ねぇ、私の美醜の呪いを溶いて。
「帰るわ。」
「おぅ」
(おぅじゃねえよ)
いつだって男は終わったらスンとする。
それを知っている女はスン、と男の家から離れることをする。
それがいわゆる気が利く女だからだ。
だらだらと男にすり寄って、なんなら2回戦目も仕掛けようとするなんて、そんなことしてたら1年も続かないだろう。
男に長く愛してもらうには帰り際はスンとしなければならない。
肌でこすれても落ちない眉ティントに、
ネイルは常に一定のクオリティを担保する為、サロンに通う。
いつしても良いように脱毛はもちろん終わっているし、
それでも普通の女になりたくないから、香水じゃなくてアロマを香らせる。
まぁそんな繊細な個性なんてもんはこの男は気付かない。
・・・・
この彼と結局デキ婚して、子どもは2人産まれた。
夫となったこの男は意外と家庭に責任を持っていたようで、
今では2人の子どもを溺愛してくれ、仕事もまぁまぁ出世コース。
夫の会社の奥さん会があり、空気を読んでたまに参加しているが、ほとほとつまらない。
「そちらの旦那さんは良いわね~」
「義実家に~」
「そろそろ子どもを塾に~」
誰も自分の話をしない。
この女たちは自分に興味が無いのか?
ちょっとイライラしてきたのでこう言ってみた。
「私、今度インスタの勉強会に行くんですけど・・・」
・・・・
(しーんかよ)
「あ、皆さんやってませんよね、インスタとか。すみません」
そうだよな。
お金にも困ってない。義実家と子どもの習い事に夢中なママたちが、インスタを「勉強する」なんて。
でも、私は地元の友達が最近何やらインスタで「ベビーマッサージ」の講座を投稿しているのが気になっていた。
彼女は学生時代、目立つタイプじゃなかったが、
何やらインスタではキラキラ、目立っていた。
インスタライブでは「〇〇さーん!」って数名が毎回仲良くしているようだし。ライブって開けばあんなに人が来てくれるんだろうか。
投稿を見ると、ベビーマッサージ講座も好評みたいで、生徒さんの感想などもたくさん載っていた。
ベビーマッサージってそこら中にあるじゃん。
なんで彼女が選ばれてるの?
分からない。
けど、なんだかムカつく。
別に可愛くもないし、学生時代同様に冴えないビジュアル。
彼女の旦那さんは普通の会社員。
きっと収入はうちの方が上。
私の方が全部上。
私生活の彼女の写真や、インスタライブなどが彼女のインスタに並んでいた。
どれを見てもなんだか楽しそうで、
左上に光る彼女のプロフィール写真。
決して良い服じゃなさそうだけど、とっても素敵。
綺麗だ。
ぽっちゃり体型だけど、綺麗。
顔は可愛くないのに、なんだろう。この笑顔。綺麗。
ネイルもしてない。
髪だってプリンじゃん。
でも。なんで。
綺麗だ。
気付いたらDMを送っていた。
「久しぶり。〇〇だよ。インスタ見てて、つい連絡しちゃった。元気そうだね!」
「ありがとう!うん、元気だよ~!〇〇は?今度地元に戻ってきたら会おうよ!」
「うん!会おうね!あのさ!とっても綺麗なんだけど!そのプロフィール写真。どこで撮ったの・・・?」
「あ!これね。はなさんっていう徳島の方に撮ってもらった。うちら香川じゃん?たまたま見つけて連絡したら撮ってもらえたの。」
「そうなんだ。私も撮ってもらいたいな、素敵。でも徳島の方か・・・。
あ、別に何か商売始めるとかじゃないんだけどね。」
「〇〇、今住んでるの宇都宮だっけ?はなさん、今度宇都宮行くらしいよ!連絡してみたら?」
「え、そうなの?!インスタで聞いてみる!」
「うん!私は完全に美醜の呪いを溶いてもらったよ。撮ったら見せてよ~★」
(美醜の呪い?)
「うん!あ、それとさ。インスタで商売始めてるの、恥ずかしくなかった?最初」
「恥ずかしかったよ。でも慣れた。慣れたら、全然違う世界の人と仲良くなって、もう昔の自分は忘れちゃった(笑)今は、皆頑張ってるからその中に入れて楽しいの、毎日が。」
(そんなもんなんだ)
学生時代の彼女は私よりもはるかに輝いていた。
ビジュアルの美醜を超えて、
世間の格差を超えて、
住む場所の良し悪しさえも超えてきた。
世の中の美醜の呪いから完全に脱していた。
彼女は色んなものを超えていた。
清々しかった。
私が呪われたままなのか。
つまらないこの価値観という呪いに。
何がイイ女で、
何が上かなんて。
全部「呪い」じゃないか。
私は・・・・
私も・・・・
私も超えたい。
「はなさん、初めまして。美醜の呪いを溶きたくてDMしました。私は私の人生を超えたいんです」
美醜の呪いを溶くセッションの詳細はこちらから。↓
https://www.instagram.com/p/Cvwf504BTz5/