実在の人物こそディスってほしい。映画「Hacksaw Ridge(ハクソー・リッジ)」
★★★☆☆(満足度:三つ星)
<あらすじ> 「殺すな」の十戒の掟を信条とし、セブンスデー・アドベンティスト教会の敬虔な信徒の主人公は、「殺すのではなく救いたい」決意で衛生兵として志願し、沖縄の日本軍陣地のある「ハクソー・リッジ」と呼ばれる高い断崖の上の激戦地に赴く。
「売上は作らないが営業配属を希望」
と言う人なんです。この映画の主人公を企業に例えると。組織の目的や、統率する上で、個人のイデオロギーを認めることはそんな単純ではないですよ。
ましてや軍隊という命をかけた組織の中で、命令に背いたり、命令に疑問を頂くことは、士気に関わりますから、私はこの主人公を単純に肯定できない視点で見てました。
でも、この映画は主人公の道徳的正しさを映画の主題にしているがゆえに、上官や同僚が主人公の主張を否定することが横暴のように描きます。
今の私たちの道徳観や倫理観からいえばそうでしょう。でも70年前は違いますしね。
道徳的に正しと思うし、素晴らしい成果です。でも
立派な成果を成し遂げた人物を描く映画であるし、実在する人物ですから、正しさバイアスで脚色することも理解します。
ただ、一方で「個」を捨てて組織を優先し命を預かって判断する人たちを、正しさの相対として描くのはステレオタイプすぎて、私はこの主人公に全く感情移入できなかったですね。
映画「フォレスト・ガンプ」のガンプの方がキャラクターとして押し切っているぶん魅力的だった。
主張は責任とセットで。
組織において個人の考えを優先することの危険性を一方で描き、それに突き当たって悩み、それでも信じて貫き通した結果。さらに言うなら責任まで描いて欲しかったなと思いますね。
個人を否定せずに文脈でディスらないと、逆にこの主人公が幼稚にみえます。自分は。。。それか天才の話を聞かされている感覚というのかな。
普段、人から正しいことを言われても、素直に受け止められないモヤモヤと向き合ってるんだから。。。自分だけかな。
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