第3話「目覚めの枕と、鏡に映る現実」
目覚ましの音が響き、いつものように朝がやってきた。重いまぶたをこすりながら起き上がろうとした瞬間、ふと枕に目が留まった。まだ寝ぼけているせいで視界はぼんやりしているが、白い枕の上に黒い筋のようなものがいくつも目に入る。
「……え?」
思わず息を飲む。そこには、無造作に散らばった髪の毛が何本もついていた。指先でそっと摘んでみると、確かに僕の髪だ。以前はこんなこと気にしなかったのに、今日はその抜け毛一本一本がやけに目立って見える。まるで、朝の光が容赦なく自分の薄毛の現実を照らしているかのように思えた。
「最近、こんなに抜けてたっけ…?」
ベッドから立ち上がると、なんとも言えない不安が胸に広がってくる。枕についている髪の毛の量が、どれも自分の大切な一部が抜け落ちた証拠のようで、無視できない現実に思えてきた。ふらふらと洗面所へ向かい、眠気が覚めぬまま顔を洗う準備をする。
鏡の前に立ち、ふと気になって頭を少しかがめてみる。後頭部がどうなっているのか、恐る恐る確認しようと、手鏡を使ってみた。すると、そこには、想像以上に地肌が透けて見えている頭頂部と、つむじ周りの薄さがはっきりと映し出されていた。
「これは…ひどいな…」
鏡の中で見える自分の姿が、急に別人のように感じた。昔はもっと髪がふさふさしていたのに、今や頭皮が露出している部分が明らかに目立つ。かつては無縁だと思っていた薄毛の現実が、容赦なく僕を襲ってきた。「なんでこうなっちゃったんだろう…」と心の中で呟くが、答えは返ってこない。
そのまま鏡に映る自分の姿をじっと見つめていると、不意に胸が締めつけられるような感覚に襲われた。自分がどうしようもなく老け込んでいくような、そんな気持ちだった。「これ以上悪化したら、どうなってしまうんだろう…?」という不安がどんどん膨らんでいく。もしかすると、今日見た抜け毛は、ほんの序章に過ぎないのかもしれない。
「まさか、これがAGAってやつなのか…?」
今まで薄毛なんて他人事だと思っていた僕が、ついに自分自身の問題として受け入れなければならなくなった。現実は、枕の上に残された抜け毛、そして鏡に映る頭皮の姿という形で、確実に僕に突きつけられていた。
その日、会社に向かう通勤電車の中でも、窓ガラスに映る自分の後頭部が気になって仕方なかった。以前なら気にも留めなかった車窓の反射が、今日は自分の髪のボリュームをチェックするための「鏡」になっている。乗客の誰もが自分の頭を見ているわけではないとわかっていても、なんだか視線が気になってしまう。
仕事の合間にトイレの鏡で後頭部を何度も確認していると、自分がどんどん不安に飲み込まれていくのを感じる。「こんなに気にするなんて、情けないな」と心の中で自嘲するが、次の瞬間にはまた鏡を覗き込んでしまう自分がいる。
「このままじゃ、本当に全部抜け落ちてしまうんじゃないか?」
そんな疑念が、僕の中で確信に変わりつつあった。薄毛の進行が止まらなければ、数年後、いや、数ヶ月後には取り返しのつかないことになっているかもしれない。枕に残る抜け毛と鏡に映る頭皮が、未来の自分の姿を暗示しているようで、恐怖と焦りが押し寄せてくる。果たしてこの現実とどう向き合っていけばいいのか、僕はまだその答えを見つけられずにいた。
つづく。
#AGA #AGA治療 #薄毛 #薄毛治療 #抜け毛 #ハゲ #ハゲ速 #ハゲ悩み #男性薄毛 #薄毛の悩み
#まくら #鏡
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?