深夜2時に言いたいことなんて
深夜1時から入る銭湯から外に出た瞬間が1番心地良い。温ったまった身体をゆっくりバイクで冷ます帰り道。星が嘲笑ってやがる。
当たり前の顔でやってくるのに、こっちはまだ半袖がいいなんて。秋はスマートぶるから嫌いだ。
いつも後からわかる。帰り際にする右斜め下を向くぼやけた輪郭、性格悪いってよく言われるよねと聞かれた横断歩道、ご馳走した料理を不味いと言った夜、卒業アルバムに写ってるのは誰なのかも、何もわからなかった。「これは全部コメディだ」と言う心には、一体どんな生き物がいるのだろうか。
何考えてるかわからないなんて言われたって、こっちだって、どうしてそんなことを言うのかわからない。見ているものが果たして本物かどうかなんて、どうやったらわかるのだろう。心が繋がってるなんて、どうやって確認できるんだろう。愛してるなんて、なぜわかるんだろう。
手を繋ぎながら殴り合うことなんて、果たして出来るのだろうか。わからない。でもきっと後からわかる。「なぜ」からわかることなんてのは、どれも都合の良い勘でしかない。考えられた言葉は感情を殺し思考を停止させる。少なくともこの世に1人はそう思う。
後からわかることなんていらない。コメディなんていらない。信じられる温かさがほしい。今わかることなんて、悪意のない悪意による痛みだけだ。当たり前の顔してリアルへと覚ましてきやがる。
だから秋は嫌いだ。