【CAL副代表】女優・アーティスト由良瓏砂の描くモダン・ゴシック世界
♦️小説家としての由良瓏砂の魅力♦️
この特集記事では、2024年4月にCAL副代表に就任して下さった女優・アーティストの由良瓏砂様について御紹介させていただきます。
令和時代の新しい文学を発信する文芸グループCAL(Classic Anthology Library)は2022年に結成され、皆様の熱い御支援のおかげで2024年で2周年を迎えました。
CALでは2024年2月12日に、第3回配本となる総勢17名の女流作家陣によるアンソロジー小説『マテリアル・ゴシック』(デザインエッグ社)を刊行いたしました。
由良様は『マテリアル・ゴシック』に幻想的な短編小説「幽世甘露」を御寄稿して下さり、多くの読者様の注目を集め、筆者もその素晴らしい文才と雰囲気に強く惹かれました。
第4回配本『黒の聖餐』(2024年10月10日発売)は「ヴァンパイア(吸血鬼)」をテーマにしたゴシック・アンソロジーとなっており、由良様はCAL副代表としてメンバー様の人選から「編集後記」や「総解説」(短評)などの重要なポジションを御担当して下さいました。
『黒の聖餐』では総勢18名の実力派人気作家が御参加して下さり、文学を愛する5名の編集部メンバーの御協力のもと完成しました。
本書収録の由良様の吸血鬼小説「ルベド」は、ミステリアスな雰囲気を持ったヴァンパイアとの緊張感に満ちた会話劇が展開されます。
どちらの作品も女優として舞台に立ってこられた経験が反映されており、演劇的なリズムと躍動感を感じさせる美しい物語です。
♦️多面的なアーティストとしての由良瓏砂♦️
由良瓏砂様がどういう御活動をされているのか、知りたい読者様はきっと多くいらっしゃることでしょう。
そんな方々のために、本記事ではまず彼女自身がnoteに公開されたプロフィールを御紹介させていただきます。
この記事やXの公式プロフィールにもあるように、由良様は東京都新宿区に本社を置く芸能プロダクション「YScompany」に所属されている女優であり、多彩な芸術作品の制作・企画展示をなさっているアーティストでもあります。
「YScompany」の公式サイトを御覧いただければわかるように、ここにはプロの舞台俳優、モデル、タレントが多く所属されています。
女優としてのお仕事だけでなく、由良様はプロの人形作家としてアクセサリー・人形工房「Asphodel's gallery」を運営されています。
人形作家としての由良様は、「ドールスペース・ピュグマリオン」にて吉田良氏に師事し、球体関節人形制作を学ばれたキャリアをお持ちです。
また、由良様はアンティーク・レトロ雑貨店「Rosa Antica」(ロサ・アンティカ)も運営されております。
ロサ・アンティカのショップ案内には、「ギリシア神話の冥界に咲く不死の花アスフォデルの如く朽ちることのない永遠の美を求める全ての方々に」とあり、芸術性の高い様々な作品がギャラリーとして展示されています。
アートサロンカフェ「哲学者の薔薇園」のXアカウントでも由良様のこれまでの様々な御活動がチェックできます。
以下のYou Tubeのアカウントでも、由良様のこれまでの多彩な御活動を窺い知ることができるでしょう。
メタバース上で開催されているアングラ系集会「猫被」のメンバーとしても御活動されています。
このように、極めて多彩な御活動をされている由良様は、筆者が編集長をさせていただいている文芸叢書CAL(Classic Anthology Library)主催の、総勢17名の女流作家陣によるアンソロジー小説『マテリアル・ゴシック』(デザインエッグ社)に作家の一人として参加してくださいました。
本書にはTVなどで御活躍されている怪談師の祇園百様や、バンドグループEpiphyllum Oxypetalumでボーカルとして御活動しているIto.N.Noel様も参加しております。
本書については、由良様の御紹介で作家の井上雅彦様からXで高評価をいただいたり、由良様ご自身のブログ「Rosa†Antica」でも非常に素晴らしい丁寧な各作品評を掲載していただくなど、CALに対して多大なる御協力をしていただきました。
このような数々の御恩と、他でもない筆者の由良様への深い敬愛の念が実を結び、2024年4月からCAL副代表に就任していただける運びとなりました。
私と由良様には文学の他にも、感謝すべきことに二つの共通点があります。
・精神性の根にカトリックがあること
・錬金術など西洋神秘主義の影響を受けていること
実は筆者が由良様の存在を知ったのは、2019年に「哲学者の薔薇園」で由良様主催の「オカルティズム講座」が開催され、そこで彼女自身が講師として錬金術について講義されていたのをX上で見かけたからでした。
由良様のプロフィールにもシュルレアリスムへの初期の関心から神秘主義研究へと導かれたという経緯が綴られております。
♦️「幽世甘露」の魅力♦️
先述したように、由良様がCALに最初に御寄稿して下さった短編小説「幽世甘露」は『マテリアル・ゴシック』に収録されています。
この謎めいた幻想小説の成立背景については、由良様のブログ「Rosa†Antica」でも以下のような註釈が加えられています。
この物語については、作家の井上雅彦様をはじめ、お読みくださった読者様からも様々な高評価のレビューが寄せられております。
fghk98様が述べるように、都会の喧騒を忘れさせてくれる楽園のようなBAR「エンプレス」は、落ち着いた大人の雰囲気が漂う隠れ家のような場所です。
この舞台の素晴らしい描写力は、由良様御自身のこれまでの店舗経営や企画展示での経験によって初めて可能なのだと思います。
筆者が特に注目したのは、このBARでの会話です。
地上的でありながら、どこか異界との境界線に立っているような不穏さが感じられます。
この流れるような生きた会話に漂う特異な不穏さこそ、由良様のモダン・ゴシック的な世界観を如実に反映しています。
上品さと知性、ノブレス・オブリージュとスノビズムが漂う生きた会話の美学という点で私たちがまず想起せねばならないのは、プルーストが描いたゲルマント伯爵夫人のサロンでの様々な会話風景でしょう。
上流社会の芸術サロンには、シャルリュス男爵のようにすべての貴族的・文化的性向を体現しながらも、そのすべてをみずから「着崩す」ことに情熱を燃やしている異端児もいます(この一夜に百万フランを浪費する放蕩貴族からすれば、貴族を着崩すことこそが真のノブレス・オブリージュに他なりません)。
近代ヨーロッパのサロン文化においては、ビジネスをめぐる談笑、女性同士の恋話、密約、情事の約束、芸術理念の交感や対立など、様々な人間関係が浮上します。
このようなサロン文化という側面から由良様の「幽世甘露」を捉えた時、やはりそこには現代のサロン=BAR(秘密サークル)に参加する客同士の関係性や、主催者側の人間との恋などが描かれているのがわかると思います。
しかし、由良様にはあってプルーストには抜け落ちている極めて重要な要素が一つあります。
それこそが、本作の持つ神秘主義的背景に他なりません。
耽美的で芸術至上主義的な舞台設定を持ちながらも、「幽世甘露」には読者にこの世界とは別様の世界を垣間見させる魔力が漂っていると言えるでしょう。
筆者が代表を、由良様が副代表を務めるこれからの新生CALでは、これまで以上に満足度の高い深くて上質なアンソロジー小説を皆様にお届けできるように全力で努力していきたいと思います。
どうか今後ともCALを何卒よろしくお願いいたします!
♦由良瓏砂様の最新の御活動は彼女のXアカウントでも日々更新されていますので、ぜひともフォローと御支援をよろしくお願いいたします。
CALの最新情報はCAL公式アカウントでも随時発表していきますので、どうぞご期待下さい。
由良瓏砂様のモダンゴシック小説「幽世甘露」を含むアンソロジー小説『マテリアル・ゴシック』についての特集記事は、以下からもチェック可能です。
※本記事に掲載されている御写真は、御本人様の御許可を頂いた上で掲載させていただいております。©YURA Rosa 2024