光の邑の住民たち 19
雅子の選択により、この光の邑は、私的な設立ではなく、公的な設立として銀河連合の評議会に認められました。雅子の選択とは、自分の愛する夫をツインに奪われるという恐れや嫉妬から脱却し、大きな愛の元に自分の身を置くという決断でした。
人は、誰もが自分より優位な存在に嫉妬を抱きます。特に男女間の中には、嫉妬という感情は、その恐れを癒すために安心という糧を得ようとします。時に、それは、結婚という夫婦以外の第三者が立ち入ることのできない関係性を築くことで、得ようとします。婚姻関係とは、決してそれだけの制度ではありませんが、夫婦という社会的、人間的な縛りの中で、自分たちの意志を制限していることは事実なのかもしれません。そういった関係性の薄い世界では、嫉妬という感情は、この惑星ほど破壊力のあるエネルギーではないのかもしれません。もしかすると、私たちが認識している嫉妬という感情すら薄いのかもしれません。
雅子も、誰もが持つ負の感情に襲われたことと思います。耐えようもない不安と孤独に苛まれ、感情に負のエネルギーの嵐が吹き荒れたことが想像できます。いかに、夢の中で、サーシャさんというガイドの指導があったにせよ、それは夢の中での話であり、現実に直面した時は、そんなことは忘れていることでしょう。「よく、決断したね?」僕は、そういうしかありませんでした。
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