白い公園 シロクマ文芸部
雪化粧をした姿に、「綺麗だね」という言葉が頭の中でこだましていた。でも口には出さなかった。
公園が見える朝の喫茶店は空いていた。窓辺に座り、真っ白な公園を眺める。
真っ白ではない。
真っ白の中に、白い輪郭の木々がある。
コーヒーが半分になったころ、雪はいっそう強くなった。灰色の空も、木々の輪郭も何もかもを塗りつぶすように雪が降る。
遠くに赤い傘が見える。
あれは君だ。
君だとわかった。
時おり傘をくるくると回して、白に埋め尽くされそうな世界に赤い色を挿す。
君が踏みしめる音がする。キュッ、キュッと。それは海の生き物の呼吸のように、挨拶を交わすように耳に伝った。
ドアの音がして、君の笑顔が開いた。
僕は立ち上がって、僕の前にいざなう。
僕は誇らしかった。
君が笑っている。
ふたりで見る公園は真っ白だった。ゆっくりと落ちてくる雪が、音に乗って弾んでいた。
「きれいだ」
あふれて、こぼれた言葉だけが君に届いた。
小牧部長さま
今週もよろしくお願いいたします。