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エクストラバトルの日
エクストラバトルの日。それは転売ヤーによる壮絶なる戦争である。
という冗談にならない冗談はさておき。わたしはとにもかくにもアセロラというキャラクターが大好きである。SMシリーズの四天王周回では毎回わざとゴーストZを撃っていただいていた。あのべろべろばーの可愛らしさといったらなんたるものか。
ともなれば、エクストラバトルの日の賞品を見て参加しないという選択肢は生まれない。運良く抽選にも通ったので、参加した。始めたばかりの初心者がエクストラレギュレーションという恐ろしいカードプールの中で3連勝するなど、夢のまた夢の話ではある。じゃんけんにはそれ以上に自信が無いわたしにとって、かのプロモーションパックの獲得はほぼ不可能に近い。しかし、それで諦められるほどアセロラの可愛さは小さくなかった。たとえ勝ち抜いたあとに66%以上の外れの壁があったとしても、挑戦を決意させるだけの可愛さがそこにはあった。
前ノートで書いたように、我輩はポケカ初心者である。名前はアゲハ。くどいのでここいらでやめとするが、なんにしても弱い。ポケカはアドバンテージの概念がこれまで経験してきたゲームから逸脱しているため、この経験値を活かすことができなかった。少なくともわたしのスキルでは。
そういうわけで、エクストラレギュレーションのデッキレシピを探すところからスタートした。わたしは元来デッキビルドに楽しさを見出だす気質であるので、構築内容を完全コピーすることは好きではないのだが、如何せんポケカというゲームはアドバンテージ以上にデッキ構築の概念がぶっ飛んでいる。初心者が自力でデッキ構築をすれば、エネルギー不足ないしポケモン不足ないしその他ないしの事故を起こしてつまらないまま負けていくことが目に見えていた。まずはデッキ構築のノウハウを盗もう、という考えは何も間違っていないだろう。
「OK,Google ポケカのエクストラレギュレーションのデッキレシピ」
ところが検索結果はどうだ。出てくるのはスタン環境のレシピばかりである。ようやくエクストラレギュレーションのデッキレシピを見つけた。宝物を探し当てた海賊のごとく喜んだ。そして日付を見て絶望した。数ヶ月以上も前の環境のデッキレシピだったのである。これでは使い物にならなくもないがならない。
今は、エクストラバトルの日の影響でデッキレシピが多く出回っているが、当時はなかった。ないものはない。なんとか見つけ出したいくつかのデッキレシピをもとに、わたしのエクストラバトルの日に向けた戦いがはじまった。
結局レシリザか?
そんな思いを抱えながらの模索の日々。後々、レシリザはトップメタとはなりえないことを知ったが、強いことは事実である。
わたしにはポケカを共に嗜む友がほとんどいなかった。しかし、その唯一の友との会話により、わたしが使うデッキが決定された。持つべきものはやはり友であった。わたしが使ったデッキ。それは。
『三神チャーレム』
Ω連打で2パンするチャーレムにとって、オルタージェネシスGXって実質+60じゃん?強くね?
ふざけた会話だった。しかしこれに決めた。後に公式の配信動画で紹介されていたことを知るが、それはそれである。
ポケカエクストラのノウハウを求めて、ひとまずジムバトルに出ることにした。そこで出場者の経験値を盗もう。これが正解だった。出場者の何人かと会話を重ね、三神チャーレムが大きなポテンシャルを秘めていること、構築面の改善点、環境にあるデッキタイプ等を知った。
職業柄、多くの練習時間は取れない。実際、前日まで1週間程度はカードゲームすらしていなかった。それでも隙間の時間を見つけては、自主練習に励んだ。
そして当日。随分と待たせたが、ようやく当日の大会結果の話だ。結論から言えば、決勝で負けた。対戦相手が充分に強かったうえに、大きなプレイミスを重ねたから仕方ない。恐ろしいほどの悔しさを感じたが、同時に充実感もあった。これだ。これが勝負の世界に生きるということだ。わたしが求めていたのはこれだったのだ。
では、当日のレポートを残すとしよう。それほど役には立たないかもしれないが、冬場のライダーの軍手程度には役に立つかもしれない。
【エクストラバトルの日 8人制 スイスドロー形式最大3回戦】
正直、戦うことよりも賞品が欲しいという思いの方が勝っていたため、強い人がいないリーグに当たることを願っていた。しかし現実は無情にも、普通に強い相手を3連続でぶつけてきた。ああ、これが人生というものか。
【1回戦 vsルカメタ 後攻 ◯】
初戦は鋼タイプ。チャーレムにとってのオルジェネが実質+60なように、チャーレムにとってのフルメタルウォールは実質-60。鋼鉄のフライパンも-60。はっきり言って、引くほど不利な相手だった。神よ、なぜこんなにも試練を与えるのか。わたしが不信心者だからだろうか。今さら神を崇めたところで対戦相手は変わらない。oh my god. 多分本来は大文字とかカンマとかクォーテーションマークとか入るのだろうが気にしないことにしよう。
こちら三神スタートでタッグコールも抱えた状態。詳細は省くが、タッグコールさえあれば後1オルジェネが確定で言える。サイド落ちしていなければ。というわけで後1オルジェネ。幸先のよいスタートだ。
相手はルカメタスタート。こちらも先2でフルメタルウォールを宣言し、幸先のよいスタート。
返しの後2。さっきは幸先がよいと申したが、ここでエネルギーが無いことに気付く。oh my god. 少しでも打点を稼ぎたかったわたしにとって、技が撃てないターンがあるということは厳しい。しかし無いものは無い。さらに先1で混沌のうねりが貼られており、せせらぎの丘でアサナンを展開することができなかった。手札にいっぱい来たのでなんとかなったのは内緒の話として、厳しい展開が待ち受けることになった。
相手は展開するためにデデンネGXやカプテテフGXを召喚。わたしのゲームプランが、この2匹を倒して勝つという方向に決まった。
運良くピン差しのグズマを早めに抱えることができていたため、グズマからテテフを倒してサイド3枚獲得。さああとはデデンネだ!
ところがやっぱりエネルギーがない。バトルサーチャーもない。グズマが撃てないかエネルギーがないターンが複数続いた。その間の対戦相手が寝ていてくれれば良かったが、そんな奴はいないので、サイクロンでデデンネを回収され、ルカメタがきっちり育てられてしまう。うーむ、負けで。
しかし、相手の場にはクチートGXがいた。あれを引っ張って倒せば良い。そう思った矢先に鋼鉄のフライパン。うーん、負けか……。
相手はグズマを引けなかったようで、ストロングエネルギーとこだわりハチマキを貼ったチャーレムが引っ張り出されなかった。おかげで、ストエネを複数貼りしたチャーレムの育成に成功し、バトルサーチャーからグズマを引っ張ってきてクチートを倒すことができた。
エネルギーもグズマハラもグズマも無かったため、プラターヌ博士を毎ターン使っており、終盤のドローカードをほぼ計算にいれることができたのが怪我の功名だった。サイクロンを引いて三神を戻すプランを確実に狙えたため、相手を詰ませることができたと思われる。
【2回戦 vsレジロックtベイビィTAG 先攻 ◯】
このデッキは後1オルジェネを言いたいが、かといって後攻宣言をするのが正解とも思えず、じゃんけんに勝つといつも悩まされてしまう。とりあえず先攻を宣言。
ひかるセレビィスタートでグズマハラも引けず。セレビィがしばらくバトル場に居座る嫌な展開。
とはいえ相手はレジロック。後に判明するが、ピッピ人形で時間を稼いで16エネルギー溜め込んでベイビィ超越するデッキに対して、2パンをするチャーレムはすこぶる相性が良い。
オルジェネ宣言から2匹倒し、最後はベイビィタッグを1ターンで仕留めて勝ち。きあい頭突きが続けて使えないことを失念して技を撃つところまで行ってしまったが、前のターンに無理やりワンパン圏内にするためストエネ2つ目を貼っていたから助かった。練習不足が顔を出した瞬間だった。技を撃つ直前に気付いて平然とヨガキックを宣言したわたしを褒めてほしい。
【3回戦 vsサナニンフ 後攻 ×】
まさかの決勝戦に、心が震えた。手も震えた。こういうときのわたしはやらかす。しっかり肝に銘じて向き合った。
そしてやらかした。
「オカルトマニア撃ちます」
「なるほどディアンシー止まりますね……うーん……(色々やった)……グズマでシュシュプ引っ張って、きあい頭突きで」
「オカルトマニアあるのでセレビィの特性も止まってますからきあい頭突き撃てません」
「oh my god……」
なぜディアンシーの特性が止まっていることは覚えていてセレビィの特性のことは忘れていたのか。当時のわたしに聞いても分からないだろう。
このターン、オカルトマニアを失念していなければ、シュシュプを落とすようにエネルギー等の動きができていたにも関わらず、これによって技を撃てずにターンを渡す羽目に。
シュシュプも倒せずダメージも溜めれず、挙げ句返しにこだわりハチマキ付きチャーレムを倒され、絶対絶命。
結局最後は、アサナンのサイド落ちにより殴れるポケモンがいなくなり、いたぶられて負けた。
vsサナニンフなど経験も考察もしていなかったわたしは、対戦後にやはりオルジェネを撃つプランの方が良かったか、と漏らす。すると隣で同型のデッキを使い敗れていた方が、
「そうなんですよ。何度もvsサナニンフを練習したんですが、そうするしか勝ち目がありませんでした」
と教えてくれる。うむ、30分早く教えておくれ。
今回わたしが取ったプランは、三神を出さずにチャーレムで2ターン掛けてサナニンフを倒すもの。チャーレム4枚を使うことは間違いない中、アサナンのサイド落ち且つピン差しのレスキュータンカをアサナン回収に使うことができなかった。結果、アタッカー不足で負けた。無論、オカルトマニア忘れがなければ、ダメージが足りたかフレフワンが立たないかで勝てたかもしれないが、プラン選択の段階で勝ち筋を細くしたことは間違いないだろう。実際、相手が引けなかっただけで、まんたんのくすりとアセロラはフル投入されていた。
反対に、オルジェネを宣言していれば、返しにサイドを3枚取られるものの、こちらのチャーレムが3匹やられる前にサナニンフとフレフワンを倒せば良くなるので、明らかにサイドレースで優位に立てていた。Nも有効に使え、サナニンフもワンパンによって回復させずに倒すことができる。明らかにプランミスだったことに、気付くのが遅かった。後1で気付いていれば……。
総じて、オカルトマニア忘れ兼プランミスという、経験値の足りなさが敗戦を招いていた。勝った試合でも、経験値の足りなさからミスをしていた。悔しい。煮えたぎった地獄の釜のごとく悔しさが沸き上がる。
そして、同時に楽しかった。
戦ったことが。そこに様々な経験値が眠っていたことが。対戦相手に大きな敬意を払うことが。
やはり勝負の世界はよい。わたしは今回の大会で、大きな経験値を得た。大きく成長した。
次があるかは分からない。しかしあったときには……。
また大きな経験値を得られることが、今のわたしにとって楽しみで仕方がない。
P.S
デッキの詳しい解説やわたしの思考経路、成長日記はまたいずれ。