好きだと思った-10月の日記
10.25
起きたくなくて昼頃まで寝る。会社の同僚から「嫌なことがあったからお昼一緒に食べたい」と連絡が来たことをきっかけとして、のすのすと起きる。40分後、タイ料理屋でガパオライスを食べながら同僚に起きた嫌なことをきいた。「垂井なら誰にも話す人がいないだろうからさあ」孤独なわたしへの流石の信頼。そもそも同僚の「嫌なこと」は人に話したくなる類のものじゃ全然なかった、ちゃんと大変なことだったから、本当にお疲れ様、としみじみ言う。帰り、コンビニに寄って同僚はドライフルーツを買い、わたしは結局何も買わなかった。
10.26
東京に行く。用事の終わりに初めて葉山さんとふたりで飲む。『どん底』に行く。どん底カクテルを飲みながら、主に覚悟の話などなど。その後カラオケに行って、尾崎豊やBUMPを歌った。葉山さんが最後にJUDY AND MARYのOver Driveを歌ってくれて、「この好きだなあ」といったら別れた後におすすめのJUDY AND MARYを送ってくれた。ベスト盤の中に入っている一曲。最終便で甲府へ帰る。ベスト盤のタイトルはThe Great Escapeだった。
10.27
大きな仕事が23時ごろ終わった。明日から1週間の休暇をとっているので、本当はそこから事務処理を行いたかったのだけれど、そんな気力はなく帰宅。明日ちょっと会社に行くことにする。
ダンダダンを観る。洗濯物が溜まっているが洗濯を回す気力もない。床を見ると落ちた髪がひどく目立った。秋は髪が落ちる量が増えるらしいがそれにしたって多過ぎじゃないだろうか。
10.28
仕事でお世話になった人に挨拶に国立へ。ロジーナでレアチーズケーキとコーヒーのセットを嗜む。夜は新高円寺に住む友達と会う。大阪王将に行ってわたしだけハイボールを飲んだ。友達の家で、作っている音楽を聴かせてもらう。自信がなさそうなものの方が良かった。
わたしの持っていたガラムのタバコを美味しそうに吸っていたので残りを置いて帰った。友だちのことを好きだと思った。外、寒かった。
10.29
一緒に本を作る人のお宅で打ち合わせ。心地よくてなんだか眠くなってしまった。鷹の台のアスペンというところで夜ご飯。武蔵美生はよく行くところらしく、一緒にいたパートナーが名物のおしんこスパゲッティを食べながら「思い出が多すぎて、だめですね」と言っていた。わたしはハンバーグドリアを食べる。一緒に本を作る人の傘の柄が鳥の頭になっていた。部屋の雰囲気を思い出し、大切にしているものとの距離を、ずっと近くにできる人なんだと感じた。外、強い雨。
10.30
セリザワヒナタさんと東久留米駅でMVを撮影する。ちょっと言葉選びを間違えてしまった瞬間とかあって、今もずっと後悔している。川のはじまったところまで歩いた。「上流端」と書かれた看板の下の泥濘で、アメリカザリガニが泳いでいて、それをぼんやりと二人で見ていた。ふと、「え、これ何の時間」とふたりケタケタ笑う。
その後、明後日撮影するMVのロケ地候補として三軒茶屋に行ったが、なんかここじゃないなあ、とだけ思った。twililightで岸政彦/柴崎友香の『大阪』(文庫版)を買う。熊谷さんの声が今日も優しい。
池ノ上駅まで歩いて帰った。
10.31
装丁の打ち合わせ。いい本ができる確信に至る。東中野で映画を観るまでの時間、あたりを少し散歩した。「こんな風な気温がずっと続けばいいのに」と昨日セリザワさんが言っていたことをふと思い出す。風は肌に心地よい冷たさであたり、去っていった。
年明けから今日までの日記を12月8日の日記祭で出すことになっている。あっという間に日々が過ぎ去った。あまりにも忙しない10ヶ月だった。感触のない感慨だけがある。
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