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留学はもちろん、海外に住んだことのない私が英語を習得できた私の英語習得法 

第0章 初めに


 最初に読者の皆さんにお伝えしておきたいことを記します。私がどんな背景を持っており、何故本格的に英語を習得しようとしたか、そして現在地はどの辺りなのかを概観しておきたいと思います。

・自己紹介
 私は昭和24年(1949年)8月生まれの男性です。既に後期高齢者になりました。仕事としてはずっと心療内科医として働いて来ました。“心療内科とはどんな科なのか?”についても、誤解されている部分が沢山あり、それについてもいずれ書こうと思っていますが、ここでは説明しないでおきます。この原稿では、これから書こうとしている“私の英語習得法”について、何を伝えたいと思って書こうとしているのか、また、伝えるに当たってどんなことが問題になりそうか、等と言った点を書いておきたいと思います。
 私はかなりの期間を大学で過ごし、患者さんを診ること(つまり臨床)だけでなく、研究も行ってきました。そして、その成果を国際学会で発表することもしてきました。しかし、私は海外に留学した経験は一度もありません。また、海外に住んだ経験もありません。そんな中で30歳代半ばに英語習得のための本格的な活動を始め、それまでは学校で学んだレベルの英語しか使えなかった私が、国際学会で問題なくコミュニケーションできるレベルにまで英語を話せるようになりました。今でもレベルは向上し続けています。
 その後、40年以上の間にわたって英語習得のための活動を継続していますが、その過程で様々な工夫をし、様々な気づきを得てきました。それらの中には、あまり知られていないような、私の非常に個人的でユニークな工夫や気づきがあるのは間違いないと確信しています。それらを記載しないままで私がいなくなったら、それらの知識が消えていくのではないか、と最近気になるようになりました。そこで、共有の知識として残っていくように、ここに記録していきたいと思っています。

・どの位英語を話すことができるか?
 ところでこれを読まれている方は最初に、実際に私がどのくらい英語を話すことができるのか、ということを知りたいと思われるでしょう。私は資格取得にあまり興味がないので、英語関連の資格はTOEICぐらいしかありません。それも約20年前に1回受けただけです。その時は、TOEICがどんなテストなのか、全く知らなかったので、1冊だけTOEIC用ドリルの本を買い、それを最後までやっただけでした。他には何もTOEIC用の勉強はしないでTOEICを受け、その結果は950点でした。予想よりは良い点数でした。厳密に言えば、テストが保証する有効期間は終わっていますで、あくまで過去のデータでしかありません。しかし、次のことだけは言えます。現在の英語のレベルはその時よりも確実に上がっています。
 今では英語を話すことが、私の生活の一部になっています。日常的にnative speakers of English(今後は英語ネイティブ、またはネイティブと略します)と頻繁に話す機会を持っています。ネイティブと話す機会を求めて、今でも英会話学校(福岡市のACE English)に通っています。また、クラフトビールが趣味ですが、ビールを飲みに行くパブのうちの二箇所は米国人がやっているパブで、色々な国から来たネイティブと話しています。
 ネイティブの中に入って話をした経験のある方はご存じだと思いますが、日本人がいると、ネイティブは分かり易く話してくれます。そういう場で英語を話すことができると思う日本人は沢山います。しかし、ネイティブ同士が話し始めると、途端に日本人はついていけなくなります。私が通っている英会話学校の上級者でも、多くの人が似たような経験をしています。
 私の場合は、そういったネイティブの中でも、現在はある程度までは会話に加わることが出来ています。もちろん100%ではありません。聞き取れないこともよくあります。しかし、話題に参加して、その場の雰囲気を楽しむことはできています。(ちなみに英会話学校での私のレベルはレベル6[最上級]でNN[near native]です。)
 他に私の英語のレベルを確認する方法としては、Nerd Nite Kyushuという国際的な取り組みに参加している私の姿があります。自分がオタクのように興味を持っていることを、主に英語で発表しあい、議論しあう集まりです。ネット上のURLを付記しておきますので、そこでの過去のArchiveの中に私が話しているのを見つけることが出来るかもしれません。興味があれば探してみて下さい。(https://kyushu.nerdnite.com)

・記述の仕方
 ここで記述方法について書いておきます。話題によっては英文を使った方が良い場合も出てくると思いますが、最初の間はできるだけカタカナで記すようにします。但し、内容によっては日本語の表記だけでは無理な場合も出てくると思いますので、記述の仕方は今後変わっていく可能性があります。また、色々な情報、例えば書籍やYouTubeのビデオなどを参照することも出てくると思います。その場合も、適宜表現の仕方を考えていくつもりですが、当面はやり方が一定しないかもしれません。
 著作権等について同様で、誰が言い始めた情報かはっきりしているものであれば、参照先を記載します。そういう情報を記載していなければ、わたしが自分で考え付いたものと理解していただきたいと思います。但し、類似の情報を検索して既に同じ主張をしている人がいないかどうか、学術論文を書くように網羅的に検索することはしていませんので、絶対的に私に著作権があるとは主張しません。そこは常識的な範囲で考えていただきたいと思っています。
 同じような意味で、私が気づいたこと、思いついたことが絶対に正しい、と主張することもしません。あくまでも”私の場合に、こんな風に考えると、英語習得の役に立った“という意味で、記述しています。読者の考えとは異なる表現であっても、それでもって読者の考えを否定する意図はありませんので、ご理解ください。

・英語習得における、おそらく私だけの特徴
 英語を本格的に学び始めて十数年以上たつと、私はかなり楽に英語を話すことが出来るようになりました。その時、私の友人でもある、英会話学校の校長(英国人男性)に、「日本に住んでいても、ちゃんと英語学習に取り組めば、誰でも話せるようになるのではないか?」と質問したことがあります。その時の彼の答えは「お前は例外(exception)だ!」でした。それからかなり時間がたっていますが、今でも彼が同じように答えるかどうかは、確認していません。ただ、主観的な印象で言わせてもらえれば、最近は英語を話すことができる日本人も増えてきたように思っています。
 YouTubeなどを見ていると、日本人が英語を話しているビデオを沢山見かけるようになりました。日本にいて話せるようになった、と主張している人もチラホラいるようです。しかし、そういった人たちの習得の過程を詳細に知ると、まだまだ私に近い経験の持ち主は少ないようです。
 というのは、英語を話せるようになった人の多くが、ホームステイの経験があったり、しばらく外国に住んでいたりしたことがあるからです。そうでなくて日本に住んでいる場合でも、仕事や日常活動において頻繁に英語を使う環境(例えば教師や商社の社員等)にある方がほとんどのようです。そういう人たちの話を、まだ英語が話せない人が聞くと、“やはり自分とは条件や環境が違う”と思われるのではないでしょうか。
 私の経験は、英語を学びたいけど、どうやって学んだらよいかよくわからない、といった人のお役に立てるのではないか、と思っています。そう言うのには理由があります。英語以外のことで、私には特殊な経験があるからです。
 私の専門は心療内科であると書きました。心療内科医の仕事の中に心理療法という技術があります。これは、治療者として、対話を通して患者さんやクライエントさんを援助する方法です。この対話の時に、重要な技術として、相手を理解しようとして傾聴するだけでなく、自分自身の考えやこころの動きも観察する、というものがあります。心療内科医としての訓練の方が英語習得活動よりもずっと早く始まっていましたので、英語習得を始めたころには既に、英語学習中に自分の内面を観察するということを、英語を学ぶときにも自然に行っていました。このことは、私の英語習得において、大きな強みになりました。
 こういったことから、英語を習得するに当たっての自分の心の動きを、学習と並行して自己観察してきました。私が何を考え、何を思いながら、英語の学習に取り組み、英会話の実践に参加してきたか、詳しく振り返って説明することが出来ます。このような経験の積み重ねの結果、成功体験だけでなく失敗体験からも多くを学びました。それらが、私が英語を習得する上で様々な工夫を思いつくきっかけになりました。英語が初級、中級、上級に上がっていくにつれて、心の中での動きも変わっていきました。こうした様々な経験から、気づきを得てきました。私が気づいた様々な情報を含めて、私の英語習得のプロセスをこれから紹介していきたいと思っています。

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