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忘年怪異 毎週ショートショートnote



招かれた会社   【410字

転職の希望は叶った。

「実は今日、忘年会なんだよ。いきなりで申し訳ないが、校、社長も是非にと仰るんだ。行けるかね」
みなさんとお近づきになれるのなら文句はない。
「会場は学、社長の別荘なんだ。最寄駅から専用のバスが出るから、頼むよ」

指定されたバスには私以外誰もいない。席に着くとバスはブルブルと体を震わせ、私はたちまち眠りに落ちた。

目を開けると、目の前に如何にも古臭い玄関。そこの社員らしき人影に声をかけた。
「お世話になります」
「ようこそ。もうみなさんお待ちかねです」
お待ちかね?どういう事だ?

案内された重い扉を押し開いた。
ざわついていた空気が一瞬凍りついたが、すぐ元に戻った。
「みなさん、本日新しい仲間が加わりました。彼も我々と同じ村崎小学校の卒業生だ。温かく迎えてやってほしい」
なに?小学校の同窓生だと?
こちらを見る笑顔はいったいどういう意味なんだ。
壇上の幕には見覚えのある校章が既に光を失い、糊の跡だけが残さてれていた。
      了


たらはかにさま
よろしくお願いいたします




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