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どんなにうまく立ち回っても
朝起きたとき、緩やかに過ごせるかも、と思った日に限って、何の気無しに開いた社用の携帯に届いているメールの波状攻撃「いやいや何を開放されたみたいな顔してるのさ、逃げきれると思った?」と世界からも自分からもいわれる感じで、動悸があがる。心臓わるい〜けれど、やっぱりどうしてもそういうことが起こるのは慣れていかないといけなくって、だってわからない事だらけの世界で何かを判断していかなければならないという矛盾のなかでの毎日だから、それは失敗や取り返しのつかないことが起こって、叱られたり、失望されたり、そんな中で学んでいくほかないのよね、どんなにうまく立ち回っても詰めきれていない部分がでる。
と、自分を正当化してみたものの、いずれにせよ各駅停車に乗るまでの心の余裕ができなくって、急行に乗り込んだ。対応に追われてこれから本も読めないであろう。
「ユラユラと浮かぶの 月の引力で
でもハートのロケット 空回りしてる」
とかいって、とかいってよ、わたしは昨日眠れなくて観たアニメのとびきりキュートなエンディングテーマに身をゆだねて電車に揺られていく。「逃げきれると思った?」と声をあげるのは社用携帯だけじゃない。同じかそれ以上の声で執拗に聴こえてくるのは、「わたしらしさは消えない」という呪文。