日本語ラップ概論第一回:FAKE TYPE.&トップハムハット狂
こんにちは、県犬です。普段はTRPGシナリオを書いていますが、ラップが大好きなのでこんな感じのを定期的に出していこうと思います。概論って言っても大したこと書いてない。なぜなら県犬はあんまり小難しいことを考えられない頭なのだ。
第一回はFAKE TYPE.、そしてそのボーカルを務めるトップハムハット狂の曲を歌えるようになろう!という記事です。
これを読んで、今日から君もトップハムハット狂だ!
①音を飛ばす
とにかくFAKETYPE、というかトップハムハット狂は音を飛ばす。初見で「は?」となるのもだいたいこの飛ばしに耳がついていけてないことがほとんど。とにかく耳触りの良さを優先しているため、余分な音はもう歌わないという戦法に達したのがFAKETYPE。
なので、FAKETYPEの歌を歌うときはもう耳で覚えるしかない。むしろ歌詞を下手に覚えるとそっちに引っ張られて余分な音を飛ばせなくなるケースが増える。「なんとなくこう聞こえたから」で歌うのが吉。でないとあっという間にただでさえ速いリズムに置いていかれる。たった一度のミスが命取り。
魔崇華麗奴
「隙見せれば足引っ張られ」
⇩
「隙見せれば足ひっぱられ」
⇩
「すきみせればあしぱられ」
Mister jewel box
「ひっきりなしにbusy with sing
killigイキリ良い気になった危機意識のない」
⇩
「ひっきりなしにbusy with sing
killingイキリ良い気になった危機意識のない」
⇩
「っきりなしにビジーウィシン
キリキリきになったききしきのない」
ウタカタララバイ
「I wanna know
君が欲しいもの
本心も気づかせてあげるよ
見返りなんていらないありえない」
⇩
「I wanna know
君が欲しいもの
ほんしんも気づかせた(てあ)げるよ
みかえりなんていらないありえない」
⇩
「あわなの
きみがほしもの
ほしもきづかせたげるよ
みかりなんてらな りえな」
ちなみにどの音が飛ぶかとかそういうのはもう、完全にトップハムハット狂の匙加減であるが、個人的には言葉の初めや終わりにつく母音全般、「ひ」「し」「つ」「か」など元々そこまでよく聞こえない音が飛んでいるように思う。
②部分倍速
とりあえずこの音飛ばしを一通り覚えきったら、次はこれである。
トップハムハット狂はとにかくよく舌が回るため、その回転力に任せて時折急にアクセルを踏むことがある。具体的に言えば、それまで16分音符で刻んでいたのが急に32分音符になる、みたいな現象が起きる。これについていけなくて歌う段階で振り落とされることが本当に多い。逆に言えば、①を覚えた上でどこで加速するのかまで頭に入れれば8割は歌えることになる。
Kruel Kreator
「クソ野郎のK Do or nothing
ボロ儲け
瞬く間にInvite 絶望百景の刑」
Princess♂
「直接の要因が俺になくても
その素養があるに変わり無い」
ESKRRRP
「自分に甘口世間に辛口
I got a がっくりリスペクト対象外」(なんと言葉の途中で加速する例もある)
どこで倍速を使うかというと、これはもうトップハムハット狂が「キモチェ〜!!」と思ったところなんじゃないでしょうか。事実、倍速になっているところは歌っていてとても気持ちがいい。ガチのフィーリングでやってる。
③言葉同士を繋げる
最後のこれがマジで初見殺し。これまで説明したものと複合してお出しされることが多いかつ、トップハムハット狂の歌い方が特徴的なのは「なめらかすぎて言葉同士が繋がる」ところにある。
これは前述の2つに比べると、特に英語が好きな人なんかには馴染み深いかもしれない。
さっき出てきたウタカタララバイの「してあげるよ」が「したげるよ」になるあれだ。
ここではまさしく英語の発音と全く同じことが起きていたのである。
「してあげるよ」⇒site ageruyo⇔sitageruyo
君は英語を習っている時、「母音が二つ重なったら繋がる」とか「gの次の言葉の始まりがaだったらくっつけてgaと読む」とか言われなかっただろうか。トップハムハット狂は、日本語を英語のルールで発音している。
舞踏天国
「共振音絶叫しろ」の共振音(kyousinon)
⇩
「きょうしのん」
正直これもフィーリング。でも頭に入れておくとより「らしく」なる。
他にも細かいテクニックはありますが、だいたいここをおさえてあとは練習あるのみで歌えるようになります。マジで練習あるのみです。折れるな!
課題曲候補
もともとこの記事は、歌が上手い友人にもっとFAKETYPEの曲を歌わせるために作ったもの。
なので初心者でも比較的まだ歌えそうな曲を紹介しておきます。難易度は県犬が歌って「まだいけるな」というガバガバ自己判断なので異論は受付中。なお、タイトルに「FAKE」とついてる曲には絶対に手を出すな。あれトップハムハット狂しか歌えないから。
Princess♂:★★★☆☆
まだ良心的。リズム自体がゆっくりかつ、あまり変則的な歌い方もしないため。あと覚えやすい。圧倒的に。
Windy Indie:難易度★☆☆☆☆
休日のトップハムハット狂。全然余裕。さらりと歌えるとかっこいいっすね。
ウタカタララバイ:難易度★★★☆☆
基本的にFAKETYPEが誰かに提供した曲は比較的簡単なことが多い。作曲者カバーを聞けば「あ、あれでも手加減してたんだな…」というのが分かる。
仮装狂想曲:難易度★★☆☆☆
これは最近出た曲だけどFAKETYPEの基礎が詰まってる。これを完璧に歌えればひとまず次のステップにも行けるんじゃないでしょうか。
舞踏天国:難易度★★★☆☆
初級のラスボスといったところ。ぱっと見難しそうだが、コツさえ掴めれば案外余裕で歌える。
Mister Jewel Box:難易度★★★★☆
初級編隠しボス。これ行けたら卒業。
さらに、ここまで読んでくれた向上心の塊みたいな人のために、中級〜上級者向けの曲も一応貼っとく。
Kruel Kreator:難易度★★★★☆
ようこそ、FAKETYPEへ。まだこれでも理解できる遅さなのが恐ろしいところ。ここまでくると地力も正直関係してくるが、ゴリ押しすればいけなくもない。
ESKRRRP:難易度★★★★☆
イントロでゆっくりめだと油断するとその後の急な速度変化に殺されるトロイの木馬。リズムも複雑でとにかく難しい。これだけ新技法「急ブレーキ」が出てきます。そこにつっかかって転ぶこと、非常に多い。これを完璧に歌えたことはいまだかつてない。
魔崇華麗奴:難易度★★★★★
これ歌えるとめちゃくちゃかっこいい、かっこいいけど歌えるか…?って感じの難易度。案外歌唱パートもあるため、頑張れば行けなくもない?
セリフっぽい歌い方さえマスターできればまあ、カラオケでもワンチャンあるかもしれません。でも正直これを人前で歌うのは賭け。
SHAKA-LAKA:★★★★★★
最初の「生まれ持ったセンスから段違い」、歌えるもんなら歌ってみなさいよを感じる。でもまだ、まだいいよこれは。めちゃくちゃ頑張ればある日急に歌えるかもしれんっていう望みがあるだけマシ。
真FAKE STYLE:難易度★★★★★★★★★★
先ほど「FAKE」とついてる曲には手を出すなと言ったが、これはまだ、まだワンチャンある。ほんとに搾りかすみたいなワンチャンだけど、滑舌もともとよくて頭の回転速い人ならいける。歌えるところから歌っていくのも一つの手。他のFAKE曲には手も足も出ないとしたら、これはまだ一矢報いるくらいはできそう。
おわりに
これを見ている、歌の上手い友人くんはマジで頼みましたよ。あとここまで読んでくれたみんなもありがとう。みんなでラップ、しよう!