もや2.「イライラしてても荷物は静かにおいた方がいいし、言葉使いも荒くしない方がいいんじゃないの」
キーボードを叩く指が、いつになく力んでいた。
午後のデスクは、まるで砂漠のように広がっている。
砂一つ一つが、未処理のメールや、終わらない企画書。
日に焼けるようにじりじりとした焦燥感が、喉を掠める。
深呼吸をしてみる。
数秒後、またもやイライラがこみ上げてくる。
こんなはずじゃなかった。
朝、出勤する時は、まだ心に余裕があったはずだ。
一体、いつからこんな気持ちになったのだろう。
誰かの言葉が耳に突き刺さったり、
ちょっとしたミスに腹が立ったり。
些細な出来事が、
まるで拡大鏡で覗き込まれたように大きく見え、
心の平穏を乱す。
しかし、深呼吸を繰り返しながら、
自問自答する。
大人なんだから、
そんなことで一喜一憂してはいけない。
周りに気を配り、冷静さを保つ。
それは、社会人として当然のスキルのはずだ。
だが、心の奥底から湧き上がる感情を、
そう簡単に抑え込むことはできない。
まるで、沸騰寸前のやかんのように、
いつ爆発してもおかしくない。
それでも、私たちは、
この閉ざされた空間で、共に働いている。
互いの存在を認め合い、尊重し合う。
それは、決して簡単なことではない。
時に、摩擦や軋轢が生じることもあるだろう。
だが、
だからこそ、私たちは、
より良い環境を目指して努力しなければならない。
ギスギスした空気の中で、創造性は育まれない。
活気あふれる、そして、居心地の良い場所を、
共に創り上げていきたい。
それは、自分自身のためでもある。
そして、この会社全体の成長のためでもある。
さあ、もう一度、深呼吸をしよう。
そして、目の前の仕事に集中する。
たとえ、砂漠のように広がっていたとしても。