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220723まさご座 観劇備忘録

7月23日、岐阜にある中部地方唯一のストリップ劇場「まさご座」へ行った。大阪在住ということもあり、まさご座はこれまで行ったことがなく移動方法を調べる段取りからだったが、いわば旅のしおりを作るような作業で楽しい。改めて旅費を計算すると車で行った方が安くて速そうということで車で行くことに。電車でも特急と新幹線を組み合わせると多少安いようだが、初めて行くのでシンプルな方法を選択。前日から行って車で仮眠しようかと思ったが、仕事を前のめりで終わらせようと無理したせいか肩こりがひどく、お風呂にゆっくり浸かったら眠くなってしまったので当日出発。

朝8時頃に大阪を出発。高速は空いており12時30頃からの1回目公演に間に合えば良いなと思っていたら開場1時間前に到着。炎天下1時間も並ぶのはさすがにキツいので周辺散策。柳ヶ瀬の商店街を抜け、無印良品でお茶と封筒を購入。生れて初めて「ファンレター」を書いたのだが、便せんと一緒に買った「封筒」と思っていた物を家に帰ってよく見ると短歌用の一筆箋で、当日まで封筒を買う余裕がなかったのである。サイズ的にちょうど良い物がなかったので、少し不細工ではあるが、気持ちの問題だ、と開き直った。

時間的にまだ余裕があったので、初めての街を少し遠回りして歩いてみた。以前仕事で岐阜の事を調べたときに知った「丸デブ」なる’ソバ屋’を見つけてここにあるんだ、と少し嬉しくなった。行列だったのでパスしたが、次回は訪れてみたいと思う。

開演時間が迫り、日差しも厳しくなってきたので劇場付近に戻ることに。既に行列が出来ていた。個人的にあまり「良席」にこだわらないうえ、並ぶのが嫌いなタチなので今まで開場時に並んだことがなかったが、他にすることもないので同じように並んだ。自分は観劇歴も浅く、顔見知りも居ないが、この道ン十年のような常連さん達が「お久しぶり」の挨拶を交わしている。「いつ来たの?」「何できたの?」とも話しているから遠征組だとわかる。話し言葉も西と東と地元言葉が飛び交っていた。

そうこうしていると場外の行列に、まさご座のスタッフさんによる検温が行われた。発熱者はおらず、消毒。入場料を支払い場内へ。

噂には聞いていたが、まさご座は素晴らしい劇場だった。舞台間口は3間ほどあり、中央からは少し段差がある短い花道が伸び、踊るにもポーズを決めるにも良き大きさの盆舞台。お盆はそれ自体が発光するような作り。ストリップ以外の催し物も行われていると聞いていたが、何をやっても面白そうなハコだと感じた。

まさご座はストリップ以外でも近年めっきり減った「靴を脱いで見る」劇場で、全席座敷席だ。座敷、といっても平らなのは最後方のみで、実際はすり鉢状の劇場だ。入り口付近から舞台方向へ階段状になっている部分に背もたれなどが設けてあり、そこに座る。劇場というより競技場のような作りだ。すり鉢のおかげで前の人が邪魔で見えにくい、ということも余りないように思えた。これも噂には聞いていたが、この階段状の座席、コンクリートだかに薄いカーペットを一枚敷いてあるだけで、長時間座布団なしではキツいということで“通”はみな座布団持参であった。途中外出は15分程度なら可能なので車に乗せている座布団を取りに行こうと思ったが結局行かなかった。

この日は永瀬ゆらさん、葵マコさん、竹宮あんさんの合同周年イベントが行われる日で、大盛況だった。座席の確保も心配されたが、最後方とはいえ、なんとか落ち着いて見る事が出来る場所は確保。並んで良かった。場内を見渡すと来週以降の香盤が写真付で掲示されている。知った顔を見つけては「ここではどんな出し物をするんだろうな」と想像する。

前置きが長くなりすぎたが、いよいよ開演。演劇や演芸などは開演前のナレーションはどこも同じような感じだが、ストリップは劇場毎に台詞もちがえば質感も違うので楽しい。舞台は暗転し、胸が躍る。

トップは、るあんさん。
『華のトップステージ』という紹介が単なるテンプレートではなく、正しく『華のトップ』という感じ。夏らしい爽やかな衣装。透き通るような白い肌。イベントに勢いをつける軽快なダンスで始まりつつ、終盤は何かを確かめるような丁寧な所作でキメにたどり着く。体を支える片腕に浮かんだ筋がとても力強く写り、柔らかで軽い前半とのギャップが新鮮に感じられとても美しかった。

続いては竹宮あんさん
綺麗な顔立ちの方だとお写真では拝見していましたが、実物もお美しい。舞台用のメイク、ということも有るとは思いますが、りりしい感じ。孔雀をモチーフとした華やかな装飾を身につけた衣装。お顔と衣装の雰囲気がぴったりマッチしており、ダンスの説得力が増していた。特に好きだったのが背を向けたシーン。背中の筋肉のバランスというか形というか、とても綺麗で、見入ってしまい、ポラロイドは見返り美人のようなポーズで背中も撮らせていただいた。

三番目は葵マコさん
今回遠征したのはマコさんの周年をお祝いしたかったから。今回、僕が人生で初めてファンレターを書いた人だ。演目はマコさんが大好きな好物をテーマにしたものだった。まず衣装が可愛い。「演劇的」な要素を色濃く出すタイプの踊り子さんだと思っているのだが、それは衣装によるところが大きい。今回の衣装も踊り子がメインカラーに選ぶには珍しいのでは?と思う濃い暖色。しかしながら暖色にふさわしい陽気な演目で楽しくなる。差し色に使用された部分の脱ぎ方にも一工夫施してあり、ストリップならではの演出が楽しめる。衣装が可愛すぎたのでポラロイドは全身とバストアップの2枚。宝物が増えた。荷物になるんじゃないかと渡すのを躊躇したプレゼントと、ファンレターを渡して、簡素な感想を伝える。笑顔で感謝を返すマコさんは本当に楽しそうで嬉しかった。来て良かった。多分、あの時ポラに並んだ行列の皆は同じ思いだっただろう。

モタレ、4番手に永瀬ゆらさん。
2・3番手と異国情緒が漂う演目だったが、和風の演出。男装からのスタート。ゆらさんはくりっとした目がチャームポイントなので「可愛い男装」になってしまいかねない所を、ちゃんと勇ましい表情になっているのが良かった。舞台中央にはポールがあり、後半はポールダンス。荒々しい雰囲気を壊さず最後まで魅せる演目

トリは浅葱アゲハさん
僕自身7月中のストリップ観劇はDX東寺だったので観劇連投。東寺は途中抜けだった事もあり、まさごに行くので写真を預けますというと「一緒にお祝いしましょう!」と言ってくださった。なので一緒にお祝いしているという気持ちで観劇。東寺でも見た好きな演目。ゆらさんで和風になったあと再度エキゾチックな演目。東寺やまさごのような広めの舞台には映える。真っ赤なエアリアルはいつ見ても見応え十分だが、いつもより多めに回ってる気さえした。おめでとうございます、と。染之助・染太郎状態。それくらい力強かった。

2公演目

るあんさんフープ有り演目、幼さを感じさせる容姿と可憐な舞は一本目同様美しく、フープなりポージングなり、力を入れ無ければならない箇所でも柔らかい印象になるのが素晴らしい。

あんさんは自作の衣装とのことでこれもエキゾチックな雰囲気。帽子がかわいい。Twitterのアイコンにされている赤いお召し物が良くお似合いだと思っていたので、1、2本とも青い衣装で意外なイメージを勝手に抱いてしまったが、青も良く似合っていた。

YUMAチームショーを初鑑賞。有りものをされるのか新作なのかあまり事前に情報を仕入れないよう心がけ楽しみにしていた。結果とても良かった。舞台上部に装飾された小道具は手作りなんだろうか?だとしたらスゴい手間掛けている演目である。物語は悲喜劇。二人で演じるとあって動きのある演目だったが、その動きが舞台の間尺にちょうど良く見心地が良い。基本中の基本みたいな安直な感想だがエロくて良かった。なにより演じているお二人がとても生き生きとしており、温かい気持ちになる。

アゲハさんは「puipui」一本目のアジアンクールビューティとうって変わってとにかく可愛い演目、と思わせつつ相変わらずくるくる回る格好良さ。アゲハさんはまず空中技の素晴らしさを評価される事が多い印象だが、可愛いからのカッコイイ、などメリハリが効いた構成力も素晴らしい。

いよいよ周年イベント。この日はどの演者さんの撮影タイムも長蛇の列で時間が押しまくり、2週目終了時に本来なら「今から周年イベントです」的な案内をするはずのスタッフさんが「(押してるので)フィナーレ無しです」と間違ってアナウンスし演者も客もキョトンとするハプニング。結果イベントにおける「ツカミ」のような笑いに変わり和やかムードでイベント開始。自らも周年であるあんさんMCでゆらさんマコさんも登場、アゲハさんるあんさんを呼び込みお祝い。各々周年を迎えた感謝の言葉に場内一同感激ムード。特にあんさんは涙ながらのスピーチが印象的でした。アゲハさんるあんさんのメッセージも温かなもので「ええもん見させてもろた感」でいっぱいに。アゲハさんが「東寺の盆に乗っているとき『マコちゃんありがとう』と思いながら乗っていた」とおっしゃっていたが、見ている我々も同じ気持ちである。ファン代表でスピーチされた方々のメッセージも真心がこもっており、みんなでお祝いした、という達成感が沸く。その後の合同ポラはみなとても良い表情。素敵な笑顔の写真が残る人生は良い人生だ。

この日はイベントもあったので3週目で終わり。

マコさんの3週目の演目は泣いてしまった。板付いた時のシルエットで演目のモチーフはわかったが、灯りが入って衣装小道具が見えたとき、そのかわいさとお似合いさで頬が緩んだ。モチーフこそ違うジャンルだが、あの物語の主人公は葵マコではなかったか。

僕は相当なダメ人間であるが、その思いをより強くしているのは『自分がダメな人間である』ということに向き合う強さがないからだ。できるだけかくして生きてきたし、今だってそう。マコさんは自分のダメなところにも向き合う。そこまでしなくてもいいのでは?と思うほど。自分の全てと向き合って。自分の青春時代の無為さと作品世界がリンクしたということもあって泣いてしまった。心揺さぶられるとても良い作品なので未見のストリップファンに是非ともオススメしたい。

12時前に並んで終演が23時頃(だったと思う)最後トリのアゲハさんが盆から座席へぴょんぴょんと跳んでロビーまで来てお見送りしてくださった。ほとんどのお客さんが最初ないし途中から最後まで居たのでみな少し疲れもあっただろうけど、僕と同様、心地よい疲れだったはず。とても良い一日でストリップ鑑賞人生の中で忘れ得ぬ日になりました。







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