中川イサトさんに憧れて。
アコースティックギタリストの中川イサトさんが、
2022年4月7日に慢性腎疾患で亡くなりました。
75歳でした。
アコースティックギターのフィンガーピッキングの名手として名高いギタリストで、
押尾コータローさんや岸部眞明さんなどのギタリストを育成した点でも功績のある方でした。
かくゆうあたしふくたろうもイサトさんに影響されたひとりでありました。
2002年。
当時21歳だったふくたろうが、
行きつけのとある楽器屋さんからもらった1枚の招待券。
それが【Finger Picking
Day 2002】というモリダイラ楽器さん主催のイベントだったのです。
池袋のアムラックスという所で行われたフィンガーピッキングのイベントは、
まだストロークしか出来なかったふくたろうにはとてつもない衝撃を受けたのでした。
ゲストにあの押尾コータローさんが出ていたんですから(!)。
しかも押尾さんはインディーズ時代で、
まだメジャーデビューする前だったという時だったから尚更驚き。
でも1番衝撃を受けたのはイサトさんでした。
押尾さんのスタンディングで派手なギタープレイとは対極に、
イスに座って淡々と弾いていたんですが。
トリの「The Sprinter」という曲が、
まるであたしの感性を揺さぶるようなインパクトで、
客席で見ていたあたしゃ「なんじゃこりゃ~!」ってなりましたもの。
アマチュアやプロを引っ括めていろんなギタリストが出ておりましたが、
その中でイサトさんのインパクトは凄まじかったです。
帰りに物販で当時新譜だった「Solor Wind」を手に入れました。
のっけの「太陽風」の音に度肝を抜かれましてねぇ。
「コレどうやって弾いてるの?」ってなりましたよ。
当時はまだ変則チューニングやタッピングにライトハンド奏法なぞ知らなかったレベルでして。
弾けはしなかったけれど、
ずっとヘビロテで聴いておりました。
イサトさんに出会ってしまって、
仕事が全く手につかずしばらくニートとなってしまう事になるんですが、
そこでずっと四六時中ギターの腕を磨く事になります。
その間タッピングやら変則チューニングを覚え、
あたしの今のギタースタイルの基礎になりました。
でもやはりイサトさんの曲を弾いてみたい!
そんな欲を持っていた時に、
とあるDVDがリリースされます。
【Alone】というイサトさんのライブDVDでした。
こりゃ買うっきゃないだろっていうコトで買って見たらば、
淡々とギターを爪弾くイサトさんが映し出されておりました。
教則用ビデオというワケではありませんでしたが、
いろんな角度からイサトさんの運指を見る事が出来たので、
曲をコピーするにはもってこいでした。
衝撃を受けた「The Sprinter」も収録されていて、
そこで左手の指輪でギターのサイド部分を叩く『リングヒッティング』を習得しました。
職人気質で言葉少ないお方でしたが、
イサトさんがいらっしゃったからこそ、
大袈裟かもしれませんが今のあたしがいるワケでして。
イサトさんのご冥福をお祈りします。