京都タワー 山根さんの企画
京都駅の北側には灯台がある。
もちろん本物の灯台ではない。内陸部の京都市に灯台は必要ない。
おそらく60年前の創建当時は京都市で、いや京都府下で一番高い建造物だったに違いない。今の正確なところは把握していないが、十傑には数えられるだろう。
この京都タワーは灯台に準えて建てられたそうだ。私には和蠟燭の方がぴったりくるのだが。
京都駅を港に見立て、あまねく観光客を招く灯りとすることが狙いだろうと想像はつく。
しかしこの造形、お世辞にも美しいとは言い難い。率直に言えば不格好、不似合い、異様。これはやっつけ仕事にしか見えない。しっかりした計画の元にデザインがなされたなら、もっと美しいものが建っていただろうと想像する。
京都駅から南に目を向けると、東寺(教王護国寺)の五重塔が目に入る。なんとも惚れ惚れする佇まいである。
きっとタワー設計者建築家の胸には東寺の塔に引けを取らない、近代に相応しいものを建てようという思いがあったに違いない。ただ惜しむらくはセンスがなかった。圧倒的に欠けていた。
私たちのちょっとしたミスはアハハで片づけられるが、こうした大型プロジェクトでは後世の語り草になる。市民はこれを揶揄しては言葉遊びのネタにしていることを思うと、効用がないとも言い切れないのだが。
そこで提案がある。今でこそその求心力を失ってはいるが、いっときは「土下座前に集合」という掛け声のもと、大いに街の目印として活躍していた東海道の発着点、三条大橋の袂に鎮座します髙山彦九郎の銅像に倣って、設計者の方には土下座の像でも作っていただいて、京都市民を喜ばせる話題くらいは提供してほしいものである。
それで市民の溜飲も下がれば、洒落者として設計者の名誉も少しは挽回できようというものである。
山根さん
よろしくお願いいたします。