龍とドラゴン
ここは、古都にある一軒のBAR。
武士が歩いていた時代に作られた人工の川にかかる小さな橋を渡り、細い路地に面した目立たない建物の階段を上がったところ、名刺大の表札の横にある頭を下げないと入れないような小さな扉を開けると、そこにカウンターだけの隠れ家的なBARがひっそりと明かりを灯しているのである。
いらっしゃいませ!
今日は、何をお作りいたしましょうか?
はい、ドラゴン・レディですね。
かしこまりました。
少々お待ち下さい。
え?
また、面白い話ですか・・・
いつも、申しておりますが、
そうネタは持っておりませんので、
ご容赦ください。
お待たせいたしました。
ドラゴン・レディです。
前回といい、最近は、女性ぽいカクテルを望まれますね。
そうそう、ドラゴンといえば、先日、ドラゴン・ウォーターを飲まれながら、あるお客様がこんなことをおっしゃっていました・・・
なんでも、神様の系統で、蛇系とか牛系とかがあるそうなんです。
私は、よく知らないのですが・・・
蛇系で有名なのは、奈良の大神神社の神様であるとか、出雲の神様とか、
弁天様とか、
それは、殆どの神様が、そうじゃないかと思うくらい多いのだそうです。
蛇は、長物(ナガモノ)とよばれ、ナーガ族という蛇神を祭る民族までもいるようです。
日本だけでなく、中国にも蛇体の神様がいたり、メキシコの神様や、エジプトのファラオの頭にも蛇が付いているくらい、蛇と神様は、かかわりがあるといいます。
一方、牛は、祇園の牛頭天王をはじめ、天神さんにつき物の牛だとか、
世界では、お釈迦様のお名前のゴータマは、最上の牛という意味だし、
モーゼには、牛のように角があったといいます。
バビロニアなどの神様に牛をシンボルに持つ神様がいるそうです。
よくこの牛系と蛇系は、対立しているように捉えられているのですが、
もとは、同じなんだと思うとおっしゃっていました。
牛は、角で表わし、これは、アンテナであり、天との繋がりを意味すると。
蛇は、ナガモノで表わし、これは、エネルギーの流れという意味があると。
これらは、本来、龍として現れていたと。
だから、龍は、ナガモノの体に角を持っているのだと。
龍は、天の意志を持ちエネルギーをコントロールできる存在であった。
やがて、
龍の角と手足は、牛になり、
龍の体は、蛇になった。
西洋のドラゴンは、悪い獣として描かれるが、あれは、龍ではなく、恐竜のような竜である。
だから、本来、角をもっていない。
いろいろな尊い者というのは、もとを辿ると一つに辿りつくとおっしゃっていました。
あ、おかわりにドラゴンウォーターをいかがですか?
強い女性よりは、優しいですよ。
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