マーガリン 毎週ショートショートnote
*おもしろくはありません。
そのつもりで読んでください。
410字
我が社は食の枢軸マーガリンを生産して早や50年。今後も変わらず増産を続けていくつもりである。みなさんも信念を持って、生産に従事してほしい。
社長の創立50年の訓示が終わると、みな生産レーンに向き直った。
「食の枢軸は言い過ぎだろ」と若い男が言った。
「私ゃね、目の前のものがたとえ爆弾でもちゃんと仕事しますよ」と古株のおばちゃんが言う。
賛同する者、受け流すもの、眉を顰める者、社内には様々な思惑が渦巻いている。
世間ではトランス脂肪酸の是非が取り沙汰され、発明国のフランスを始め、主要国のすべてが生産をやめている。そんな中、日本ではどういう訳かそのような声は一切上がって来ない。
しかし社内では、この問題によって会社の先行きを不安視する者も多かった。
それから僅か一カ月後、工場の全員が一斉に解雇された。どうやら工場をロボット化するらしい。しかしこの解雇に抗議する者はほとんどいなかった。この設備投資で会社はオワタと思ったのである。
たらはかに さま
裏お題もよろしくお願いします。
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