帆布(キャンバス)が長年愛されるその理由とは?
帆布(キャンバス)素材。
よく耳にするこの言葉ではないでしょうか。
トートバッグなどでよく使われているこの素材。
なんとなく綿素材でやわらかい雰囲気をもつイメージですが、一体どんな素材なのでしょうか。
実は、帆布素材は私たちには欠かせない素材であり、長いあいだ人々の生活に使われ愛されてきました。
帆布は”キャンバス”とも呼ばれ、「糸を撚(よ)り合わせて平織した丈夫な生地」のことをいいます。
麻や綿、ナイロンなどの合成繊維を用いることが一般的です。
「撚る」
→糸や紐などをねじって巻きつけること。
「平織り」
→経(タテ)糸と緯(ヨコ)糸を交互に浮き沈みさせる織り方のこと。
平織は比較的簡単な織り方のため、様々な製品によく使われています。
帆布(キャンバス)の特徴は?
では、帆布(キャンバス)素材の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。
<特徴①:とにかく丈夫>
帆布の特徴は、とにかく“丈夫”なことです。
長年人々に愛されている最大の理由です。
平織りは、糸を交互に浮き沈みさせて織っているため、丈夫で摩擦に強い性質を持っています。
さらに帆布は糸を撚り合わせる織り方をしているので、非常に丈夫な織物(生地)に仕上がることになります。
<特徴②:使うほどなじんでいく>
また、帆布は使い込むほどに味が出て、柔らかくなることも特徴のひとつです。
当初は硬い場合が多い帆布ですが、③通気性がいい、④水が浸透しづらい、という特徴もあることから、これらがあいまって使えば使うほどなじんでいきます。
これらの特徴を同時に持つ素材はなかなか珍しいため、帆布ならではの風合いになっていくのです。
これらの特徴から、よくバッグや靴にも使われています。
帆布(キャンバス)の歴史
そんな帆布(キャンバス)素材の歴史は、実はかなり長い歴史を持っています。
帆布のはじまりは、古代エジプトといわれています。
いつ頃かは諸説ありますが、一般的には紀元前3000年~紀元前30年ごろといわれています。
この頃から、帆布は人々に愛されていたのです。
「帆布」という言葉のとおり、もともとは船の帆として使われていました。
当時は亜麻(あま)の帆布が使われていたそうです。
船の帆が、テントやものを運ぶ道具として変遷を遂げたのは明治時代になってからのことです。
便利な素材から、用途は多岐にわたります。
戦時中は軍隊用の衣類やバッグに使われたり、貨物列車のシートや牛乳配達や集金の袋に使われたりしていきました。
日本と帆布(キャンバス)
日本国内においても、帆布(キャンバス)素材は生産されています。
<日本三大帆布産地>
・岡山県倉敷市
・滋賀県高島市
・三重県津市
特に倉敷の帆布は非常に有名で、国内生産の約70%が倉敷の帆布といわれています。
倉敷の帆布は歴史も長く、130年以上の歴史があります。
綿花という自然の恵みと人の想いが育てた、ぬくもり溢れる最高級の帆布といわれる倉敷帆布は、しなやかでたくましく、頑丈さがありながらもやわらかさもある独特の風合いが特徴です。
帆布のもととなる綿は、水が豊富にとれる土地、素材に適した気候など、綿栽培に適した条件の自然環境のもとで栽培をされています。
日本の帆布産地では、こうした日本特有の気候条件のもとで生産をされているため、各産地でできあがる帆布は独特の風合いがあります。
長いあいだ私たち人間の生活に欠かせないアイテムに使われていた帆布素材は、ここ日本でも産業としての文化があり、日本の土地を活かしたプロダクトになっています。
実用性があって使いやすい素材
帆布素材は、実用性が高く使いやすい素材であることが、時代をこえて私たちに親しまれていました。
船の帆やテントだけではなく、トートバッグ誕生のきっかけとなる頃は、氷や石炭を運ぶ道具の素材として使われていました。
学生時代には馴染みのあったとび箱にも使われています。
現在でも、バッグをはじめとするアパレルや雑貨では多くのアイテムに使用されています。
ぜひ帆布(キャンバス)素材をお嗜みください。
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