遊戯王 マスターデュエル:テーマ「軍貫」について(前編)
2024年08月12日:カードプールの増加やリミットレギュレーションの変更等を考慮して、全面的に加筆訂正・再編集致しました。
当ノートでは「遊戯王 マスターデュエル(MD)」に実装されているテーマ「軍貫」について解説します。
テーマ「粛声」が実装されたり、《RR》や《氷結界》が強化された2024年08月08日のアップデート直後の環境を想定した内容になっています。
文量の都合から、ノートを「前編」と「後編」の2つに分けています。解説のほとんどは前編で行っており、後編には具体的な展開例をまとめています。
当ノートは前編です。
概要
「遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ(OCG)」において。「軍貫」は2021年4月17日に発売された基本パック「遊戯王OCGデュエルモンスターズ DAWN OF MAJESTY」で初登場・カテゴリ化したテーマです。
キャッチコピーは「しゃりを握って闘う『軍貫』!」ということで、いろいろな意味でネタに走ったテーマと言えるでしょう。寿司だけに。
OCG・MDともに以下カードが実装されており、いずれも無制限となっています。
メインモンスター
《しゃりの軍貫》
《いくらの軍貫》
《しらうおの軍貫》
《赤しゃりの軍貫》
《うにの軍貫》
エクシーズモンスター
《弩級軍貫-いくら型一番艦》
《空母軍貫-しらうお型特務艦》
《超弩級軍貫-うに型二番艦》
フィールド魔法
《軍貫処 『海せん』》
永続魔法
《おすすめ軍貫握り》
通常罠
《きまぐれ軍貫握り》
ところで、通常罠カードのなかに《赤酢の踏切》というカードがあります。カードイラストだけならば「軍貫」カードのようですが、効果としては「軍貫」とまったくシナジーがまったくありませんのでテーマ外カードとみなして扱います。
特徴
「軍貫」の特徴、および基本的な動かし方は以下のとおりです。
炎属性・水族のランク4・ランク5エクシーズテーマ
「軍貫」メインモンスターは炎属性・水族のレベル4・レベル5で統一されており、それらを素材にランク4・ランク5のエクシーズモンスターを立てていくエクシーズテーマとなっています。
展開に際して特に制約は掛かりませんので、お好みのランク4・ランク5エクシーズモンスターを立てることができます。
ただ、テーマ内エクシーズモンスターは特定の「軍貫」モンスターを素材にエクシーズ召喚すると効果を発動できるようになっていますので、基本的には「軍貫」エクシーズモンスターを立てるように動くのが良いかと思います。
戦闘特化
「軍貫」カードの効果は戦闘にほぼ特化しています。
妨害を飛ばせるのは《弩級軍貫-いくら型一番艦》と《超弩級軍貫-うに型二番艦》の2種類だけであり、しかも、その妨害能力は強くありません。効果自体はそこそこ強いのですが、効果の発動タイミングがかなり狭いので、総合的には微妙な妨害効果となってしまっています。
妨害能力がしょっぱいならば、その代わりにステータスが優秀であるとか、強力な耐性を持っているかというと、そんなこともありません。一応《空母軍貫-しらうお型特務艦》と《軍貫処 『海せん』》の組み合わせにより、攻撃力がちょっぴり上がるのと効果破壊耐性を獲得できますが、あまり強くありません。
――ということで、先攻を取っても特にすることがないわけですが、では後手捲りが強いのかというと、そんなこともありません。せいぜい普通レベルです。1回・2回くらいの妨害であれば踏み越えることができますが、それ以上の妨害を飛ばされるとキツイです
「しゃりの軍貫」ありき
「軍貫」カードの多くは「しゃりの軍貫」として扱うカードを参照する効果を持っています。なかでも「軍貫」メインモンスターは「しゃりの軍貫」が手札かフィールドにないとまともに動けません。
もともと「しゃりの軍貫」として扱うのは通常モンスター《しゃりの軍貫》のみでした。投入できる「しゃりの軍貫」が3枚しかないということは、メインデッキが40枚のばあい、デュエル開始時の5枚ドローで《しゃりの軍貫》を1枚以上引く確率はたったの33.8%です。
後ほど《赤しゃりの軍貫》という手札・デッキ・フィールド・墓地において自身を「しゃりの軍貫」として扱う効果モンスターが登場したことで素引きしやすくなりましたが、それでも40枚デッキで素引きする確率は57.7%です。悪くはありませんが微妙に心許ない確率と言わざるをえません。
そのため「軍貫」系アーキタイプでは「しゃりの軍貫」をサーチ・リクルートできるカードを採用して、少しでもアクセスしやすくするのが肝心です。
エクシーズ素材を消費しない「軍貫」エクシーズモンスター
3種類実装されている「軍貫」エクシーズモンスターはエクシーズ素材を消費して発動する効果を持っていません。その他「軍貫」カードのなかにもエクシーズ素材を消費するカードはありません。よって、エクシーズ素材が余ってしまいます。
もちろん、それ自体は決して悪いことではありません。ただ、余らせるくらいであればエクシーズ素材を消費して発動する妨害効果なりを持たせて欲しかったというのが正直な思いです。
逆に考えると、エクシーズ素材が余っているのでエクシーズ素材を消費して発動する魔法や罠との相性が良いと言えます。あとでも紹介しますが《サクリファイス・ランクアップ》などとはベストマッチです。
ドローやめくりでデッキに触る
「軍貫」カードの多くはドロー効果や「デッキの上から3枚をめくって~」や「カードを選んでデッキの上に置く」みたいな、ちょっとめずらしい効果を多く持っています。
特にドロー効果についてはテーマ外カードに触ることができるので強力なメタカードをピン挿ししていても引ける可能性があります。
反面、サーチ効果のほうはあまり優秀ではありませんのでテーマの動きに安定感がない印象です。
テーマ内カード
「軍貫」カードを解説します。文章量の都合からカード効果を読み上げるのはできるだけ避け、私の解釈を中心にお伝えします。
《しゃりの軍貫》
当テーマのキーカードです。
通常モンスターなので《予想GUY》や《苦渋の決断》といった通常モンスターサポートカードの恩恵を得ることができます。何気に攻撃力が高いのも良いですね。
当然3積みです。
《いくらの軍貫》
効果②は適当に使っても「しゃりの軍貫」を当てることは難しいです。メインデッキ総枚数が40枚。《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を3枚ずつ計6枚投入。ゲーム開始時の5枚ドローで《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を1枚も引けなかった場合に《いくらの軍貫》の効果②で《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を1枚以上当てることができる確率は44.2%です。1枚引いていた場合は38.0%です。あまり頼りになりません。
有効活用するためにはデッキトップを操作できるカードが必要になるわけですが、ちょうど「軍貫」カードにはデッキトップを操作できる《しらうおの軍貫》と《軍貫処 『海せん』》があります。
ただし、自身とそれらカードとの効果適用順には気を付けないと、デッキトップを操作してからデッキトップの「しゃりの軍貫」を引き当てるというコンボが決まりませんので注意してください。コンボ成功のための条件が厳しく、個人的にはあまりオススメできるコンボではありません。
総合的に考えるとせいぜい2積みです。1積みに減らして空いた枠を別のカードに充てるほうが良いかもしれません。他テーマとがっつり組み合わせるばあいは不採用でもよいでしょう。
《しらうおの軍貫》
効果①は《いくらの軍貫》の効果①のほぼ上位互換です。こちらは発動する効果のため《増殖するG》などの影響を受けますが、そこまで大した問題ではないでしょう。
効果②は手札から《しゃりの軍貫》《赤しゃりの軍貫》を出して自身とともにランク4エクシーズモンスターに繋げることができます。このとき出すのは《空母軍貫-しらうお型特務艦》になると思いますが、効果②でデッキトップに「しゃりの軍貫」を置いておけば《空母軍貫-しらうお型特務艦》のドロー効果で「しゃりの軍貫」を引くことができます。
また、このデッキトップ操作効果は墓地からデッキに「しゃりの軍貫」を戻せるのでリソース回復にもなるなど一石三鳥の効果となっています。
採用枚数は3積みか2積みです。構築次第では1積みでもよいかもしれません。
《赤しゃりの軍貫》
「軍貫」ファン待望の、事実上2枚目の《しゃりの軍貫》です。
《しゃりの軍貫》とは異なり効果モンスターであるため、通常モンスターサポートカードの恩恵は受けられませんが、そのぶん強力な展開効果を搭載しています。
「しゃりの軍貫」として扱うことから、《苦渋の決断》で通常モンスター《しゃりの軍貫》を墓地へ落すことで効果モンスター《赤しゃりの軍貫》をサーチするという面白い動きができます。
3積み必須です。
《うにの軍貫》
簡単に自己展開できる効果とサーチ効果を兼ね備えた良カードです。
基本的には3積みですが、他テーマとがっつり混ぜるばあいや捲り札を大量に積みたいばあいなどは2積みにするのもアリです。
《弩級軍貫-いくら型一番艦》
効果①の1ドローは先攻・後攻ともに価値ありますが、2回攻撃能力付与は後攻でしか役に立ちません。
効果②は相手が自爆特攻しかけてきた場合は相手ターンでも発動できますが、現実そのような状況はほとんど発生しないので事実上、後手捲り専用の効果です。
ということで、この後手捲り特化カードは1積みか2積みで良いと思います。
《空母軍貫-しらうお型特務艦》
効果①でドローとサーチを一緒にできるのは普通に良い効果です。ただ、「軍貫」魔法・罠は全体的にしょぼいので、せっかくのサーチ効果を活かしきれているとは言いがたい状況です。
効果②は効果破壊耐性が頼りになるうえ、少しだけではありますがパンプアップ効果もありがたいです。
1積みか2積みで良いと思います。
《超弩級軍貫-うに型二番艦》
効果①の直接攻撃能力付与は珍しいですが良い効果です。ドローも普通にうれしいです。
効果②は「軍貫」にとって貴重な妨害効果ですが使いどころが限られるので先攻妨害要員として見なさないほうが良いです。捲るときに妨害をかけるための効果と考えてください。
1積みか2積みで良いと思います。
《軍貫処 『海せん』》
初見時は「なんか強そう!」と思わされますが、実際に使ってみると「これ要る?」となる系のカードです。
効果①は「軍貫」モンスター全般と相性が良い効果です。ただし、「軍貫」モンスターを展開する前に発動しておかないと有効に働きません。《空母軍貫-しらうお型特務艦》の効果①でサーチ・発動してから利用しようとしても手札に召喚・特殊召喚できる「軍貫」モンスターが存在しないことは多いです。
よって、効果①を活かすには素引きして発動するのが良いのですが素引きするためには投入枚数を増やす必要があります。しかし、かといって複数枚引いてしまうと使い道がないので安易に複数枚積むことができるカードではありません。もちろん、手札をコストに発動するカードを採用すればコストとして利用できるので無駄はありませんが、そこまでして使いたい効果かというと怪しいところです。
効果②は非常に強い効果……に見えますが実際には割と強い程度です。
1つ目のバーン効果ですが、よくよく読むと「軍貫」エクシーズモンスターの守備力ぶんのダメージを与えるとあります。「軍貫」エクシーズモンスターの守備力は《弩級軍貫-いくら型一番艦》が300、《空母軍貫-しらうお型特務艦》が250、《超弩級軍貫-うに型二番》が500なので雀の涙です。しかも、1ターンに1度しか発動できません。
2つ目の特殊召喚効果ですが、手札に「しゃりの軍貫」がないと発動できません。「しゃりの軍貫」は展開に使いたいカードなので、展開の結果として余ったならまだしも、当効果のためだけに手札に抱えておくだけの価値はありません。
総合的に考えると非採用か1積み、多くても2積みくらいで十分ではないでしょうか。
《おすすめ軍貫握り》
効果①は一見強力ですが全然そんなことはありません。というのも、非常に誤解を招く書き方をされているためです。説明すると長くなってしまいますので以下、遊戯王wikiの該当ページを参照ください。
効果②につきましても雀の涙のような影響しかありません。
原則不採用。多くて1枚採用でよいと思います。
《きまぐれ軍貫握り》
効果自体は非常に強いです。ただ、罠カードなので発動タイミングが遅いのがネックです。仮に、効果②が墓地へ送られたターンでも使えたならばカードを墓地へ送って発動する系のカードと組み合わせることもできたのですが……。
非採用か、多くて2積みで良いかと思います。
関連テーマ・カード
「軍貫」と組み合わせると相性が良い。あるいは一見すると相性が良さそうだけれども意外と微妙なところがある。そんなカードやテーマを簡単に紹介します。
テーマ「占い魔女」
ドローしたときに手札から特殊召喚する効果と、手札から特殊召喚したときに発動する効果を持ったテーマです。なお、ゲーム開始時の5枚ドローで引いても左記効果は発動できません。
「軍貫」はドローを繰り返すテーマなので相性が良いかと思ったのですが……いや、実際相性は良いのでしょうが、そもそも「占い魔女」全体のカードパワーが弱いので組み合わせるとかえって弱体化してしまいます。仮に、手札から特殊召喚したうえでさらに1ドローしてくれるのであれば採用する価値は十分にありました。
テーマ単位で組み合わせるのはやりすぎですが《占い魔女 スィーちゃん》だけは悪くありません。レベル4なので「軍貫」モンスターとともにランク4エクシーズモンスターへ繋がりますし、効果②で相手モンスターをどかせば大きな戦闘ダメージを与えることができます。
また、「軍貫」と組み合わせるのであれば《魔法使い族の里》も投入しましょう。そうすれば先攻は「占い魔女」モンスターと《魔法使い族の里》を組み合わせたロック盤面。後攻は「占い魔女」モンスターの手札からの特殊召喚時効果で展開しながら盤面を捲っていけます。
「魔鍵」
「通常モンスターを軸とする『軍貫』は、同じく通常モンスターを軸とする『魔鍵』と相性が良い」という話を聞いたので回し方やデッキの組み方を調べてみたのですが、あまりシナジーがあるようとは思えませんでした。
全くシナジーがない、というわけではなく1つのデッキ内に「軍貫」軸の動き・「魔鍵」軸の動きをそれぞれ持てるので、どちらかの動きを潰されても片方の動きで最低限の展開ができるようです。ただ、その程度であれば「軍貫」も「魔鍵」もそれ単体で組んだほうが強いでしょう。
「勇者」
通常召喚して効果を発動するモンスターが必須ではない「軍貫」との相性は良いほうだと思います。
ただ、特別シナジーがあるかというとそんなことはありません。「軍貫」と「勇者」とで別のギミックを使えるというだけのことです。
「アーマード・エクシーズ」、および「FA」
比較的相性は良いと思いますが、ちょっと扱いは難しいです。
まず、ランク4「軍貫」エクシーズモンスターを立てて諸々の効果を処理。その後、当該ランク4「軍貫」エクシーズモンスターに重ねて《エクシーズ・アーマー・フォートレス》をエクシーズ召喚。《エクシーズ・アーマー・フォートレス》の効果①で「アーマード・エクシーズ」カードをサーチして、《フル・アーマード・エクシーズ》などで《FA-ダーク・ナイト・ランサー》を出して効果③で相手モンスターをエクシーズ素材として吸収……という一連のコンボをやりたいわけですが普通に展開するとこのコンボはできません。
ランク4「軍貫」エクシーズモンスターを立てた時点では、ランク4「軍貫」エクシーズモンスターはエクシーズ素材を2つ持っています。これに重ねて《エクシーズ・アーマー・フォートレス》をエクシーズ召喚するとエクシーズ素材は3つになります。《エクシーズ・アーマー・フォートレス》はエクシーズ素材を持っているとエクシーズ素材にできないので《FA-ダーク・ナイト・ランサー》につながりません。
つなげるためには《エクシーズ・ギフト》や《サクリファイス・ランクアップ》といったエクシーズ素材を取り除いて発動するカードでエクシーズ素材を調整するか、《エクシーズ・アーマー・フォートレス》とは別にランク5・ランク6のエクシーズモンスターを立てておく必要があります。あとは《No.60 刻不知のデュガレス》や《魔鍵憑霊-ウェパルトゥ》といったエクシーズ素材を消費できるエクシーズモンスターを経由する手もあります。
とはいえ、相性が良いのは確かです。例えば《エクシーズ・アーマー・フォートレス》でサーチできる《アーマード・エクシーズ》を《超弩級軍貫-うに型二番艦》を対象に発動すれば攻撃力2900の2回直接攻撃が可能になります。
あるいは相手ターンに自分・相手のエクシーズモンスターが1度でも戦闘を行った直後のタイミングで《フル・アーマード・エクシーズ》で《天霆號アーゼウス》をエクシーズ召喚すれば、効果①で盤面を一気に整理できます。
《レスキューラビット》
《しゃりの軍貫》2枚をリクルートできるのは悪くない効果ですが、「しゃりの軍貫」として扱うカードはどちらかというと手札にあったほうが有効に使えるので思ったほど強くはありません。
《炎の精霊 イフリート》
「軍貫」モンスターはいずれも炎属性であるうえ、除外されても特別大きな損失にならないので当モンスターの特殊召喚コストとして利用しやすいです。
ただし、先攻1ターン目で墓地に「軍貫」モンスターが存在する状況を作り出すのはあまり簡単ではありません。具体的には以下状況が考えられます。
《苦渋の決断》で墓地へ《しゃりの軍貫》が送られているばあい。
墓地へ送られた《しゃりの軍貫》はコストとして利用するのにぴったり。
「軍貫」エクシーズモンスター以外のエクシーズモンスターの、エクシーズ素材をコストに発動する効果で「軍貫」モンスターが墓地へ送られているばあい。
「軍貫」メインモンスターでエクシーズ召喚するばあいは、できるだけ「軍貫」メインモンスターを出したい。
「軍貫」メインモンスターをもとにリンク展開して墓地へ送られているばあい。
リンク展開は「軍貫」とはあまり相性が良くないのでオススメできない。
《ヘルフレイムバンシー》を除外すれば当該モンスターの効果②により、《ヘルフレイムバンシー》も場に並びます。
《幸魂》
コスト無しで手札から召喚できるのは非常に強いです。「軍貫」はレベル4モンスターを複数枚並べるのは意外と難しいので、当カードを使えば簡単にランク4エクシーズモンスターへとつながります。
状況にもよりますが、このときは「軍貫」エクシーズモンスターではなく《魔鍵憑霊-ウェパルトゥ》や《ヘルフレイムバンシー》を出して「軍貫」モンスターをサーチすることで「軍貫」ギミックへとつなげる動きが丸いでしょう。
また、当カードを採用するのであれば《荒魂》か《和魂》も採用してコンボにつなげると良いでしょう。
このように優秀なカードではありますが上記以外に「軍貫」とシナジーはありません。過大評価しないよう、ご注意ください。
《FNo.0 未来龍皇ホープ》
ランク4エクシーズモンスターを2体以上立てやすいので、それらを素材に《FNo.0 未来皇ホープ》をエクシーズ召喚。《FNo.0 未来皇ホープ》の上に重ねてエクシーズ召喚することで割と簡単に出すことができます。
《星守の騎士 プトレマイオス》
レベル4モンスターを3体以上並べるのはそこまで難しくないので出しやすいです。状況に合わせて、重ねてエクシーズ召喚できるランク5エクシーズモンスターを選べるのも汎用性があって良いですね。
ただし、難しくないとはいえ、それらモンスターを用意するのは簡単でもありません。レベル4モンスター3体を素材に出すだけの価値がある……と断言できるだけの性能を持っているかは怪しいところです。
このモンスターを経由してランク5エクシーズモンスターを立てるくらいならば通常魔法《サクリファイス・ランクアップ》で立てるほうが強い印象です。
《ヘルフレイムバンシー》
《魔鍵憑霊-ウェパルトゥ》と似た立ち位置ですが《しゃりの軍貫》にしか触れない《魔鍵憑霊-ウェパルトゥ》とは異なり「軍貫」モンスターすべてにアクセスできます。
《炎の精霊 イフリート》の特殊召喚コストとして除外されたばあいは効果②で特殊召喚できるのも便利です。
《賜炎の咎姫》
炎属性モンスターを主軸とする「軍貫」系アーキタイプであれば効果①の制約に引っ掛かりにくく、かつ効果②で蘇生するモンスターも簡単に用意できので相性が良いです。ただし、積極的に出したいモンスターかというと怪しいところです。
第1に、当モンスターはあまりに汎用的なモンスターです。特殊召喚条件が緩く、効果も強いので積極的に出したい気持ちは理解できるのですが、当モンスターを有効活用したいのであればわざわざ「軍貫」を使う意味はありません。
第2に、特別「軍貫」と相性が良いわけではないことです。当モンスターと相性が良いのは特殊召喚成功時に効果を発動できたり、名称ターン1制約のないモンスターだと思うのですが「軍貫」にはそのようなモンスターはありません。
第3に、リンク素材となるモンスターの選定も難しいです。「軍貫」メインモンスターを使うばあいは「軍貫」エクシーズモンスターへ繋げていきたいので、当モンスターを出すのに使うのはもったいないです。「軍貫」エクシーズモンスターにしてから当モンスターの素材にするばあいはエクシーズ素材がもったいないですし、リンク素材にできるモンスター数が減るのでより多くのモンスターを展開する必要に迫られます。
ということで、個人的には「軍貫」を使う以上は当カードはあまり使いたくないです。
《エクシーズ・ギフト》
「軍貫」エクシーズモンスターは「しゃりの軍貫」を素材にエクシーズ召喚すれば1ドローできるうえ、エクシーズ素材を消費して発動する効果がないので当カードと相性が良いです。
上手くいけば「軍貫」エクシーズモンスター3種類のドロー効果で3枚。《エクシーズ・ギフト》を3連打で6枚。計9枚を、1ターン中にドローすることもできます。
ただし、初動には何ら寄与しないので上振れ用のカードですね。
《ジェネレーション・フォース》
名称ターン1制約なしに「エクシーズ」カードをサーチできる強カードです。
「軍貫」系アーキタイプの方向性の1つとして、エクシーズ素材を消費して発動する「エクシーズ」カードを多用するものがあります。そういったアーキタイプであれば当カードはキーカードになります。
《予想GUY》
コスト無し・縛り無しで《しゃりの軍貫》をリクルートできるのは普通に強いです。
「軍貫」実装当初は3積みされていましたがカードプールが増えた今では《苦渋の決断》に取って代わられるようになりました。その理由は以下のとおりです。
効果は優秀だが「自分フィールド上にモンスターが存在しないばあいに発動できる」という発動条件が微妙に厄介。例えば「軍貫」エクシーズモンスターをエクシーズ召喚し、効果①でドローしたカードが《予想GUY》だったばあいはフィールドに「軍貫」エクシーズモンスターがいるので発動できないなど腐る場面が少なくない。
複数枚素引きすると1枚目は使えるが、そのターン2枚目以降は使えない。
《いくらの軍貫》《しらうおの軍貫》的にはフィールドに「しゃりの軍貫」が存在したほうが強く動けるが、より強力なモンスターである《赤しゃりの軍貫》《うにの軍貫》としては手札に「しゃりの軍貫」があるほうが嬉しい。
弱いカードではありませんので採用はアリです。
《苦渋の決断》
《予想GUY》と入れ替わりで採用されるケースが見られます。カードプールの増加に伴い、「しゃりの軍貫」をフィールドに出すのではなく、手札に握っておきたい場面が増えたのでこちらが採用されるようになりました。
通常モンスターを墓地へ落として、同名通常モンスターをサーチする効果だと思われがちですが、《しゃりの軍貫》を落として《赤しゃりの軍貫》をサーチできるので「軍貫」では特に強く使うことができます。
基本3積みですが、デッキから《しゃりの軍貫》を落としすぎると展開に支障を来たすのがネックです。《しらうおの軍貫》で戻したり、《石油採掘》で回収したりする仕組みがあったほうが良いかもしれません。
《サクリファイス・ランクアップ》
「軍貫」の救世主となる超好相性カードです。
ランク4「軍貫」エクシーズモンスターから出すことができるランク5エクシーズモンスターのオススメは以下のとおりです。
水属性ランク5エクシーズモンスター
《FA-クリスタル・ゼロ・ランサー》へと繋げることができます。
《No.53 偽骸神 Heart-eartH》
《サクリファイス・ランクアップ》で特殊召喚されるとエクシーズ素材がないので効果③で《No.92 偽骸神龍 Heart-eartH Dargon》へと繋げることができる。
《CX ダーク・フェアリー・チア・ガール》
リンク素材等にすることで無駄なく効果①を発動できる。
《サイバー・ドラゴン・ノヴァ》
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》へ重ねてエクシーズ召喚できる。
《CNo.80 葬装覇王レクイエム・イン・バーサーク》
《サクリファイス・ランクアップ》の効果対象になったランク4エクシーズモンスターなどに装備させることで当該モンスターを大きく強化できる。
《召煌女クインクエリ》
効果②により、自身のランク5エクシーズモンスターの破壊を躊躇させる効果があります。仮に破壊されても《うにの軍貫》などをサーチできます。
ランク5「軍貫」エクシーズモンスターから出すことができるランク6エクシーズモンスターのオススメは以下のとおりです。
《RR-レヴォリューション・ファルコン》
効果②により、特殊召喚されたモンスター相手であればほぼ間違いなく戦闘勝利できます。
《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》
普通に強いので、基本的にはこのモンスターを特殊召喚します……が、これ単体で出してもエクシーズ素材がなくて無効効果を発動できないため、その点には注意です。
《CX-N・As・Ch Knight》
効果②は使えませんが守備表示で出せば、効果で破壊されない守備力3000の壁役として有用です。
《死祖の隷竜ウォロー》
強化幅は小さいですが自分モンスターのステータスを全体強化できます。
《超越竜ドリルグナトゥス》
効果②により最大6000ダメージを与えることができます。
非常に強力なカードですが、名称ターン1発動制約があること、原則としてサーチできないこと、効果発動条件を満たすためにエクシーズモンスターを立てないといけないことなどから安定して利用できるかは怪しいです。
《エクシーズ・テリトリー》
発動させることさえできれば非常に強力なカードです。
効果①によりエクシーズモンスター全般の戦闘力がかなり強化されます。「軍貫」エクシーズモンスターはステータスは以下のように変動します。
《弩級軍貫-いくら型一番艦》
攻撃力:2200 ⇒ 3000
守備力:300 ⇒ 1100
《空母軍貫-しらうお型特務艦》
攻撃力:2200 ⇒ 3000
守備力:250 ⇒ 1050
《超弩級軍貫-うに型二番艦》
攻撃力:2900 ⇒ 3900
守備力:500 ⇒ 1500
《超弩級軍貫-うに型二番艦》の攻撃力が「3900」にまで強化されるのも強いですが、どちらかというと《弩級軍貫-いくら型一番艦》と《空母軍貫-しらうお型特務艦》の攻撃力が「3000」ラインにまで引きあがることで戦闘破壊されづらくなるほうが嬉しいです。両者とも生き残っていると強いカードですからね。
効果②はエクシーズ素材を消費しない「軍貫」エクシーズモンスターと相性ぴったりです。《空母軍貫-しらうお型特務艦》がいるばあいは同モンスターの効果②により「軍貫」エクシーズモンスターに破壊耐性が付与されます。つまり、《エクシーズ・テリトリー》と《空母軍貫-しらうお型特務艦》が並べば相互に破壊耐性を付与できるというわけです。
問題はいかにしてアクセスするかです。3積みするのが無難ですが複数枚素引きすると弱いカードなので投入枚数には注意したいです。総合的に考えると「エクシーズ」カードをサーチできる通常魔法《ジェネレーション・フォース》を3積みして、《エクシーズ・テリトリー》は1積みか2積みするのが丸いと考えます。
《切り裂かれし闇》
効果①・効果②のどちらも「軍貫」と嚙み合っていて相性が良いです。
できるだけ盤面に出したいカードですが、それぞれ名称ターン1使用制約があるため、複数枚素引きすると無駄になるため採用枚数は注意してください。
1枚か2枚採用でよいと思います。
《オーバーレイ・ネットワーク》
「軍貫」に限らずエクシーズテーマ全般と相性が良いです。
「軍貫」においては効果①よりも効果②のほうが有用です。エクシーズ素材となった「しゃりの軍貫」を回収できればさらに展開したり、次ターンの展開リソースになるからです。
1積みか2積みでよいと思います。
《超融合》
ドロー効果により手札が余ることが多く、かつEXデッキに比較的余裕があるので融合モンスターに避ける「軍貫」系アーキタイプであれば、そこまで無理なく使用できます。
そのときどきの環境によって刺さり具合が大きく変わるカードなので常に3積みできるわけではありませんが積む価値があれば積んでおきたいです。
《エクシーズ・インポート》
強力な妨害札であり、妨害能力が欠けている「軍貫」の欠点を補ってくれます。ただ、安定してエクシーズモンスターを立てることができるか怪しい「軍貫」ではそもそも発動条件を満たせない可能性があります。
通常魔法《ジェネレーション・フォース》でサーチできるので1枚くらいは入れていてもよいでしょう。
構築例
「軍貫」系アーキタイプの構築例を紹介します。
【純軍貫(基本型)】
「軍貫」の純構築としては基本となるかたちです。組むときに意識した点は以下のとおりです。
《しゃりの軍貫》と《赤しゃりの軍貫》を素引きしやすいようにメインデッキの枚数は40枚に抑える。《予想GUY》や《苦渋の決断》など1:1交換でアクセスできるカードもあるがデメリットがないわけではないので可能なかぎり素引きしやすいようにする。
「軍貫」は捲り力が強くないので後手で戦うばあいを想定して妨害札・除去札を選定する。いろいろと調整した結果、《超融合》を3積みすることにした。《エフェクト・ヴェーラー》や《拮抗勝負》なども捨てがたい。
「軍貫」メインモンスターはできるだけ多く入れたい。ただし、《いくらの軍貫》と《しらうおの軍貫》は死札になりやすいので2枚に減らして、そのぶんを他のカードに充てる。
《苦渋の決断》は強いが複数枚素引きすると弱いうえ、貴重な《しゃりの軍貫》をメインデッキから減らしてしまうので1枚採用とした。その代わりに「しゃりの軍貫」をサーチできる《魔鍵憑霊-ウェパルトゥ》と《ヘルフレイムバンシー》を積み、それらを出しやすい《炎の精霊 イフリート》《荒魂》《幸魂》も採用した。
《サクリファイス・ランクアップ》は単体では使えないうえに名称ターン1発動制約まで付いている重いカードだが、使うことさえできれば《サイバー・ドラゴン・インフィニティ》などへつなげることができるので採用。複数枚素引きするリスクを考えると1積みか2積みがよいが、サーチできないのと引けなかったばあいに盤面が弱くなることを考えて3積み。
【純軍貫(除外型)】
「軍貫」は基本的に墓地を利用しないテーマです。基本型をベースに墓地メタを意識して微調整した例として提示します。
墓地へカードを送れないので《苦渋の決断》は外しています。
【FA軍貫】
「FA」と混ぜてみました。併せて「エクシーズ」カードも複数枚採用してみました。安定感は欠けますが爆発力が強化された印象です。
《エクシーズ・アーマー・トルピード》を出せるように《SRベイゴマックス》と《SRタケトンボーグ》の1枚初動ギミックを追加しています。
総評
なんども指摘しているように「軍貫」自体は後攻特化のテーマです。先攻の適性は全くないのですが、かといって「ヌメロン」や「列車」のように強引に盤面を捲っていくだけのパワーもありません。ハッキリ言って弱いです。
展開に際してサーチではなく、ドローに頼らざるをえない効果が妙に多いのも気になります。カードの使う順番などを意識することで、ある程度は対応できる(特定のカードをデッキトップに置いて、別のカードでドローすることで疑似サーチになる)のですが、どうしても安定性に欠けます。
ただ、ドローの利点に注目するならば「サーチできない、あるいはサーチする手段は一応存在するが現実的ではないカード」を手札に引き込め可能性が生まれるのは「軍貫」独自の利点と言えます。
また、安定感は欠けますが爆発力はなかなかのものです。直接攻撃能力や2回攻撃能力を持ったモンスターがいるので、持久力はあるが瞬発力がない環境テーマ相手ならば勝つこともあります。