倉敷の帆布。国産帆布の7割を占めるその特徴や良さとは?
倉敷の帆布。
日本の帆布の代表格ではないでしょうか。
岡山県倉敷市は日本国内の帆布産地のひとつ。
日本三大帆布産地として、広島県尾道市、滋賀県高島市も有名な産地ですが、その中でも日本の帆布を牽引しているのが、岡山県倉敷市の倉敷帆布です。
倉敷帆布は国産帆布の生産量の約70%を占めています。
国産帆布のキングともいえます。
そもそも、帆布とは?
「帆布」という言葉はよく耳にするのではないでしょうか。
トートバッグでよく使われたりしています。
なんとなく、綿素材でありそうな帆布。
一体どんな素材なのでしょうか。
帆布は”キャンバス”とも呼ばれ、「糸を撚(よ)り合わせて平織した丈夫な生地」のことをいいます。
麻や綿、ナイロンなどの合成繊維を用いることが一般的です。
「撚る」
→糸や紐などをねじって巻きつけること。
「平織り」
→経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸を交互に浮き沈みさせる織り方のこと。
平織は比較的簡単な織り方のため、様々な製品によく使われています。
帆布の特徴は?
特徴①:とにかく丈夫
帆布の特徴は、とにかく“丈夫”なことです。
長年人々に愛されている最大の理由です。
平織りは、糸を交互に浮き沈みさせて織っているため、丈夫で摩擦に強い性質を持っています。
さらに帆布は糸を撚り合わせる織り方をしているので、非常に丈夫な織物(生地)に仕上がることになります。
特徴②:使うほどなじんでいく
また、帆布は使い込むほどに味が出て、柔らかくなることも特徴のひとつです。
当初は硬い場合が多い帆布ですが、③通気性がいい、④水が浸透しづらい、という特徴もあることから、これらがあいまって使えば使うほどなじんでいきます。
これらの特徴を同時に持つ素材はなかなか珍しいため、帆布ならではの風合いになっていくのです。
これらの特徴から、よくバッグや靴にも使われています。
帆布の歴史
そんな帆布素材の歴史は、実はかなり長い歴史を持っています。
帆布のはじまりは、古代エジプトといわれています。
いつ頃かは諸説ありますが、一般的には紀元前3000年~紀元前30年ごろといわれています。
この頃から、帆布は人々に愛されていたのです。
「帆布」という言葉のとおり、もともとは船の帆として使われていました。
当時は亜麻(あま)の帆布が使われていたそうです。
船の帆が、テントやものを運ぶ道具として変遷を遂げたのは明治時代になってからのことです。
便利な素材から、用途は多岐にわたります。
戦時中は軍隊用の衣類やバッグに使われたり、貨物列車のシートや牛乳配達や集金の袋に使われたりしていきました。
倉敷の帆布
丈夫さという帆布素材の特徴に、どことなくしなやかさとやさしさも兼ね備えているのが倉敷帆布の特徴だといえます。
時代によって様々な変遷を遂げてきた帆布素材の中で、倉敷帆布は100数十年の歴史を築いてきました。
歴史を築いていく中で、長い間受け継がれてきたのが「高度な糸撚り技術」です。
綿糸数本を撚り合わせて生み出されるしなやかさと強さを持つ糸を、希少なシャトル織機によって織り上げられており、独特の風合いは経験を積んだ職人の感覚によって出せるもの。
厳格な基準も徹底し、最高の技術力で織りなす最高級帆布といえます。
倉敷帆布には、素材への想いと本物を追求してきた誇りが詰まっています。