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農家になろうと思ったきっかけ 2

 山形県の大江町でモモ農家にお邪魔した私は半日の農業体験をしたうえで、午後には大学のある仙台に戻りました。大江町といえばかつては最上川舟運の中継地として栄えた場所で、近年ではドラマおしんのロケ地としても有名です。モモ農家での作業内容としては、ほとんどが収穫作業でした。
印象的だったこととしては、農家の方に「モモを持って帰っていい」と言っていただいたので、頂いた袋に詰めれるだけ詰めたのですが、その後に実はモモの代金として5000円かかることが判明しびっくりしました。農家の方の雰囲気的にサービスかなと思いきや、しっかりお金を取られてしまいなんだか損した気分になった記憶があります笑 ただ、しっかりと生産したものを売って稼ぐ姿勢は勉強になりました。ついつい私が農家だったら自分で生産した農産物はサービスしたくなるものですが、そこでお金を取れる人が商売を上手く回すことができる人なのでしょう。

 パンパンに膨れ上がった袋を片手に仙台に戻った私は、数日後ボランティアで仙台市内の子供食堂を訪問しました。大学入学以降一度はボランティアを経験してみたいと思ったことと、近年その数が増えている子供食堂の実態を知りたいと思ったのが参加した理由でした。そこで、数日前に収穫したモモが家にあったので、私は食材の寄付としてモモを子供食堂のスタッフさんに渡しました。その日のメニューは、ごはんやおかずに加えて私が持ってきたモモが入ったフルーツポンチがありました。食事が提供されるまでの時間、室内の掃除や飾り付けをしていた私は、食事を前に子供達がどれほど喜ぶだろうと期待していましたが・・・。
 結果としてその期待は外れました。子供達は食事を前に何も話すことなくただ食べていました。「美味しいー」といった声が聞こえたり、笑顔が溢れるのではなく、子供達は黙々と食事をしていました。子供達と向き合う形で食事をしていた私は違和感を持つと同時に、子供達が見知らぬ私を前に緊張しているのではないかと思うほどでした。

 子供達が黙々と食事をしていた理由は後から分かりました。子供達が食事を食べ終わり、片付けした後に子供を見送ったあと、子供食堂のスタッフさんから言われたことが今でも強く印象に残っています。
子供達にとって食事は楽しむものではなく、生きるために必要なものなんだよ。
私はそれまで生きるために食事をするという感覚はありませんでしたが、子供食堂を利用する子供達の中には、楽しむ以前に毎日の食事に困っており生きるために食事をしている子がいるということを知りました。その事実は私にとっては驚きでした。

 そんな子供達に私は何が出来るのかを考えた時、農業者として農産物を作り子供達にプレゼントすることができるのではないかと思いました。それと同時に、人の命を繋ぐ食糧生産を担う農家の社会的な意義について初めて自分事として理解しました

 この子供食堂での経験は、私の漠然とした農業への興味をより深め、さらに現場を知りたいと思うきっかけになりました。

 私が山形県の移住プログラムで参加した大江町は景観の美しい素敵な町でした。ここで少し紹介させていただきます。下の写真は大江町の日本一公園の山の上から撮影したものです。この景色はもちろん「日本一」と名付けるあたりが素敵だなと思った記憶があります。

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上の写真は左沢駅周辺の様子です。大江町には電車(左沢線)が通っているのですが、左沢線の最終地点が左沢駅です。ちなみに、”あてらざわ”と読みます。左と書いて”あてら”と読むなんて驚きですよね。

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