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豹の首から伸びる紐を握って

仕事はどうも上手くいかなくって、たまらず散歩に出た先で寝てしまっていたらここで寝ないでくださいと警備員に怒られて、良くないか?と思いながらも起き上がる(別にマーライオンの上で昼寝していたわけではない、普通の広場みたいなところである)。
結構焦っていて、まぁ、いつものことと言ってしまえばそうなんだけど、だからって焦りに落ち着きが生まれるわけでは特になくって、いやそうですよね。焦らなくなるように色々と工夫することは出来るようになっても、一旦焦り出したらもう、何回やっても心臓に悪い。


帰り道、都営住宅に住む人々の日常を描いた小説を読んでいたら、突然ファンタジックな描写があって、その、ふとした瞬間にすり抜けてしまう感じに撃ち抜かれる。

「街灯の青白い光に浮かび上がるように、悠然と一頭の豹が歩いていた。腰に向かって引き締まった胴、長い後ろ足をしっぽ。その後ろから黒ずくめの男が二人、歩いて来た。豹の首から伸びる紐を握って、豹と同じくらい大きな犬も三頭連れていた。
「すげえ」
「ものすごく速そう」
三人は、美しい曲線をうっとりと眺めた。」
(柴崎友香「千の扉」)


今日も王舟の曲を聴く。休日に聴いてから、なんだかスイッチがカチッとあったみたいで、王舟ばかり聴き直したり、まだ聴いたことのないものを聴いたり。

「遠くて近い掴めない どんな色かわからない
ゆっくり消える虹見てて トリコじかけになる」

電気グルーヴのカバー、原曲の歌詞の良さが心地よい形で引きたっていた。

夜更けごろ、暑苦しくて起きてしまって、カーテン越しにぼんやりと雨の音を聴いていた。時折救急車が遠くを抜けたり、気づいたら雨が少し強まったりしている。これはずっと聴いていられますな、と思っていたら、束の間、新しい朝が来ていた。

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