光の邑の住民たち 14
恩田さんの重い身の上話は、その内容に反して皆の心を開く結果になりました。恩田さんの話をきっかけに、参加者は、順に自分の想いを語り始めました。キャンプファイヤーの炎がそれを囲んで円になって座っている皆の顔を赤く染めていました。棟梁もバーベキューを焼く手を止めて円の中に参加しました。渥美さんの横に腰をよっこらせ、と言いながら落ち着かせました。
「僕は、新しい地球に残りますよ。」まだ若い男性だった。
「恩田さんのような人生ではなかったけど、僕もいつも、この世界がおかしいと感じていました。でも、何ができるわけではなく、大学を出てから就職し、働いたら、働いたで、車を買ったり、マンションを買ったりで、ローンだけが残り、毎月、借金を返すことに必死で、何のために生きているのかわからなくなっていました。解放の日に全てを知り、自分の疑問は正しかったと知りました。でも、だから何ができるかというのが分からなくて、ずっと探していました。なんせ、解放の日の後、すぐに仕事を辞めましたから。だって、馬鹿らしくなっちゃいました。奴隷でしょ、あんなの。だから時間を持て余して、旅に出たり、いろいろな本を読んだり、情報を集めたりしていたら、柚木さんのブログに出会って、なんだか、この人に会いたいと思って連絡を取ったんです。僕は、柚木さんと一緒に行きます。この光の邑に残りますよ。」
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