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感想 LAMUNATION! -ラムネーション!-(ネタバレなし)

この感想は、批評空間に投稿した長文感想を減筆修正、手直しして書いているものです。良かったらそちらも見てみてください、あんまり内容変わりませんけど。
あとnoteは画像とか貼れるので、文字だけより伝わりやすいものもあるのかなって思ったり。
※基本的にネタバレはありません、というかネタバレするような内容が無いです。

まぁこれからプレイしようと思う人の一助になれば。



さて、この記事をお読みの方は「LAMUNATION! -ラムネーション!-」という作品をご存じですか?

ご存じなわけねぇだろ。

概要はWiki曰くこんな感じです。デビュー作というか、これしか発売してませんけどね。

『LAMUNATION!』(らむねーしょん)は、2016年6月24日にWhitePowderから発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームであり、ブランドにとってのデビュー作である

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』LAMUNATION!

ちなみにWhitePowderというブランドは、Keyで有名なVisualArtsの傘下というか系列です。

パッケージもあるんですけど、とりあえず安くプレイしたいという人にはSteam版がおススメです。全年齢版ですがパッチを当てればR18にできます。

よくわからなければ聞いてくださいね。

定価1320円、セールなら264円で買えますよ!!

作品の評価はググったりX(旧Twitter)で検索するといくらでも出てきます。大概酷評のレビューが多いんですが、文才のある方が書く酷評のレビューは本当に素晴らしいですよ、首肯することしきり。
ツッコミどころの多い作品ですからね、穴だらけ、本当にいくらでもツッコめる。

クソゲーですか?ハイ、クソゲーです。
と自信をもって言える作品です、でも大好きです。

まぁこの記事は私の感想なので、私の印象を一言でまとめると

「アメリカンコメディの雰囲気にボボボーボ・ボーボボのようなノリのギャグを不必要にちりばめ、下ネタ要素を織り交ぜた作品」

ここで大事なことは、アメリカンコメディの良さは「雰囲気」程度ですし、ギャグもユーザーに向けた選定ができていないライター好みの「ただの詰め込み」

アメリカンコメディ単体で見るなら「フルハウス」でも見ていたほうが面白いし、ギャグマンガも然り。

「フルハウス」面白いですよ。
いつもステファニーが起爆剤。

人を選ぶ作品と言ってしまえばそれまでですし、事実その通り。ただその一言で片づけてしまうには惜しいほどにライターの情熱を感じる作品でもあるのです。

低俗で、下品で、陳腐で、軽薄で。
どうにも欠点ばかりの作品
ですが、私はこの作品が嫌いになれない。単純に好き嫌いの話をするならば大好き
とはいえ名作では無いし、大作でもなく。人に聞かれてもオススメとは言い難い。
この感想はそんなラムネーションの欠点をひたすら列挙し、その中に僅か光る魅力をご紹介する記事です。



◇作品全体から受けた印象


全般を通して言えることは、清々しいほどのライターのオナニー

それも売り物にあるような視聴者の興奮するところを抑えたオナニー動画ではなく、ただただ自分の快楽を追求したオナニーの開陳であり、例えるなら冷感オナニーや尿道責めオナニーなんかを唐突に見せられたようなもの。

よくもこれを自信満々で世に出せたものだと尊敬するレベルです。
そしてこれを良いものでしょうと胸を張って自慢するライター:けっぽし氏の姿が、笑顔が浮かぶよう。

ただ思うのはこれは彼自身と、彼と価値観を一部でも共有する人への笑顔であり、それ以外のユーザーには目も向けられていないということ。
世界観を、舞台を、登場人物を理解させようとしているようには思えないのです。全ての設定が急に思い出したように飛び出しては説明などろくになされないままに進行していく。

この設定も会話とナレーションの中で急に飛び出すからまた厄介。
地の文はそんなにひどくないと思うのでそのあたりは普通のテキストで説明してくれてもいいんじゃないだろうかと思ったり。

まぁ意図的にせよそうでないにせよ説明不足の現状はライターのエゴもしくは技量不足に起因するところは明白であり擁護のしようのないところ。

そんなライターのエゴにあふれたハイパーオナニーの本作を説明なしに理解してくれるのはもともとのファンか、価値観が偶然一致した稀有な人物ぐらいのものでしょう。
同人作品であれば許容されるのかもしれませんが、ある程度の客層にフォーカスした作品が求められる商業作品として考えるとそこは本作の大きな欠点になってしまっているのです。天下のVisualArtsに期待したらこのザマって人もいそうなもので。

しかしそこでぐだぐだ言われたとしても、極端な話ある程度のプレイヤーにとって圧倒的に「面白ければ」良いのです。
事実、賛否両論の作品にはコアなファンがいて批評空間の中央値を押し上げていたりしますし。

残念ながら本作にはそこまでの力はなかったというのは数字が証明していますし、私も高評価をつけてはいません。

中央値61は相当低い。
偏差26もあまり見ない点数のばらけ方。

ただ好きといったからには楽しさも部分部分で感じていたので簡潔に魅力をます。

「ライターが自分の好きを全力で表現しているところ」

もうひたすらにこれに尽きます。

クソみたいなネタの数々や設定、なろう小説の一部分を抜き出したような展開。これが俺の理想の詰め合わせ、ハッピーセットだとばかりに押し付けてくる。
このあふれんばかりの情熱は作品すべてを彼のカラーに染め上げて、プレイヤーにまでそのカラーを受容することを強制してくるのです。

私は悔しいことに完全に頭からっぽでプレイできなかったので、そこまで染まれず心底楽しめたとは言えないのですが、この愚直なまでの馬鹿さ加減はプレイしていく中でどこか懐かしい気持ちにさせてくれたのです。

ちなみに個人的にはゴムのアヒルの「プー」でリラックスできるようになれたときが少しうれしかったですね。
3週目ぐらいのプレイで少しは頭空っぽに近づけたかなと実感できた瞬間だったので。

数えるのも馬鹿々々しいほど出てくるよ、ウザいよ。
ウザいよ、でも癖になるよ。


◇ネタとその必要性について


怒涛の如く降り注ぐネタですが、大きく分けると次の3つに分けられると思います。

1 とにかく低劣な下ネタ
2 アメリカの近代文化や車などライターの趣向する分野
3 パロネタや時事ネタ


まず1の下ネタについて私は肯定的に見ていません。内容は成人向けのわりに描写展開はコロコロコミックレベル、であるにも関わらずギャグに落とし込めておらず単発で終わる始末の悪さ。

これは流石に私でも笑えない。


2,3はまず知っているかどうか。その上で唐突なネタを楽しめるかどうかも大事ですね。

基本的にこのネタは、ただただライターの語りたい欲求が前面に出てきており、いわゆるオタクの早口に近しいものがあります。熱量は凄いですが指向性は無く。プレイヤーに何かを伝えようとする要素は皆無。

なのでこのネタたちがストーリーに必要な要素だったことなどほとんど無く、その場その場で刹那的に登場するだけ。だから知らなかったネタを調べたところで「だからどうした」程度の気持ちしか動かないでしょうし、調べた時間だけゲームから離れているのは「頭からっぽにして」楽しめてはいないのは明白でしょう。


じゃあどう楽しむのか、それは2択。


その展開、ノリに身を任せる。
「頭からっぽにして」です。公式推奨ですし、たぶんこれが一番なのでしょう。知らないことは知らないし楽しめる物を楽しむ。ただ少しばかり適正というか才能がいります。

もう一つは自己の知識との一致を楽しむといったところですね。知識というと偉ぶっていて気持ち悪いのですが、がつまるところただの記憶です。
そもそも本作に登場するネタはそんな掘り下げられたものは無いと思うのです。アメリカ文化にはそこまで明るくないので言及はできませんが、時事ネタはニュースに取り上げられたメジャーなものがほとんどだと思います。

私事で恐縮ですが、冒頭のピスタチオのくだりはナッツリターン事件を思い出し韓国の財閥的なことを調べたことを、シェールガス云々では原油価格が大きく下落したことを思い出しました。

開始7クリックで登場、初ネタ。笑ってしまいました。


私は後者のスタイルで楽しめたほうですが、当然すべてのネタを拾えたわけではないです。知らないものは知らないままで、知っているものだけでも断片的に楽しめば十分。
もちろん両者を複合して楽しめたら理想なのは言うまでもなく。それを実現できたら、最高にハイってやつですね。

ただこれらも一瞬。そんな感傷も笑いも唐突な場面転換で吹き飛ばしてくれるのですから。この場面転換については次のストーリーと連続性で話します。


◇ストーリーと連続性について

連続性が無いというのは、ネタとネタの連続性が無いというのが一つ。
必要性が無いネタなのですから当然その後の話で活かされるはずもなく。その場で享楽的に消費されるネタに頭を使うだけ無駄です。

もう一つはストーリーに連続性が無いということ。
本作はエピソードを途中から進められる機能があるのですが、この機能を使用した際、間違えてエピソードを飛ばしてプレイしたのですが正直違和感がなかったです。
どこから進めても、とは言わないですが多少読み飛ばしても前後しても差支えが無い状況は流石に驚きました。

前に戻れないのが欠点

まぁ入れ込みたいネタとシチュエーションが沢山あるのはわかるのです。
ですがそれを盛り込んだ数分間の1エピソードをつなぎ合わせた結果出来上がった全体図は、腐りかけの巨神兵のような印象。
今にも崩れ落ちそうというか、もう崩れ落ちているのかもしれないです。それほどストーリー展開は破綻している。

ライターのお言葉。なんも言えねぇ。


それでも1エピソードを享楽的に楽しむ分には無しではないのですよ。
たまにくすっと来る瞬間もあるのです、悔しいことに。

ここからのうんこと犬ネタはかなり笑える。


ですが、最後の展開だけは私には受け入れられなかったのですよね。
詳細はネタバレになりますので省きますが、ちょっとシリアス目な展開に移行してしまったのです。

その時の私の気持ちは
「おまえはギャグマンガじゃなかったのか、今まで正面からクソを投げつけてゲロ吐いて勝負してきたお前が、なぜ最後の最後で格好つけているのだ」
と言った感じ。

何より、何より腹立たしいのは「頭からっぽにして楽しむ」ことをコンセプトにしているのに最後に頭を使わせてきたこと。ただただそこが残念でならないのです。

このテイストで駆け抜けてほしかった。


一応連続性の無さについて好意的な意見も述べておくと、メリハリがあるところかしら。
例えば、キャラの中身の入れ替わりなども「なんやかんや」ですぐに解決して次に移行する描写は一見手抜きにしか見えませんが、ここで頭をリセットしろよというライターからのメッセージかつ優しさと捉えることができるかも…しれないですね(適当)

入れ替わった瞬間。ネタバレじゃないですよ、ホント何の意味もないシーンですから。


◇テンポ及び作品のボリュームについて


ノンストップハッピーコメディADVというジャンルなのでテンポというものは重要な要素であるはず。
賛否両論あるとは思うのですが、個人的にはテンポは良かったように感じました。

これはけっぽし氏自身が好きであろうネタをノリにノって執筆していた部分において、私がそれを好意的に受け入れ楽しむことができたためです。

こんなんノってるか白い粉やってないと書けないよ。
ちなみにめっちゃ笑えます、大好きなシーン。


ただ、その中でも微妙に感じた場面がいくつか存在したのです。
明らかに水増しされた、尺稼ぎのネタの部分。作中で尺稼ぎと言いきっている部分なのですぐに気づくはず。

これらは必要性云々の前に異常に薄っぺらいネタの連続であり、他のネタとの差異を感じるものでした。執拗に擦るネタ、やたらマニアックな知識はライターのこだわりであることは感じ取れ好意的に受け止めていたのですが、この薄っぺらいネタはその良さを打ち消していたように思うのです。

想定された文章量を埋めなければならないことはわかるのですが、このやりようはあんまり。

そもそもの話なのですが、ノンストップでこれを読むのは辛くないです?
ギャグマンガだってノンストップで読むでしょうか、まぁ読むかもしれないですが、私は少しずつ楽しみたい派です。

いっそもっとぶった切ってショートストーリー詰め合わせのようなほうが取っつきやすくなるような気がするのですよね。それならば本作の、連続性も必要性もない展開を強みに変えられる…かもしれないです(適当)


◇エロシーンについて


本筋のイカレ具合に比べずいぶんと真っ当なセックスをするものだという印象。
オナニーすらまともにしたことがなく女の裸もまともに見られなかったのに、連続何発でも3Pでもなんでもござれ、すごい成長ぶり。

回数はそれなりにあるがアフターストーリでの水増し感はぬぐえず少し残念でした。シコリティについては個人的には微妙だが一つだけ、目を見張るものがあったので紹介したいのですが…。
一応ネタバレかもですのでやめときます、批評空間の感想どうぞ(ダイレクトマーケティング)

◇終わりに


たぶんこの作品をプレイした後に得られるものは無いと思います。

「CLANNADは人生」というのも今はあまり聞かれなくなったものですが、当時あれらの作品により人生観に影響を受けた人もいたのでしょう。

ラムネーションにそんなものは無いし、あっても怖いです。

こんなの真似してもアホになるだけだよ。



単発のネタをただただ享楽的に消費して、ちょっと面白いところあったかもな、こいつ馬鹿だななんて思いながらプレイするのを勧めたいですね。


というのも、この作品をプレイした後にふと思い出したことがあったからなのです。


学生時代の友人に、本当に馬鹿なやつがいたのです。
口を開けば妄想ともつかぬような戯言を吐く、しかしたまに笑えることも言う。ほとんど仲間内でしかウケないものですが。

ある日、疲れていると愚痴った私にAVとオナホールを送ってくれました。
私がロリコンと知っているくせに「四十路の具汁」という熟女もののAVだったことに憤慨して、こちらから「五十路の具汁」を送りつけてやった時は勝ったと思いました。
今思えば彼は年上好きだったような気もしますけども。

そんなくだらない、眩しかった日のことを思い出したのです。



多分あんなことあったなぐらいにしか思い出さない出来事であり、人生観に影響することもないでしょう。

この作品はそれでいいのでは。

炭酸飲料の泡のように消えて後には残らない。

もしまたプレイしたいと思えばその時起動して、馬鹿だなとつぶやいて眠れば良い。

もしくは価値観を共有できる仲間とラムネーション!と乾杯して作品を語り合うのもいいでしょう。

楽しかったなと笑って、家に帰って忘れてしまえば良い。

ネットの友人も君のラムネーションを待っている。



最後に誉め言葉として、けっぽし氏に捧げます

「ほんとうにくだらない作品だった!」

ラムネーション!!

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