留学はもちろん、海外に住んだことのない私が英語を習得できた私の英語習得法04
第4章 発音練習~応用編~
※第0章~第3章を読まれていない方は、先にそちらを読んで下さい。
本章でこれから私が書く内容は、かなりcontroversialなものになると思います。つまり、読者の個人的な考えや経験により、その内容の妥当性についての判断が大きく分かれることになるでしょう。ある方にとっては全く受け入れられないと感じるものが含まれている可能性があります。しかし、ここに書くことは私見であり、絶対的な正当性を主張するものではありません。従って、“自分はそうは思わないが、そういう意見もあるのか”といった感じで、大きな心でもって読んでいただければありがたいと思います。
さて、本題に入ります。発音の練習を繰り返すのはとても重要なことです。その時に特に注意する必要があるのが、日本人特有の悪い癖がつかないように練習することです。これはとても重要ですが、正面切って議論しようとすると、とても大変なことになると思います。語学の専門家でもない私は、そのような議論をする知識を持っていませんが、本章では私の実際の体験に基づいて得た気づきを披露しながら考えてみたいと思います。ですから、私の個人的で偏った考えがたくさん含まれています。ただ読者の中には、いろいろな人々の工夫や考えを知りたいと思っておられる方がおられると思いますので、そのような方の為に本章を記します。
以下では、発音に関連したいろいろな話題について、思いつくままに書いてみます。
・日本的な英語の発音は通じるのか?
“日本人特有の日本的な英語の発音でも外国の人に伝わるのだろうか?”との議論はいろいろなところで行われていると思います。“典型的な日本人の発音でも通じる”と主張されている方が数多くいることは、私も知っています。確かに、日本に住んでいる外国の方々と話すときは、そういった発音で通じるかもしれません。しかし、外国で、日本人と会ったことが無いような人々と話すときに、日本人の発音で通じるのだろうか、と常々私は疑問を持っています。
ここで“通じる”と表現しているときの言葉の意味を定義しておく必要があると思います。本章で“○○が通じる”と言った時には、通常の意味よりも狭い範囲で使っています。つまり、英語ネイティブの相手に対して、日本人がある表現を英語でしたときに1回言っただけで相手に伝わる、ということを意味しています。何回も繰り返したり、ジェスチャーを加えたりすれば、相手と何とかコミュニケーションをとれるとは思いますが、それは“その日本人の英語が通じた”とは厳密には言えないと思います。なお、当然ですが、英語で伝えようとする内容はシンプルであり、複雑なものではないことを前提としています。
私の個人的な体験から、この疑問は今でも続いています。二つほど、個人的なエピソードを紹介します。いずれも現在通っている英会話学校での出来事です。
スピーキングクラスという自由に話題を選べるクラスで、いろいろなレベルの方が参加できるクラスでの体験です。中級レベルの方でもきれいな発音で話される方はいますが、日本的な癖が残った発音で話される方もおられます。ごく稀に起こることがあるのですが、後者の方の場合に、普段あまり使われない単語を使われたときに、ネイティブの先生がキャッチできないことがあるのです。先生方はずっと日本に住んでいますし、日本人相手に英語を教えてきているので、通常の日本人的な発音は、私が驚くほどキチンと理解されます。しかし、ごく稀にこのようなことが起こります。私は、日本人特有の発音の影響でこれが起こっているのではないかと思っています。
もう一つの体験は、全く個人的な体験です。私は日常的に英語を使っており、ほぼ毎日YouTubeでMSNBCのビデオを見たり、ビアバーでネイティブの友人と議論したりすることを普段やっています。日本人の英語を聞く環境は英会話学校においてだけなので、私にとってはネイティブの発音の方が自然な音として耳に入りやすくなっているのです。奇妙なことに、最近は日本人特有の英語の発音が私にとっての自然な音として響かなくなってきています。ネイティブの発音を聞くとき以上に、日本人の発音に対してはエネルギーを使って聞く必要を感じています。きざに聞こえるかもしれませんが、そうしないと日本人の英語が理解できないのです。
・カタカナを使った練習について
少し視点は変わりますが、カタカナを使って英語の発音を表記し、それで英語を学ぶことが出来るのでしょうか。詳しい議論に入る前に、まず、どのようにカタカナ表記するかという問題を考えておく必要があります。私たちのような高齢の日本人が初めて英語を学び始めた頃は、つまり昔は、アルファベットの英単語の上にルビをふるような形で、ローマ字読みに似たカタカナ読みが記載されていました。今でもこのようなやり方が使われているのか否かは、よく知りません。しかし、少なくともこの表記のスタイルは、きちんとした英語の発音を学ぶのには不向きだと思っています。
もう一つ別のやり方で、カタカナ表記を使うことが出来ます。その説明のために、次の文章が何を意味するかを考えてみて下さい。
「掘った芋いじるな」
これを読んで意味がすぐに分かる方は、私のここでの議論も理解していただけるのではないかと思います。もう一度別の形式で書きます。
「ホッタイモイジルナ」
この話題を初めて知ったのは、ずいぶん昔にNHKの総合テレビで放送されていた“英語でしゃべらナイト”という番組を見ていた時でした。このカタカナ文の意味は、次の通りです。
“What time is it now?”
この英文と元の日本文の関係は、繰り返し発音してみれば自然に分かると思います。多分、江戸時代の話だったと思いますが、昔はこのような形式で英語の発音を伝えた、という記録があるとの説明が、その番組でされていました。つまり、アルファベットの綴りは無視して、ある英文の音が聞こえてきたものをそのまま日本文に落とし込む、ということをやっていたようです。このやり方は、使いようによっては“アリ”かもしれません。実は、後述するヒコジローさんが、似たやり方のカタカナ表記を使って英語の発音の説明をされています。
昔の人はすごく努力して英語の勉強をしていたことがうかがわれますが、現代の私たちはやはりキチンとした英語の発音を勉強することから入った方が良いのでは、と私は考えています。英会話をすること以外にも、キチンとしたやり方をするもっと積極的な意味があります。それは読書への影響です。洋書を速いスピードで読みたいと思ったら、キチンとした発音ができる方が有利だと思います。
私は英語での読書も日常的にしています。読書しているときに頭の中で響く音は、英会話でのレベルが中級以上になってもかなり長い期間、大昔に中学や高校の英語の授業で聞いていた、アルファベットにルビをふったような英語のままでした。その頃は読書のスピードも上がりませんでした。頭の中の音が徐々に、自分が練習している本来の英語に近づいてくると、読書スピードも速くなっていきました。
・英語の音の変化は非常に大きいことが日本人には知られていない!
上の例でも分かるように、英語の文章の中の言葉の発音を一つずつ拾って、それをそのままつないでも実際に発音されている音にはなりません。実際にネイティブの間で交わされている英語の音声には、実はいろんな変化が起こっています。読者の皆さんは、下記の変化はご存じだと思います。
I’m going to XXX → I‘m gonna XXX
他にもwan to が wanna になったり、we are が we’re になったりと、ある程度の変化は学校で習いますが、普通はそれ以上に細かくは習わないでしょう。でも、読者の皆さんは、”他にも変化はないのだろうか?“と疑問に思ったことはありませんか。私はありました。それですぐに調べたわけではないのですが、あるときひょっとしたきっかけで、”モゴモゴバスター“というプログラムに出会いました。そのURLは下記の通りです。
モゴモゴバスター https://www.mogomogobuster.com/
このプログラムが開発された理由は、このサイトに詳しく書かれています。いろいろな説明の中に、開発者の動機の一つが、“米国在住で、普通の会話には困らない人でも、ネイティブ同士が話し始めると途端に英語が分からなくなることが起こる。それを何とかしたい”、ということだったとの説明がありました。これは、動機付けとして非常に説得力のある説明でした。私も同じ経験をいつもしていたので、非常に興味を持ち、プログラムを購入しました。何回かバージョンアップも継続して申し込みました。完全にマスターしたわけではありませんが、コツはつかんだので、今ではプログラムは終了して、自分なりのやり方で学習を続けています。
実際にプログラムを試してみれば分かりますが、実にいろいろな短縮形があります。短縮の仕方にもいろいろなパターンが有りますが、それらの説明は専門家に任せるとして、ここでは単に短縮形と記します。中にはnon-nativeにはあまりにcasual過ぎるために日常的には使わない方がよいものも含まれています。しかし、これらの音声変化についても、一度は発音練習をしてみることが勧められています。何故なら、発音することが出来るようになると、聞き取りができるようになるから、という説明です。私はこの意見にかなりの妥当性があると思っています。
生きた英語の発音が如何に変化しているかについて、以上のような経緯で強い関心を持つようになりました。それは今も続いています。ご興味がある方はモゴモゴバスターのホームページに行って、試しに例題に回答してみることをお勧めします。驚くほどいろいろな変化があります。セールストークになりそうなので、これ以上の説明は控えておきますが、今でも自分なりに、このような短縮がネイティブ間で起こっている現象とそのメカニズムに関心を持ち続けています。語学の専門家ではないので、完全に整理がつくような説明はできませんが、少しずつ理解が深まるように努力を続けています。
・発音練習の為の情報のソース
上にも紹介したように、最近は非常に多くの情報がインターネット上にあります。全てに目を通すことが出来ないくらい沢山ありますが、発音練習や聞き取りに関連して私が時々視聴しているネットの情報について、リストを作っておきます。
①だいじろー Daijiro https://www.youtube.com/@daijirojp
だいじろーさんは、発音について非常なこだわりを持っている方です。英語の発音について網羅的に説明するビデオを作っておられます。貴重なデータだと思います。発音については、いろいろな面から取り組んでおられます。
②ヒコジロー https://www.youtube.com/@hicozilo
この方は、映画や海外ドラマの中から、聞き取りが難しい部分を集積して、それをテスト形式で聞き取り練習用に提供しています。その中で実際に発音練習もされていますが、その際の表記にカタカナを使っておられます。実際に聞こえる音に近くなるように、やり方をいろいろと工夫しながらカタカナで表記されています。
③ニック式英会話 https://www.youtube.com/@nicwilliamson
この方は英語ネイティブの英語講師で、英語全般にわたっていろいろなことを紹介されています。その中に、“この英語聞き取れるかな”というビデオがあり、聞き取り練習ができるようになっています。この方の場合も、発音練習の説明もされています。
これ以外にも役に立つ情報ソースはたくさんありますが、この辺にしておきます。
・実際に話すときに今でも意識している発音~ネイティブに少しでも近づく為に
自分の発音ができるだけネイティブに近くなるようにしたいと思っていますが、限界を感じてもいます。自分の声を聴いてみると、やはり日本人の癖が少し残っています。昔よりはマシになっていますが、それでも不満な部分が残ります。今では特別に発音練習をすることはありませんが、それでも英語を話すときにいろいろと気を付けています。詳細は省きますが、現在思いつくことの一部を順不同で以下に記載します。
①母音の発音は常に気を付ける。特に強勢のある母音は注意する。
②あいまい母音(schwa [ə])はリラックスして発音する。
③私の英語は米語系の発音に近いので、t をあまり強く弾かない。
④似た母音の区別: row ↔ raw、low ↔ law、flow ↔ flaw 等
⑤rとlの区別: crowd ↔ cloud、crew ↔ clue、erection ↔ election、
fry ↔ fly、grass ↔ glass、pray ↔ play、right/write ↔ light、rate ↔ late、
red ↔ led、rid ↔ lid、royal ↔ loyal 等
⑥微妙なミスで笑われないように: sit ↔ shit、clap ↔ crap 等
⑦最後が子音で終わるときに、余計な母音が加わらないようにする。
このようなこと気を付けながら英会話を続けていますが、今のところは大きな失敗はないようです。
・発音練習に終わりはない
ネイティブの英語教師が発信しているYouTubeがあふれるほどあります。その中には発音練習が含まれているものもあります。その時にはできるだけ一緒に発音練習するようにしていますが、その際にもこれまで書いてきたことが役に立っています。私は元々凝り性で、何事もキチンとやりたいという欲求が強い人間です。その為、基礎的な練習をしっかりするというやり方が性に合っていたと思っています。全ての人に私と同じやり方をするように勧めるつもりはありませんが、私自身は、これまでやってきた練習は間違っていなかった、と思っています。
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