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#言葉

【詩】 たまゆら

【詩】 たまゆら

空に浮かぶ風船のような

言葉の端をつかまえて

ゆらゆら ゆらゆらと

漂わせていた

真っ青な虚空に浮かぶ言葉たちは

いかにも儚く 頼りなく

手を離してしまえば すぐに弾けて消えてしまいそうで

つかまえたままのこの手のいのち

刹那と言うには長過ぎて

悠久と呼ぶには足りなくて

それと呼ぶにふさわしい言葉は見つからず

せめて

美しい言葉で

呼んでみたくて

【詩】 アルケミスト

【詩】 アルケミスト

昔はもっと手ごたえのある文字を書いていただろ

ごまかしの無い 少なくとも自分の心には

それが いつからか変な風になっちゃった

あなたは あなたでない人になりたがり

書く言葉や文字-―そう、文字までも!――は変わった

あなたは別の人のように外の世界を見、

誰か知らない人のように話し、振る舞った

誰かのような言葉を使い、借りものの思考法で 全ての人とつきあった

そして今 この通りだ

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【詩】 嗜好

【詩】 嗜好

時折、
こういった何の脈絡も統一性も無い
モノや考えに

取り囲まれて生きているのが

自分なのではないかなあ、

と思うことがある

もう少し、言葉、思考、そして筆記具を

丁寧に、大切に

こんな風に、書くことと読むことだけに

1日を費やせる暮らしを手に入れたい

【詩】 言葉

【詩】 言葉

かなしみから立ち上がるところから 物語は生まれる

言葉は意識からさまよい出て それぞれの旅路を模索する

あるいは、あふれ出る泡沫のように、湧いては宙空に消えていく

そんな言葉たちを 抑えることができないのなら

いっそ まるごと 受け入れよう

そして ともに 生きていこう

この世でこよなく愛するものとして

もっとも親しい友人として

言葉とともに 生きてゆこう