逢いたい菜 毎週ショートショートnote
スーパーな一日 【410字】
穏やかな冬の日だ。こんな冬なら大歓迎なんだけど、などと思いながら久々にスーパーに買い物に出かけた。
母が不在のため、自分の食事の用意をしなければならない。
入ってすぐのみかんを見て驚いた。5つほど入った小さな袋に530円の値札。りんごに至っては200円近い。
いつからここは高級スーパーに成り下がったんだ!と頭の中がうるさい。居並ぶ緑の野菜たちも庶民の顔をしておきながら驚くような値札が付いている。
ああダメダメ。今日は野菜は無しだ。少々食わなくても死にはしない。小さい頃から野菜は嫌いだったじゃないか。何を今さら目移りするんだ。
一通り店内を回っても、これといったものに巡り会わない。ぼんやりと日々を見送っている間に何が起きたと言うんだ。
まぁいいさ。と出来合いのチキンカツ弁当を手に取った。これをチンして食えばいい。それにしても野菜の分際が恨めしい。
ああ、ほうれん草くらいあったなら・・・せめて夢でも逢いたい菜。
了
たらはかにさま
よろしくお願いいたします