカルトではありますが、数少ないながらにわたしが経験した不思議体験を綴らせていただこうかなと思います。どうぞよろしくお願いします深々。
【モノクロの世界】
あれは14年前──
そう、わたしが中学2年生の頃。
とある土曜日の18時過ぎ(なぜそこまで詳しく書けるのかというと、“その現象”が起きたのはテレビでBLOOD+のアニメが流れていた時であり、これを書きながら一生懸命「BLOOD+ 放送時間 曜日」と調べたから。衝撃的すぎて覚えていたなどのロマンある理由でないのは申し訳ない)に、ソレは起きた。
ピッ
部活から帰ってきたわたしはジャージ姿のままリビングのソファーに寝転び、エアコンをつけた。クーラーの冷風を浴びながらぼんやりと優雅にテレビを眺める。家には誰もおらず、いや、正確には愛犬(ダックスフント2匹)とわたし一人だったので、何を気にするでもなくいつものように愛犬達と戯れながら土曜の夕方からゴロゴロ〜ゴロゴロ〜。あ〜このまま気付いたら宿題消滅してないかな〜なんてことを考えていたと思う。多分。
エアコンをつけるほど暑かったこと、そして18時過ぎなのにまだ外が明るかったことを考えると季節は真夏だったのだろう。部活と暑さで疲れ果てた身体に、快適な空調とくつろぎを与えてやれば…アイツらは当たり前にやってくる。
睡魔だ。
ソファーで肘をつきながらウトウト…。アニメではなにやらシリアスなシーンが繰り広げられているようだが、当時リアタイでチェックしていたわけではなかったので、重たいまぶたを上げる理由にはならなかった。愛犬達も一通りはしゃぎ終わったのか、今は同じくソファーの上でわたしに寄り添いながら睡眠体制に入っている(とても可愛い)。
段々と遠くなっていくテレビの音や蝉の声、あぁこの心地良さはもう無理だなぁと頭でも体でも悟った時、それは本当に突然だった。
ガクンッ
肘をつき、支えていた頭が手の平から滑り落ちた瞬間、勢いで目は覚めたもののどうにも何かオカシイ。その違和感の正体に気付くには多少の時間を要したが、決して寝ぼけていたからなどではなかった。人は予期せぬ事態に遭遇した際、まずはフリーズする。
世界に…色が無い…?
色が無いというのは少し語弊があるかもしれない。意識はハッキリとしている。しかし目に映る「いつもと変わりないハズの光景」には”白”と”黒”の2色しか存在していなかった。
さらに異変に気付く。つい先ほどまでの光景といくつか違う点があった。
ついていたテレビが消えていたこと、そして犬がいなくなっている。
それ以外に関してはいる場所も変わらないし家具の位置なども変わっていない。まるでわたしだけポッカリと別世界に来たようだった。そしてわたしが一番恐ろしかったのは無音── その世界は怖いくらいに何の音もしなかったのである。つい少し前まで聞こえていたテレビの音も、犬の寝息も、外から聞こえる風の音も、子供の声も、少しの機械音も、何もかも。
怖かった。
ただただ怖くて動くことができなかった。
視線だけ動かし周りを見ても不気味なくらいに音のないモノクロの世界。現実なのか? これは夢じゃないのか? あれか、厨二病でも発症してしまったのかな? と色々考えを巡らせるも、到底目の前で起こっている”今”を受け入れることができなかった。ただ、この時にはすでにネットでオカルトの話に浸っていたため、これはもしかして時空の狭間に入っちゃったのかなあとか、パラレルワールドに迷い込んだのかなあとか、受け入れることができないながらも、そう考えると少し余裕を感じることができていた気がする。時間が経つにつれ湧き上がってくる怖いけど面白い、不思議な感覚だった。
──ワンッ!
どのくらいの時が過ぎていたのかは正確には分からない。が、わたしは愛犬の鳴き声で現実に引き戻された。突如戻ってきた音、そして色。テレビに目を移すとBLOOD+は終わっていた。目の前には「どうしたの?」「大丈夫?」と言わんばかりに心配そうな顔をする愛犬2匹。理解し難い現象にドッと疲れが出たが、愛犬達はお構い無しに顔をペロペロと舐めてくる。ああ、きっとこの子達が助けてくれたんだな。根拠はないがなんとなくそんな気がした。今となってもあれが現実だったのか、そうじゃなかったのかは分からない。ただわたしが体験したこの不思議な話は、立派にオカルトとして成立するのではないだろうか。いつか消化したいと思い続けていたこの話。誰かに刺さったのならわたしのモノクロだった記憶にも、きっと色が付くんじゃないか。今はただ、そう思う。
【普通じゃなかった金縛り】
この体験はいつのことだったかあまり覚えていない。
中学生か高校生か、そのあたりだったとだけやんわりと記しておこう。
この話をする前に、まずは家の家族構成や家の構図?について説明させていただきたい。
家族構成
母
愛犬
父
兄
ピラミ△
表記した順番については察してほしい。決して権力順ではない。決してだ。いざという時はもちろん父が上にくるのだが、ピラミ△は基本的に一番下のままである。決して権力順では以下略
次に家の構図。当時の我が家は1階にリビング、ダイニング、キッチン、和室、トイレやお風呂などがあり、玄関から見て真っ直ぐのところに階段があった。そこを登った2階には手前からトイレ、兄の部屋、わたしの部屋、両親の寝室の順で並んでおり、夜は(リビングなどで寝落ちしない限り)それぞれの部屋で寝るようになっていた。コタツこわい。
金縛り自体は小学6年生あたりから経験していた。わたしはこの頃から疲れたな〜と感じた時、キーンという耳鳴りを合図に金縛りにあうようになっていた。最初こそ怖かったものの、金縛りのメカニズム(身体は寝ているけど脳が起きていてうんたら)を知ってからはそこまで怖いと思うことはなく、むしろ身体めっちゃ疲れるからはよ終わってくれ頼む(怒怒怒)くらいの気持ちになっていた。たまーに何言ってるか分からない怒号のような幻聴もあったが、その瞬間は怖いものの「まあ夢かもしれんしメカニズムが〜ww」と納得していたので、その後もあまり気にせず金縛りと上手く付き合う(?)ようになっていた。この恐怖感の欠如は「わたしには霊感がない」と思っていたことが大きかったかもしれない。実際ないと思うし。
そんな理由から金縛りにも慣れきっていた、とある日のことだった。
部屋の電気を消し、いつも通り布団に入って眠りにつこうとしていた。だが、なかなか寝付けず時刻は深夜2時を過ぎた頃──
ガラガラガラ…
隣の両親の寝室のドアが開く音がした。ちなみに両親の寝室は横にスライドさせて開けるタイプのドアで、わたしと兄の部屋はガチャッと押して開けるタイプのドアだ。
母は、娘や息子が夜更かしせずにちゃんと寝ているかを確認するため、たまに部屋を覗きに来たりする。それは抜き打ち(息を殺して音を立てずに見に来てコラ!寝なさい!)だったり、スピード勝負(勢いでガラガラ!バッ!ガチャ!コラ寝なさい!)だったりするのだが、もちろんわたし達はバレて怒られたくないし、心臓も飛び跳ねてほしくないので色々と対策をとったりしていた。ゲームや携帯の明かりでバレないように布団に潜っていじる、とか、いち早く音で気付けるようにこちらの音は出さない、とかね。(幼稚)
だが今回のガラガラは普通のガラガラ(伝われ)だったので、トイレに行くとか、下の階に行くとかなのかなぁと思いながらも一応用心していたんです。その時でした。
キーン……
くる。張り詰めた空気感と共にソレの合図でもある耳鳴りが襲ってくる。金縛りだ。
その時によって首は動かせたり動かせなかったりするけど、目は基本的に開けられるタイプの金縛り。一応怖いから開けてみても薄目だけど。
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
金縛りが始まった途端、両親の寝室のドアが勢いよく開いたり閉じたりする音が続いた。これは流石に異常なので流石にちびるかと思ったが、本当に怖かったのはここからだった。
ドアがガラガラしている間にもわたしの身体は動けない。力を入れてンーッと頑張れば解けないこともないのだが、正直めちゃくちゃ疲れるし放っておけばそのうち解けるのであんまりやりたくもなく…。そんなことを考えていると、
トン…トン…
ドアが叩かれているわけではない。足音だ。
両親のどちらか(で、あってほしい)が部屋から出てきて廊下を歩いている。
トン…トン…
トン…トン…
ピタ
ええええええええええええええええええ何でわたしの部屋の前で足音止まるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。えっ怖! えっ! それは怖いって!
しばらく部屋の前で止まっているもんだからこれは金縛りにあっている場合じゃない、いざという時に逃げられんフヌヌヌヌと焦りながらも金縛りを解こうとします。もうこれは怖いもん精神的に逃げたいやつだもん。
……
トン…トン…
トン…トン…
…トントントントン(階段を降りる音)
必死に金縛りと格闘していると足音が先に進み始めます。とりあえず部屋の前から離れたので良かったけどトントントントンうるせえヒノノニトンかお前はああああああ。でもね、めっちゃ怖い要因がもう一つあって、ガラガラ!ガラガラ!って勢いのいいドアの音、足音が鳴っている間もずっと続いているんです…ふええ怖ぇよぉ…誰だよぉ…。
そうしてそのまま足音が1階に辿り着くと「ガチャリ」と玄関を出る音。
その瞬間、両親の部屋のドアのガラガラもピタリと止み、わたしの金縛りも自然解除。
えぇ…何…。
この時間に外に出るとしたら、玄関先でタバコを吸う父しか考えられない。が、一連の異常さを考えるとどうしても父とは思えないし母とも思えない。怖いからいい加減にしてくれよとメソメソしていると、また「ガチャリ」と今度は玄関が開く音が。
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
ガラガラガラ!
トントントントン…(階段を登る音)
トン…トン…(廊下を歩く音)
カーッ! 勘弁してくれーっ!
なんでトントンとガラガラのコンボぶちかましてくんねん! コンボはドンッとカッのフルコンボだドン! だけでええねん! 我が家で太鼓の達人ごっこすな!!!!!
…ピタ
やめてえええええええええわたしが悪かったからああああああああああああお約束のようにわたしの部屋の前で止まるのやめてえええええええええええええ。
ちなみにお約束はもう一つ。玄関が開いた瞬間からまた金縛りにあっております。ええ加減にせえよほんま(半泣き)
…トン…トン
ガラガラガラ!ピシャ!
やっと両親の寝室に戻っていった…。それと同時にやはり金縛りも解け、足音もドアの開閉音もなく、いつも通りの静寂。あれはなんだったんだろう。ぐるぐると考えても答えは分からず、疲れて寝たのか気付いたら朝。いや、たしか休みだったので本当は昼でしたね。
怖いけど、怖いけれどアレが何だったのかを確認するためにもわたしは家族に聞かなければならない。
ピラミ△「ねぇ、昨日の夜さ…タバコ吸いに行った?」
父「いや? 行ってないよ?」
ピラミ△「こういうことがあったんだけど…」
母「ちょっと!知らないし怖いからやめてよ!」
ピラミ△「兄は? ねぇねぇ兄は?」
兄「普通に寝てた」
終わった…。昨日のアレが両親じゃなかったら一体なんだったって言うんだ。怖ぇよ。素で怖ぇよ。
後にも先にもわたしが本っっっ当に怖かった金縛りはこれだけ。金縛りが、というよりその時に起こったガラガラトントン事件が怖いんだけどさ。もしかしたら夢だったのかもしれないけど、夢と現実の区別がつかないホラー体験が一番怖いんだって。だって証明出来ないんだもん。証明出来ないからこそ、あれは夢だったのかもしれないで片付けることが出来るんだけどね。
蛇足ですがその時の実家は親転勤、兄は大学で県外へ、残されたわたしも仕事で出たためもう売ってしまい、今は別の知らない人が住んでいます。
帰る家がないのはほんの少しだけ不便だけど、それで良かったなぁと思っている今のわたしでした。あ、金縛りは大人になってから自然となくなったんですよぉ〜…と、つい最近までは言えたのですが、疲れを感じると…。
今日のところはここまでにしておきましょう。その”疲れ”が”憑かれ”ではないことをどうか皆さん祈っていてください。
以上、ピラミ△初めてのオカルトークはいかがでしたでしょうか。
マジでここで書くことではないのかもしれないけど、ここだからこそ書けた内容かもしれないですね。当アジトは「色んな面白い」を「色んな執筆陣」が「色んなカタチ」でお届けする場所となっておりますので、お気に召したものがありましたらどうかnoteのフォローや記事へのスキ、拡散、共有のほどよろしくお願いいたします。
それではまたお会いしましょう。さようなら。