留学はもちろん、海外に住んだことのない私が英語を習得できた私の英語習得法06
第6章 習得過程での変化の様子を整理する
※第0章~第5章を読まれていない方は、先にそちらを読まれるように勧めます。
英語の習得過程での私自身の変化について、何とか客観的に説明はできないものか、とずっと考えてきました。私が以前大学で使っていた統計解析の手法を応用すれば、ある程度の客観化は可能なように思いましたが、そうすると堅苦しい論文のようになりそうです。そこでここでは、私の変化の様子をいろいろな側面についてリストを作るような形で表現してみようと思います。
これは試験的な試みですので、読者の皆さんに理解していただけるかどうか、自信はありません。よく意味が分からないと思われた時は、私の力不足ですのでお許しください。記載方法について、今後も少しずつ発展させていこうと思っておりますので、ご理解ください。
・記載方法の説明
小テーマごとに、変化の様子を記述した文章を並べています。一つの行の内容が、ある時期の私の状態を示しています。あくまでも大体のところを記載しているだけですので、厳密ではありません。以前にも書きましたが、英語力の進歩の仕方は階段状なので、進歩のある時期はこんな感じだったのではないか、と振り返ってみて書いたものです。
いくつかの小テーマについて記載していますが、それぞれの進歩のステップは同じ時期を意味しているわけではありません。一行目は初期の状態で一致していますが、その後は変化に気づいたときはこんな感じであった、という意味です。例えば、二行目の時期は各テーマ全てで同じ時期であった、というわけではありません。各テーマでの進歩の仕方は全くバラバラです。
・普通に英語を話すとき
この小テーマでは、全体的な進歩の仕方を記載しています。その中で、[初] [中] [上]で示したのは、その頃英語で話していた内容が、言葉としてみたときに全般的にどの程度の難しさだったか(注1)を示しています。下記にその詳細を説明します。
[初]:初級レベルの材料(簡単な挨拶、単純な文章の繰り返し)
[中]:中級レベルの材料([初]+複雑な文章、質問文や接続詞による連結)
[上]:上級レベルの材料([中]+WH節〔関係代名詞等〕、if、whenの活用)
(注1)話している内容の難易度ではありません。簡単な構文を使いながら、内容的に難しい話をすることもあります。
これとは別にこのテーマだけについて、[地の文の英語度](以下[地英]と略す)を記載しています。これは実際に話している英語表現の前後またはその途中で、頭の中で響いている言葉が、どの程度英語になっているかを示しています。”1/10“というのは、全体を10としたときに10分の1程度は英語で考えているという意味です。
――――― 普通に英語を話すとき ―――――
[初]の大部分をまず日本語、そして英語へ変換 [地英 0~1/10]
[中]の大部分をまず日本語、そして英語へ変換 [地英 2~3/10]
[中]の2割は最初から英語、8割は日本語から英語 [地英 4~5/10]
[中]の5割は最初から英語、5割は日本語から英語 [地英 6~7/10]
[中]の8割は最初から英語、2割は日本語から英語 [地英 7~8/10]
[上]の3割は最初から英語、7割は日本語から英語 [地英 7~8/10](注2)
[上]の5割は最初から英語、5割は日本語から英語 [地英 8/10]
~~~現在に至る~~~
(注2)地の文の英語度は高いのに7割の内容を日本語から英語に変換して話している、というのは矛盾するように思えるかもしれませんが、あくまでも主観的な感覚としてご理解ください。地の文については、英語を話すこと以外に、自分の思考をまとめたりする時間も含まれています。
・難しい聞き取りをするときについて
英語学習で一番大変であり、しかも、ワクワクするのは、ネイティブとの間でのreal timeでの聞き取りです。簡単なものには直ぐに慣れますが、難しいものになっていくと繰り返し学習してもすぐには進歩しません。ここでは、進歩していく様子について、実践的な英語の聞き取りをしてきた体験を、状況別に記載しています。
まずは一般的な状況です。
――――― 難しい聞き取りをするとき(映画以外) ―――――
基本的に聞き取ることを諦めている(分からなくて当たり前!)
少しでも聞き取ろうとするが、あまり自信がない
少しずつ聞き取れるようになっているが、ついていっていない
ネイティブが普通に話せば何とか聞き取れるが、早口になると全く分からず
親しいネイティブ(口調が分かっている)であれば、かなりついていける
~~~現在に至る~~~
次に難しい場面ごとに記載してみます。
最初は、知らない人の名前や場所の名前が次々に出てきたり、どんなことが話されているのかについての状況説明が全くなくて、文脈が理解できなかったりするときの聞き取りになります。
――――― 難しい場面で聞き取りをするとき ―――――
(知らない固有名詞が多い、文脈が良くわからない)
何が分かっていないのかが分からない
(意味不明な音は日本語の様に聞こえる、一種の空耳(注3))
分からない原因(ex.固有名詞)は推測できるが、聞き取れずに止まる
分からない部分の影響が小さくなる(直ぐに残りの聞き取りに戻れる)
分からない部分を無視して、残りを聞き取ろうとするようになる
分からない部分を無視して、残りをかなり聞き取れる
~~~現在に至る~~~
(注3)有名なミュージカル映画の“The Sound of Music”における最後の方で、トラップ・ファミリーが修道院に逃げ込む場面があります。それを追ってきたオーストリアの官憲の長が、修道院の玄関の扉を早く開けるようにと、修道女に対して ”Hurry up!” と言う場面があります。この言葉が普通の日本人には「早く!」と言っているように聞こえ、映画館で見ていると、クスクスという笑い声が聞こえてくることがありました。
英会話学校や学習用の素材を聞き取るのではなく、実際の生活場面で、しかもネイティブの間に交じって彼らの話を聞き取るのは、かなり大変です。
――――― 難しい場面で聞き取りをするとき ―――――
(ネイティブに混じって話すとき)
ネイティブの話は何を言っているか、ほとんど分からない
話のテーマは、ぼんやりと推測できるが、会話に入るのは難しい
話のテーマは大体理解できるが、会話に参加したくてもできない
話のテーマを理解し、自分が得意な話題であれば、少し参加できる
話のテーマを理解し、流れについていけるが、参加できる割合は半分以下
会話に参加できるときが多いが、そうでないときもあり、波がある
~~~現在に至る~~~
代表的な聞き取りの場面は、やはり映画を見ているときでしょう。映画の内容や俳優によって、聞き取れるときとそうでないときとがあります。下の説明での省略形の意味は次の通りです。
[難しい話題]感情の起伏が激しい場面。叫び声、専門用語、軍隊用語、スラ
ングが多い場面。
[自然に理解]集中しなくても、英語が頭に自然に入ってくる状態。単語が思
い浮かぶ。
――――― 映画で難しい聞き取りをするとき ―――――
(日本語字幕で見ているとき)
英語を聞き取ろうとしても、ほとんど聞き取れない
集中すれば、簡単な会話は聞き取れるが、同時に字幕を読むことはできない
集中すれば、ゆっくりとした会話であれば、字幕を読みながら聞き取れる
[難しい話題]でなければ、集中しなくても、字幕を読みながら聞き取れる
[難しい話題]でも時には聞き取れるが、一貫しない(常にできるとは限ら
ない)
普通の話題の普通のスピードであれば、8割以上[自然に理解]している
~~~現在に至る~~~
自宅で映画を見る時には、その映画について、日本語字幕を出すか否か、英語字幕が使えるか否かを必ず検討します。英語字幕が使えるときには、ほとんどの場合に英語字幕で見ます。また、YouTubeでニュースビデオを見る時も、英語字幕が使える時は、必ずではないもののかなり頻繁に英語字幕を使います。
――――― 難しい場面で聞き取りをするとき ―――――
(日本語字幕なしの場合や英語字幕の場合について)
英語を聞き取ろうとしても、ほとんど聞き取れない
Romantic comedy(RC)等の分かり易いテーマであれば、簡単な部分は聞
き取れる
RC等はストーリーの半分以上英語で筋が追える
[難しい話題](軍隊もの、SF、ミステリー等)は、大きな流れしか追えない
[難しい話題]でも普通の会話の部分はかなり聞き取れるが、一貫しない
英語字幕を出すと、短い部分は理解できるが、長い部分は読み切れない
英語字幕を出すと、ニュース等は半分以上理解できる
英語字幕であれば、ニュース等は8割、難しい映画は半分程度理解できる
~~~現在に至る~~~
・自分が主導権をとってトピックを話すとき
現在通っている英会話学校では、現在はトピック・クラス、または、それに準ずるクラスしか参加していません。自分が話したいトピックを説明し、どんな議論をしたいかを、自分が主導権をとって説明します。ネイティブのファシリテーターはいますが、できるだけ助けを借りずに説明するようにします。
私のこれまでの経験から、この活動は、自分が主体的に英語で話すことに関連した能力を高めることに大きく役立ちます。但し、事前にどの程度準備するかは、状況によって異なります。最近はそれほど詳細な準備をしなくなりました。ここでの省略形は下の通りです。
[事前準備]何をどんなふうに話すか、英語の文章やキーワードを事前に
準備する。
[主要部分]メインテーマとなる一文だけはしっかりと文章を作る。事前
準備のときほど細部まで検討しない。
――――― 自分が主導権をとってトピックを話すとき ―――――
~~~初期にはこのような状況は全く経験しなかった~~~
[事前準備]をしっかりしていかないと立ち往生する
[事前準備]をしていれば会話を楽しめるが、話題提供の満足度は一貫しない
[主要部分]だけの準備で十分に話せるが、応用や機転がきかない
[主要部分]だけの準備で満足できるように話せるし、応用も少しずつできる
[主要部分]の準備は比較的簡単なものでよく、それなりに会話を楽しめる
[主要部分]は簡単でよい。それでも結構話せるし、準備していないことにも
対応可能
~~~現在に至る~~~
上記の各段階での変化の程度は小さいように思われるかもしれません。しかし、実際に自分で実践してみると分かりますが、それらの差は意外に大きく感じると思います。
・入国審査での経験
やや特殊な場面ですが、入国審査での経験の変化をまとめてみました。係官のタイプによっては、どんな人でも緊張を強いられる場合がありますが、標準的な係官のイメージでまとめてみました。
――――― 特殊:入国審査でのやりとり ―――――
係官の所に行く前から緊張し、まごつきながら会話して通過
緊張感は下がってくるが、係官との対応では不全感(スムーズに行かな
かった)が残る
特に緊張せずに係官と話すことが出来るものの、後で緊張感が残る
待っているときの緊張は軽度で、係官とも落ち着いて会話ができる
自分のことは問題なくできる。同伴していた人の手助けができる
~~~現在に至る~~~
以上、初めての試みとしては、それなりの情報は提供できたのではないかと思います。今後も、検討する場面を増やしたり、記載の仕方を改善したりしていきたいと思います。
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