お見合いパーティー
わたし自身が選んだはじめての婚活は「お見合いパーティー」だった。
理由は簡単。
安い参加費で、自分の予定に合わせて参加可能である点がとにかく気軽であった。
十数年前、現代でいう「マッチングアプリ」は「出会い系」と呼ばれており、どちらかというと目的が「遊び」であったため、世間的なイメージもよくなかった。
なにより当時は、「婚活」の選択肢にあがることはなかったのだ。
お見合いパーティーの実態
手軽に「恋活」「婚活」の主流が「お見合いパーティー」であったが、それですら世間の目も冷たく、人知れずこっそり参加している方がほとんどであった。
なぜ隠す必要があるのか意味がわからなかったわたしは、同僚と恋愛の話になっても普通に「お見合いパーティー」での出逢い話をしていた。
みんな目を輝かせながらわたしの話を楽しんだが、「お見合いパーティー」に参加するなぞ、「はしたない」、「必死でみっともない」、「モテない人」の象徴であり、人知れず水面下ではバタバタしていたとしても公言することは恥ずかしいことだったのだろう。
それでもまったく気にならないわたしは、「人の不幸は蜜の味」これはいつの時代もおなじなんだなと思いつつも、喜んでもらえることが謎のモチベーションになり、毎週のようにお見合いパーティーに参加していった。
お見合いパーティーのコンテンツ
お見合いパーティー会場も主催する企業によって、ホテルの一室をレンタルして開催するスタイルであったり、自社で物件を保有して一日に2~3回開催するスタイルであったり、パーティーのコンテンツも「1対1個室」「50対50」など当時もさまざまであった。
特に、おそらくその後一度も開催されていない「100対100」という幻の企画があった。
壇上に100人男女それぞれが一度にたち、気になる方の番号をメモするという競り市場に出されたようなコンテンツで、フリータイムはあったが、もう誰が誰だかわからない非常にカオスな回であった。
通常のお見合いパーティーでは、当日受付で名前を伝え、番号札とプロフィールシートを手渡され、席に着き、開催時間まではプロフィールシートを漏れなく記入して待つ。これは大体どこも同じである。
当時テンションがあがったのは、テレビでお馴染みの「回転すし」!
バラツキはあるが、集客が多いときは5分弱程度、少ない時は、平均10分程度の自己紹介タイムである。
「回転すし自己紹介」が終わると、ファーストインプレッションで、1位~3位までを紙に書いて、係の方に渡す。
基本的に2時間程度のパーティーのため、フリータイムが設けられることはほとんどなく、5分~10分で感じた相手への印象と、お相手からの印象度合いを係から伝えられ、最終の1位~3位で結ばれたい人との決定を下し、マッチング結果でカップル誕生!というのが簡単な概要。
3位まで書いていれば、マッチングの確立は上がるものの、正直5~10分の中で抱いた印象の中で1人見つかれば良い回と思えた。
極めて小さな殿
地方特有のことかもしれないが、何回か参加すると同じ方に遭遇する。
初見は好意的で紳士だった方も、2回目は途端に豹変する極めて小さな殿方もいた。
「この間カップルになったのに、もう次ですか」
「サクラですか」
なぞと自己紹介タイムの数分間ずっと小声で文句を言われ続ける始末。
お見合いパーティーでカップル誕生とはいえ、もう少しお話ができる権利の獲得にすぎない。
極めて小さな殿方たちは、のちに徒党を組むようになり、パーティー開催直前に本日の新規の仕入れ状況を確認しに来るようになった。
「今日の新規どう?見せて」
「あー、やめとくわ」
数週間で徒党を組んだ極めて小さな殿方たちの、とてつもない団結感とこなれ感におののいた。
そして、わたしは目を瞑る。。南無
つづきはまた次回!