「ふるさと納税」は本当にお得なのか?
※この内容は動画配信もしています。
https://youtu.be/fBhKmL3QNUw
どーも、あがぽにです。
「ふるさと納税」。
利用すると、お肉とかお米なんかがお得にもらえちゃったりするこの制度。
お得だ!お得だ!と憑りつかれたように騒がれていますが、
どうお得なんだと。
これテストに出るぞー!
と言わんばかりに「お得」ってことだけピックアップされてますけど、
そこ切り取っただけじゃよくわからないから。
この計算、「答えは2だぞー!」
って言われてもどんな計算?ってなっちゃうから。
ということで今回は、「ふるさと納税」が本当にお得なのかどうか、
を調べてみました。
で、結論。
いきなり言っちゃいますが、
お得じゃないです。
まぁ、あくまで個人的な見解になります。
が、私はお得じゃないと判断しました。
なぜ、そう思ったか、「ふるさと納税」の仕組みを
できるだけ分かりやすく解説しつつ、
その理由を話していきたいと思います。
■1.「ふるさと納税」とは、そもそもなんなのか
簡単に言うと、
・応援したい地域への「寄付」
・寄付すると、その地域から返礼品がもらえる
・さらに、寄付した金額分は「所得税」と「住民税」から控除される
と、いうもの。
いきなり衝撃の展開。
ふ る さ と 納 税
と、言っときながら、
納税じゃなかった。
レインボーブリッジという名前が付いてるのに、
まったくレインボーの色をしてない。
そんな感じ。
「ふるさと納税」の実態は、寄付。
寄付なんです。
まずここを抑えておくのが大事。
ただ、いきなり、
「寄付なんだよ」
「寄付するとお礼もらえるんだよ」
「しかも寄付したお金、税金から控除されるんだよ」
って言われても、
ちょっと何言ってるかわかならない。
ていうか「控除」ってなに?
ってなる方、いると思います。
わかります。
順を追って噛み砕いて説明していきます。
■2.仕組み
まず初めに言っときますが、
すんげー複雑です。
複雑だから、多くの人が「わからない」ってなってるんですよ。
私も調べててイライラしました。
総務省の、
「よくわかる!ふるさと納税」
ってページがあるんですけど、
根っこの部分を隠した、小松菜とほうれん草並みに分かりませんでした。
というのもね、色んな情報が絡み過ぎ。
一つ一つの言葉、条件、状況など、
多くの情報や知識を把握できてないと、一気に理解できなくなります。
というわけで、ややこしいことは全部そぎ落として、
できる限りやさしく説明していきます。
「ふるさと納税」の実態は、先程も言った通り
「納税」
ではなく、
「寄付」
なんですが、
この全貌を理解するには、関連する税金、
「所得税」と「住民税」
の2つを知っておく必要があります。
なので、所得税と住民税の説明を、まずします。
ここで深入りすると、もうすぐわからなくなってしまうので、
世の中で一番多い「会社員」の例で、
細かいことは全部省いて、すんごくざっくりいきます。
所得税ってのは、「稼いだお金」 を基に、
「国」、に納める税金です。
稼げば稼ぐ程、税額も大きくなっていくという厄介な特徴持ち。
この所得税、いつ払っているのかというと、
会社が毎月の給与を払う時に、きちんと計算して事前に引いています。
※因みに、会社が自動的に所得税を引いていく仕組みを
「源泉徴収」と言います。
とりあえず、所得税はこれだけ。
稼ぐと発生する、国に納める税金、それが所得税。
そしてもう一つ、住民税。
住民税ってのは、「住んでいる町」によって、
「地方」、に納める税金です。
「東京都」の「品川区」に住んでいるのであれば、
「東京都」と「品川区」に納める必要があるってことですね。
税額は、所得税と同じように、「稼いだお金」によって変わるほか、
住んでいる地域 によって変わるという特徴持ち。
この住民税、いつ払っているのかというと、
所得税と同じで、会社が毎月の給与を払う時に、
きちんと計算して事前に引いています。
※因みに、会社が自動的に住民税を引いていく仕組みを、
「特別徴収」と言います。
とりあえず、住民税はこれだけ。
どこかに住んでて収入があると発生する、
地方に納める税金、それが住民税。
つまり私達は、収入によって決められた税金を、
「国」と「地方」の2箇所に納める必要があるわけです。
日本で暮らすための共通費、とも言える税金ですが、
おなか痛くて公園のトイレに入った時、
紙がなかった時の怒りはどこにぶつければいいんでしょうか…。
とにかく、この「所得税」と「住民税」のダブル攻撃、
お金を稼ぐとどうしてもおみまいされてしまいます。
でも稼いだお金、そのすべてに、直接税金攻撃をされたら、
負担がデカい。
加えて、同じ年収500万の人であっても、
「独身」 と 「家族を養っている人」、
「病気で医療費が沢山かかる人」 と 「医療費がかからない人」
といったように、
人それぞれ、経済的な状況には、大きな違いがあるわけです。
そのため、様々な状況に合わせて、
税金攻撃を軽減できる対策も用意されています。
それが「控除」。
控除というのは、「差し引く」という意味。
ここも深入りすると混乱を招くので、
計算式とか細かい条件とかは全部省いて、
すんごくざっくりとした例を挙げて説明します。
例えば、100万円稼いだ場合、
そのまま直接税金を計算するのではなく、まず控除を適用。
すると、税金を計算するための金額は、45万円に減るんです。
税率が10%であった場合、
100万円のまま計算されたら、10万円の税金を払うことになります。
ただ、控除が適用されて、税金を計算するための金額が45万円になれば、
支払う税金は、4万5000円に減額されるってことですね。
ドラクエの呪文で例えるなら「フバーハ」。
化粧品で例えるなら「日焼け止め」。
降りかかる税金攻撃のダメージを軽減してくれる、
そんな効果を持っているのが、
控除。
因みに、この控除、
「基礎控除」「配偶者控除」「生命保険料控除」…などなど、
状況に合わせて適用できるよう、色んな種類が用意されています。
さぁ、所得税、住民税、控除、の概要を抑えた上で、
「ふるさと納税」に話を戻します。
冒頭で説明した通り「ふるさと納税」は、
寄付です。
で、
この寄付に対して、適用できる控除があるわけです。
それが、
寄附金控除。
「ふるさと納税」で利用できる寄附金控除についても、
細かいことは省いて、ポイントだけでざ~っくり説明すると、
1年間の寄付総額 - 2,000円 = 控除
というものになっています。
唐突に2,000円が出てきましたけど、
これはもうそういう決まりで、2,000円は必ず負担するものになっています。
なので、寄付金が2,000円以下だと控除の対象にはならず、
あくまで、2,000円を超えた部分が控除の対象、
ということですね。
例えば、「ふるさと納税」で10,000円寄付した場合、
8,000円分が、「所得税」と「住民税」に分けられて控除される、
という感じ。
もう少し言うと、控除の割合は、住民税のが大きくなっています。
この例で、税率が10%だった場合で言うと、
8,000円の10%、
つまり、800円が所得税分として控除され、
残りの7200円分は、住民税として控除されます。
※ここでいう税率は、「所得税率」のことで、
稼いでいる金額によって変わります。
ただ当然、「寄附する人の納めている税金」によって、
控除の上限は決められています。
そのため、寄付自体はいくらでもできるんですが、
控除の上限を超えて寄付してしまうと、
超過分は控除されないので、注意が必要。
そうなんです。
「ふるさと納税」を無駄なく行うためには、
自分の控除上限を、まず知る
必要があるわけです。
なので、各種「ふるさと納税」のサイトには、
シミュレーターが用意されていて、
そこで自分の控除上限が凡そ把握できるようにはなっています。
また、「ふるさと納税」で寄付をした後、
この寄付金控除の申請をしないことには、控除が受けられません。
で、その申請方法がどうなっているかというと、
「確定申告」か「ワンストップ特例制度」という、
どちらかの手続きが必要になっています。
ね? 複雑でしょ?
おなかいっぱいになってきたでしょ?
横になりたくなってきたでしょ?
ここも細かいことは省いて、ざっくりいきます。
「確定申告」というのは、毎年2月~3月15日付近で、
「税務署」に稼いだ分の申告をする、という手続き。
会社員の場合、会社が代わりに稼いだ分の申告をしてくれているので、
通常、「確定申告」をする必要はありません。
なので、会社員の方は、あまり馴染みのない申告。
ですが、寄付金控除に関しては、
会社側で行う処理に含まれていないんです。
なので、「ふるさと納税」で寄付をして、
その控除を受ける場合は「確定申告」が必要になります。
とはいえ、寄付金控除のためだけに「確定申告」は面倒。
そこで考えられたのが「ワンストップ特例制度」。
この「ワンストップ特例制度」は、
確定申告をしなくても寄付金控除が受けられるというもの。
申請書に必要事項を記入して、寄付した自治体に送るだけで完了します。
と、一見、確定申告より楽そうに見えるこの「ワンストップ特例制度」。
実は、ふるさと納税をした、
自治体毎に提出しないとならないという鬼畜仕様。
なので、もしお目当ての返礼品が、
5つの自治体で別れてしまっているような場合、
例えば、
北海道の昆布、新潟県のお米、兵庫県の牛肉、
栃木県の苺、和歌山県のみかん、
といったような感じで、
5つの自治体全部に寄付した場合、
なんと「ワンストップ特例制度」の申請書を、
5通分記入するという苦行を強いられることになります。
とにかく面倒な申請手続きですが、ここをしっかりやらないことには、
控除を受けることができない。。
さぁ、ここまでで、「ふるさと納税」の概要と、
すんげー複雑ってことはわかってもらえたかと思いますが、
一旦、情報整理と、実際の「ふるさと納税」の流れを
イメージできるように、おさらい しておきます。
・ステップ1
「ふるさと納税」ができるサイトにアクセス
※「ふるさと納税」で検索すると「楽天」をはじめ、
色んなサイトが出てきますが、「利用サイト自体のポイント」などを
考慮しなければ、基本どこでも同じです。
・ステップ2
そのサイトのシミュレーターを使って、自分の寄付上限額を確認
・ステップ3
寄付上限額を目安に、通常のショッピングと同じように欲しい返礼品を選ぶ
・ステップ4
返礼品が届いたら楽しむ
・ステップ5
寄付金控除の申請を「ワンストップ特例制度」にした場合は、
返礼品とは別に書類が届くので、必要情報を記入し、
寄付した自治体へ提出、あるいは、確定申告をする
・ステップ6
間違い等がなく、しっかり控除申請が完了していれば、
翌年の税金が控除される
と、いったものです。
細かいことは、極力そぎ落として説明しても、理解し難い。
それが「ふるさと納税」。
ざっと調べた限りでも、
・しっかり申請できていなかった
・申請方法を間違えた
などの理由によって、
結果として控除を受けられなかった人のエピソードは、
結構、散見しています。
■3.お得じゃない理由
ここまでの説明で十分伝わったとは思いますが、
きちんと理解して、
申請を間違わず、
書類作成に時間をかけず、
スムーズに手続きできる、
なら、やってもいいんじゃない?
って思いますが、通常、この仕組みの理解、商品選び、手続き等々には、
膨大な時間が必要になります。
そのため、私あがぽに、
個人的には、見合う恩恵はないと、思いました。
さらに言うと、所得の少ない家庭なんかでは、
そもそも税金をそんなに払ってない。
払っている税金が少ないってことは控除上限も低い。
しかも2,000円は必ず取られるわけですし、
控除が反映されるのは翌年、且つ所得税と住民税は別々に処理されます。
そのため、実感も湧き難い。
ここに労力使うより、他に使った方がハッピーになれるんじゃない?
と、時間を奪われることが大嫌いな私、あがぽにとしては、
拒絶反応出まくりの結果となりました。
それと別観点の見解も一つ。
「ふるさと納税」は、言ってしまえば、所得税と住民税の一部を、
「住んでいる町」以外に切り替えられるという見方もできるわけです。
これ、ケースによっては、自分の町のサービスが、
将来的に衰退してしまうことにも繋がりかねないわけですよね。
逆に潤う町もあるんでしょうが、
もし自分の町の公共サービスが充実していないような場合は、
そういった意味でも、ふるさと納税はお得ではないのでは、と思いました。
自分が住んでる町で、緊急に入った公園のトイレ、紙があって欲しいぜ。