見出し画像

ずっとラブソングだけが耳元で響いていた

ホテルをとる。決して帰れないほど遅くなるわけではないけれど、それでも何か毎日の精神的な部分を変えたくって、家に帰らずホテルに泊まってみる。これもホテルから書いていて、ちょっぴりたのしい。明日は割と遅くまで寝ることが出来るし、なにより、ここでこそ仕事がすすんだりもして、明日のわたしを救うためには悪くない選択だったのかもしれない、とか思ったり。

今週はしごとのことを書いてばかりで、なんだか寂しいけれど、いつの日か書いたように、そういう日にこれまでだったら言葉をぷっつりと書かなくなっていたので、むしろそんな時にこそ言葉を書いて残しておきたいし、どうしようもないわたしのせっぱつまったときのはしたなさみたいなものを残しておきたい。

"あの場所"にもどしてくれる、気づかせてくれる、と思えるような音楽が、いろいろなジャンルに点在していて、その止まり木のような存在が少しでもふえることを楽しむことが、音楽を日々聴くことの大きな喜びの一つだったりすると思うのだけれど、今日はその中から一曲、わたしにとびきりの落ち着きを与えてくれる故郷のようなものをきいた。

Bメロで初めて、ロミーの情緒的で、でも抑制のきいた美しい歌声が晴れ渡った情景を見せる。

「長い間 夢を見ていたみたい。ずっとラブソングだけが耳元でひびいていた」
サビはまだまどろみの中で、愛を歌うことを静かに、でもはどめなくゆるし続けていて、最後「今もまだ聞こえている まるであの時聞いたみたいに。」と何度も唱えるところで、わたしはなんだかすとんって、暴発する意識をもとある場所にもどせたような気がした。

「今もまだ聞こえている」。どれだけ忙しくてもわたしの中にあるものは消えたりしない。歌詞の通り、まるであの時聞いたみたいに、わたしはいつだって取り戻せる。確かにそれは残りつづけていて、ふとした時にしっかりと手をのばせば、指先に触れることができる。今がずっと続くというわけではないんだ。だから忙しさに怖がらなくたっていいはずなんだよね、わたしは、わたしも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?