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トランプ大統領の豹変と嘘を可視化した(新型コロナ編)

 此のところ、トランプ大統領(以下トランプ)がWHOと中国の批判を増長している。歴史的大失態の責任をWHOと中国に被せるためにトランプ政権、共和党一体となって躍起になっている。


  WHOには、資金を引き揚げ、脱退もちらつかせて脅し、中国にはウィルス発生の責任を問い、報復すると脅す。トランプの嘘を指摘する記者には、フェイクニュースと叫び取り合わず、また、民主党に対しては突如「オバマゲート」を持ち出してきた。
 責任逃れのためなら何でもする。手段を選ばない。露骨すぎるように見えるが、日本のマスメディアにはそうは見えないらしい。

  さて、以下のグラフをみてほしい。世界176か国のコロナ肺炎が確認されてから5月8日までのコロナで亡くなった人数の国別のグラフである。

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  1国だけダントツに突出している国がある。さてどこでしょうか。そうです。米国だ。いくら何でも他国とこれだけ、かけ離れているのはおかしいと思わないか。いくら人口が多いとは言え、人口密度はそう高くない。米国は一体何をやったのだろうかという疑問が沸く。
 いや、何かをやらかしたのではなく、やらなかったのだ。トランプ政権は、経済を優先するあまり、新型コロナを見誤り、過小評価して他国がやっているような適切な手を打たなかったのだ。

 ご存知の通り、コロナ肺炎は潜伏期間(多くは4,5日)を含めてPCR検査、発病報告まで2-3週間程度かかる。また症状の軽い人や症状の出ない感染者も多い。自分でも知らぬ間に感染させることがある。感染力も極めて強く指数関数的に広がる。

 感染者が増えて、感染者/クラスタを追える人数のうちに抑えないと、もう止められなくなる。

 トランプに悪意はなかったのだろうが、初期に被害があまり出なかったので、経済と秋に控える大統領選を優先し、季節性インフルと同程度と思い込み、手を打たなかったのである。それが、クリティカルな患者数を超えることとなり、医療崩壊を招くまでになったのである。
 手遅れになって自分の失態に気づいたトランプは、責任転嫁先を中国とWHOに決め、態度を変容させたのである。その豹変ぶりを以下の表とともに整理してみよう。

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 謎の新型肺炎は、12月31日に中国からWHOに報告された。WHOは全世界の関係機関に注意喚起の連絡をした。
参考:日本では翌1月6日のHPで警告通知している。https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08767.html

 当然、強力な情報セキュリティ組織を持つ米国は、それ以前に情報は入手していたと思われるが、公式には米国CDCもこの時点で認知した。
当初は警戒していたので、対応は極めて早かった。感染者ゼロの1月17日から、NY,SFO,LAX空港で検疫を始めた。
1月30日にWHOが国際非常事態宣言(PHEIC)したらすぐに中国との渡航制限を牽いた。この時、患者数は6人である。ここまではかなり慎重であった。しかし警戒していたのはこの頃までであった。

 米国最初の感染者が1月21日で、死亡者も2月下旬になるまで出なかったので、すっかり安心して、1月下旬の定例の会見では、「完全にコントロールできている」、当時悲惨な状況にあった中国習近平と電話会談した後も「中国の努力と透明性に感謝してる」「結果は出てないが中国は非常に努力してる」「習主席はリーダーシップを発揮してコロナ対策に注力している」と誉めちぎっている。


 そして、米国にとって一番重要だった2月に外出自粛等の策を打たなかったのだ。世界最強の米国CDCの勧告をも差し戻し、受け身の対応だけで積極的で実質的な手を打たなかったのだ。
2月の下旬の会見でも「インフルエンザのようなもので、例年インフルエンザで35000亡くなっている。」と演説した。 


 当然国民は警戒することなく、普通に過ごしたのだ。結果的にこの2月が致命的な失敗だった。2月末の感染者はまだ66人で、死亡者1名だったが、3月3日に100人、11日に1000人、18日には6000人を超えるほど指数関数的に増えたのである。ニューヨークやカリフォルニア等の各州もロックダウンを始めたが、もう制御できない。

 3月中旬、この前代未聞の大惨事の責任をどうしても回避したいトランプはWHOと中国に責任転嫁することに舵を切ったのである。トランプ政権のペンス、ポンぺオ、アザー厚生相、共和党着議員一体となって世論誘導キャンペーンを始める。

 新型コロナを「チャイナウィルス」と呼び、「中国が故意にウィルスを作った。」「武漢研究所ら発生した。証拠もある。」(これは情報当局がウィルスは人工のものではないと発表した直後である。しかも後で証拠は出せないと訂正している)「中国は報復を受けるべきだ」となりふり構わず。驚くことに、これら発言は、インフォーマルな所で記者に語ったことでなく、ほとんど公式の会見で語っているのである。

 5月20日現在で9万人以上が亡くなり、大量の失業者を生み、経済を崩落させた史上まれにみる大惨事を引き起こしたのは、コロナを過小評価したトランプ政権なのである。一番被害を被っているのは、他でもない米国民だ。トランプを大統領に選んだつけがこんな形で来ようとは。

 私が最も驚いているのは、日本のメディアの扱い方だ。こんなに分かり易いトランプの豹変ぶりと嘘を検証もせず、トランプ発言をほぼ右から左に報道し、純粋無垢な日本大衆を惑わし、結果的にトランプを助けていることだ。「WHOと中国をたたいてくれてありがとう」と称賛する大手メディアすらある。取材と称して賭け麻雀ばかりしている記者ばかりなのか?

悪化が良貨を駆逐するような状態にはなって欲しくない。
もっとしっかりして下さい 日本のマスメディアさん

(あとがき)
 日本は、幸いギリギリのところで米国のようにはならなかった。楽観主義者たちは、後付けで専門家や小池知事を責めているが、なにか2月のトランプに似ているようにみえる。私は、西浦先生や尾身先生の専門家会議のメンバー及び、末端の保健所の方々、小池、吉村知事等の各自治体の長、あと自粛要請に応えた日本国民全体は本当に凄いと思うし、感謝している。本当にトランプでなくてよかった。

※ 感染者及び死者数データはOur World in Dateから引用

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