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年末年始が苦手です 2022年12月【1】
【A】
今月も購読してくださり、ありがとうございます。12月になりました。今年ももうすぐ終わりです。
私は年末年始が苦手です。最大の理由は病院が閉まるからです。体調が悪くなった時にいつもの先生に診てもらえないという状況が心細いのです。
それから「良いお年を」や「あけましておめでとう」という挨拶に抵抗があります。ポジティブな感じがしんどくて、スムーズに口に出すことができません。
年忘れ、忘年会、新年会、新春、迎春、年賀状、晴れ着、松飾り、おせち料理、鏡餅……。年末年始に関わるものはどれも苦手で逃げ出したくなります。
どこに行っても「春の海」が流れています。選曲の多様性のなさにため息が出ます。そもそもテンポが遅すぎてもどかしいです。能でも民謡でも、日本の伝統芸能は遅いものが多く、飽きてしまうことが多いです。
1月7日あたりになれば病院も再開します。ようやく一息つくことができます。次の難関は成人の日です。
毎年、成人式のニュースに接すると複雑な気持ちになります。そこには明るい色の着物を着た女性たちがいます。同じ場所に男性もいますが、ほとんどが地味な黒スーツです。たまに紋付袴もいますが、所詮は白と黒です。
女性のファッションは明るく多様で、男性のファッションは地味で決まりきっている。常日頃から私を憂鬱にさせている事柄が、成人の日にはっきりと映し出されます。
一部の男性は暴走族のような出で立ちをします。男性の服飾はこういう方向にしか突き抜けられないのかと、ますます悲しくなります。
女性がうらやましいわけでもありません。振袖の柄はどれも派手すぎて好きではありません。ゴチャゴチャと描き込まれすぎていると感じます。
成人式が終わればやっと平日。もう「春の海」を聞かなくていい。女性だけが華やかな(しかも派手すぎて美しくない)催しを見なくてもいい。「新春〇〇」などという赤文字を見かけなくなった時、心に平穏が戻ります。
なお私は日本の伝統文化が嫌いなわけではありません。むしろ普通以上に歴史が好きで、寺社も巡るし、史跡も訪れるし、本もよく読みます。
「伝統」に自分からアクセスするのはいいのですが、年末年始はそうではありません。望みもしない古いしきたりが一斉に押し寄せてきます。自分自身が「伝統」に飲み込まれてしまう感じがするのです。だから苦しいのだと思います。
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