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ワンシーンMUSIC on Dr.タカバタケと『彼女』の惑星移民
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#20より抜粋 ヤマバ ムラの回想
そして、次にマリーに会うことになったとき(マリーがずっと俺の話をしていたから、会うことは特別だったらしいが)小さなマリーは箱の中に、静かに眠っていた。
マリーの周りにはマリーゴールドが敷き詰められていた。オレンジのマリーゴールドだ。マリーはオレンジ色のマリーゴールドに抱かれたまま、眠り続けていた。
どういうことなのか。どういう仕掛けなのか。俺には意味が分からなかった。それでも、その意味を理解するしかなかった。
まだ6歳になったばかりのマリー、きれいな金色の髪にそっと触れる。マリーの柔らかく温かい頬が、冷たくカサカサしている。俺が触れても、そのキラキラしたアンバーの瞳が開くことはなかった。
意味を理解するしかなかった。俺は手短にマリーとの別れを告げさせられた。
医者は「マリーが、君と出会いそして短い人生に別れを告げたのは、そういう運命だったんだよ」と、そう言いった。そして俺がマリーにあげた、AI付きのぬいぐるみドールを俺に渡した。
その後、俺はβチルドレンに戻っても、誰とも口を利かずに過ごした。
そして自分の中で繰り返し問うた。
『運命とは何だ』
『死の運命とはなんだ』
俺たち人類に突き付けられている死の運命、太陽膨張。既に受け入れている大人たちもいる。
「運命なのよ。いずれ死ぬ運命なのよ」
棺桶の前で、チルドレンの先生は、うつろな目でそう呟いていた。
『だめだ!』
『死なせてはだめだ!』
『何故死なせた!』
『何故マリーを失わなければならなかったんだ!』
あきらめだ、世の中にあきらめがあるからダメなんだ。
『運命を変える!』
『運命を変え、世界を救う!』
『誰もやらないなら俺がやってやる!』
俺の中にその決意が生まれた。
俺は14歳。
マリーは6歳。
マリーは永遠に6歳のままだ。
ひどく酔っぱらったヤマバ ムラが愛車マリーン号の中で回想する
ヤマバ ムラがチルドレン(学びの)時代、唯一心を許す存在だったマリー
そのマリーの死に直面したシーン
ここに相応しいのは壮大な葬送曲だろうか
いや、そうじゃない。少なくとも私には
ここはヤマバに自問させてみた
どういうわけか、このヤマバはまくら氏と重なってしまう
この曲、ギター一本で奏でられるこれを選んだのにはその影響もあるだろう
でもいいやん。私がそう感じるのは
とにかく聴いてみてください
ばっちりリンクするはず
Extreme / More Than Words
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Grazie