ご飯台 毎週ショートショートnote
うちのダイニングには一風変わったものがある。元々は四つ脚の台の上にお櫃が載っていたらしいが、今ではそのうちの二本の脚が車付の杖、所謂ごはん杖に取って代わられ、その上に炊飯ジャーが鎮座するという、なんとも不格好な代物である。
聞くところによれば、私がまだ未就学のころ、夕飯時にテーブルの下に潜り込み、走り出た拍子に、ご飯のたっぷり入ったお櫃ごとひっくり返してしまったらしい。お櫃は箍が外れてご飯をダイニング中にぶちまけ、ご飯台も二本の脚を失った。
私のちょっとしたやんちゃが、我が家に大損害をもたらしてしまったのだ。
こんな壊れた台なんぞ買い替えてしまえば良さそうなものだけど、ケチ親父の黒い眼が光っているうちはダメなのだそう。ゴルフクラブはバンバン買っているくせに。
こんなケチ親父だけれど、この事件の時ばかりは壊れたお櫃やご飯台には目もくれず、私を抱きかかえたそうだ。
そんな話を聞いて、この老いて杖を突くご飯台、処分できるか?
410字 (ルビを含まず)
たらはかに さま
今週も相変わりませず、よろしゅうおたの申します。
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