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ふぉれすとどわあふ⑤ 三羽さんの企画


ちょっと早めのハロウィーン

かずみんさんのお話から物語は続きます


ハロウィーン@どわあふの森   【
985字

トリックオアトリート
声はだんだん近づいてくるようです。
みんな同じところに集まって、声の方に集中しています。

トリックオアトリート
おしくらまんじゅうのように、みんなが体を寄せ合っています。

トリックオアトリート
声はもうすぐ近くです。
みんな震えています。

トリックオアトリート
もう声が耳のそばで聞こえます。

声はすぐそばで聞こえるのに、姿が見えません。
「どういうことなの?」
ケイが首をかしげます。
「声、どこからしてる?」
みんながいろんな方向を向きました。
「あ!誰かの顔かと思った」
ツンツンきつねくんが上を見上げて言いました。
みんなが見上げたそこには、葉が重なった大きな顔がありました。
「ビックリしたね」
オドオドうさぎくんが言いました。

もう声は聞こえません。
「どこに行っちゃったの?」
リリが言いました。
「不思議ね。すぐそばで聞こえたのに」
ケイがそう言ったかと思うと、みんなのそばの地面から、落ち葉が噴き出しました。
「キャー!」みんなが四方八方に飛び退きました。

ケイがそっと近づいていくと、また葉っぱが少し舞い上がりました。
「誰なの?」
地面から見たことがあるようなないような顔がひよっこり顔を出しました。

トリックオアトリート
「あ!くまさん!」
リリが言いました。
「みんな、子どもたちだけで森の奥に来ちゃダメだって知ってるだろ?」
それはくまさんの顔でしたが、泥だらけです。
「くまさん、どうしてこんなところに?」
「クリを取ってくるように頼まれたんだけど、穴に落ちちゃって」
みんなが笑いました。

くまさんは「よっこらせ」と言って体を出そうとしました。でもお腹が抜けません。
「みんな、力を貸して」
リリがくまさんの腕を持ち、ケイがリリのシッポを持ち、ツンツンきつねくんがケイのシッポを持ち、オドオドうさぎくんがツンツンきつねくんのシッポを持ちました。
「だってしかたないでしょ?わたしシッポが短いから」
「いいのよ、そんなこと。引っ張るよ、せーの」
「せーの」みんなが声を合わせます。
3回、5回、10回目でようやくくまさんが出てきました。

「どうしてトリックオアトリートなんて言ったの?」
「その方が気づいてくれると思ったんだ」
「気づかなかったらどうするつもりだったの?」
「そうだなぁ、誰かが気づいてくれるまで叫んださ」
またみんなが笑いました。

それからみんなでクリを拾って、仲良くどわあふの雑貨店に帰りました。

次のテーマ
①栗のお菓子を作ろう
②くまさんを洗濯する
③みんなで秋のパーティー
以上から次のテーマを選んでください


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