今年の漢字一文字は? ~2024.1①
忘れやすい女
私は、いろんなことを忘れていく。
本当によく、忘れる。
ゆうべ夫と言い合いになった内容、近所の知り合いの顔、家族に
美味しいとほめてもらった料理の配分。
人間は忘れるから生きていけるのよ、と慰めてもらったこともあるが
小中高の記憶すら5%ぐらいしかないので、昔の同級生がいたとしても
ほとんどわからない(単純にボーっと歩いているのもあるが)
そのくせ、しょうもないことは覚えている。
絵画で賞状をもらって、うれしさが度を越えてしまい、学校から家までの
20分間、賞状を広げて通行人に見せながら歩いたあの日のこととか。
男子とドッジボールをしていて、最後の一人になって必死に逃げていたが
とうとうボールが当たり、疲れと気の緩みで涙があふれたとき「だから
女と遊ぶの嫌なんじゃ!」と男子の誰かに言われたあの日のこととか。
こんなことなどとっとと忘れて、世界情勢の一つでも頭に入れればいいのに
しょうもないことほど、覚えている自分が嫌になる。
今年の漢字一文字は?と言われても
そんな忘れやすい女のため、年末恒例の「今年の漢字一文字は?」という
問い、いや一大イベントなのに、その年の11月~12月に起こったこと
くらいしか思い出せず、テレビで一年の振り返りを見るといかにいろんな
ことが起き、いかにいろんなことが私の頭から抜け落ちているのかと
毎年愕然とする。毎年愕然とするのに、年をまたげばまたいつもの脳みそ
スッカラカン野郎がご機嫌におせちを食らっている。
色んな美味しいものを食べたり、いい音楽に出会ったり、人に優しい言葉を
かけてもらったり、本当はもっと色んなものに触れながら生きているはず
なのだが、日々忙殺されているせいなのか(そんな忙しくないくせにィ)
そのときの感動や葛藤を丁寧に吸収していけたら、本当の自分の「今年の漢字一文字は?」に自信をもって答え、最高の年納めができるのでは?なんて
思いまして。最も大好きな日、大みそかに向けて。
好きになったものを、書き残していこう
そんなわけで、自分が出会ったもの、感動したものを、書き残していくことによって、12月の自分的一年エンディングを鮮明なものにしていく、という
実験をしてみようと思う。ジャンルバラバラ、時系列もあまり整っていない
ただ感動した出会いものを記していく。
もとが文句90%で構成されているクソ人間なので、「感動したもの」という
縛りを設けるのも大事。清潔感と品に満ち溢れた文章を無理して綴り続けると、反動で心のヘドロが決壊してしまうので、縛りも目標も、そこそこ。自分を律しすぎると、ろくなことないですしね。
2024.1は、どんなことに感動したのか
1月1日から、つらく悲惨な地震や事故があった。
テレビ画面の「つなみ にげて!」という大きい文字が怖くてたまらなかったが、情報収集のために目を背けてはいけないと思い、ニュースにかじりついていた。現地の被災者の方たちのほうが、何億倍も怖くて不安な思いをされていただろうと思う。だが、悲惨さを受け止めすぎて、自分がいまやるべきことが頭から飛んでしまい、しばらく何も考えられなかった。
仕事が始まり、半ば強制的に普段の生活が始まった。
募金したり、石川県の日本酒を買ったり、家の備蓄を再確認したり、色んな
ことをしたけれど、それでも気分が晴れることはなかった。
ある日、職場の先輩が昼休憩から帰ってくるなり、興奮ぎみに「Kinki Kidsの剛くん、結婚したで!誰と思う??」と言ってきた。
ええええええええええええわからん
「相手は芸能人ですか?!」と聞くと「うん、アイドル!」
ええええええええええええええええアイドルほとんどわからん
ぱっと浮かんだ人を、ダメ元で言ってみた。
「ももクロの、真ん中の赤い子ですか?」
「そう”!!なんでわかったん??」
えっまさかの正解?!も、ももたさん、やったかな。
それ以外何も知らないけど、青春をくれた剛くん、ほんとにおめでとう!幸せになってね!と、心底思った。人の結婚で、こんなに幸せな気分になるなんて。
そして帰り道。
仕事柄、通勤電車に乗る時間が長いのだが、だいたい音楽を聴くか、寝るか
YouTubeを見ている。
オススメに、唐突に「ももいろクローバーZ」のライブが出てきた。
はいはいはい~、結婚しましたもんね~、まったくYouTubeったら、
ほーんと流行りに乗るっつうか、対応が早いよな~~~~、と軽ぅい
気持ちで、ももいろクローバーZというグループのライブを見た。
これはもう、出会いと呼びたい。
いえ、呼ばせてください。