頑なな気持ちを揺らがせてくれたものに出会えた幸運
気付けば背中を丸め、下ばかり見て歩いていたりすることがある。嫌なことつらいことを抱えながら感じる冬の寒さは骨身に沁み、ポイ捨てされたゴミ達が物悲しく目に映ったりする。
夕暮れ時、人通りがない川沿いの道を歩いていて、ふいに横目で見た川の流れを目にし立ち止まる。とても穏やかで、見ているだけでなんとも心地良く、心を落ち着かせてくれる
。
その川沿いの道には木々が立ち並び、そのうちの一本の木からしなだれ伸ばし、川に突き出してしていた枝に、今度は心を震わせられる。立ち止まらなければ、おそらく、気付けなかったのだろう。

桜の木の梢の先がプクりと膨らみ始めていて、来月の終わり頃には満開となっているんじゃないだろうか。その光景を想い浮かべただけで気分が華やいできて「あと一ヶ月もすれば、俺だって」となんてこと思い、歩いていた足取りまで変わったりしていた。
寒くて、冷たくて、つらい道を、ただ黙々と、その道順に沿って歩いていたかのよう。それは自分の思い込みで、頑ななものであり、なかなか揺らがなかったりもする。
こういったものに巡りあったこと、幸運であったと思いたい