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死ぬ気で恋活をしていた頃の話。

とにかく彼氏が欲しかった。とにかく早く大人の女になって「知ってます」風の顔をして話に混ざりたかった。きっとそれだけの不純な動機を胸に、あまりにも長すぎる通学時間、私はマッチングアプリを開いていた。


マッチングアプリの通知を常にチェックしていた時期は、私の人生の間で二度ある。

1回目は、大学3年生になった春。友達が「始めてみたい」と言うので、私も面白半分で遊園地の行列に並びながら一緒にインストールして始めた。

登録したばかりで自己紹介すらまともに書けていないのに、次から次へと男性から「いいね」がくる。タイプの男性はほとんどいなかったが、自分はとんでもなくいい女なのかもしれない、と勘違いしそうになるほどだった。

「いいね」が来たら、相手の顔やスペックを確認して自分も「いいね」を返したらそこでマッチング成立。チャットができるようになるシステムだった。私は自ら「いいね」をしに行くことは少なく、大抵が自分に「いいね」をしてくれた人とマッチングする形だった。

そうしてアプリを使って1ヶ月ほど様々な男性とやり取りをしたり、友達が誘ってくれた合コンに行ったり、恋活パーティーに参戦したりと、かなり積極的に出会いを求めていた。しかし、アプリを使っては結局誰とも現実世界で会うことはなく、その後無事に彼氏ができた。すぐにアプリをアンインストールして、無かったことにした。


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二度目は、その彼とお別れをした直後だ。就活を終え暇を持て余していたから、とにかく遊ぶ相手が欲しくてまたマッチングアプリを始めた。

その頃には、前に使っていた時よりもマッチングアプリでの出会いが主流になっていて、仲の良い友達もアプリでできた彼氏と一年記念日を迎えていた。そのおかげか、以前よりもタイプの人が多く見つかり、マッチングの数も増えた。

そして、アプリで出会った人と実際に会うことになった。初めて会った人は、特に話が盛り上がったというわけではなかったが、夜ご飯でもなくランチでもなく「お茶をしましょう」と言われて、なんとなく安全そうだったので会うことに決めた。

新宿駅に集合して、初めて対面した時「背の低い人だな」という感想を持った。記憶が曖昧だが、確か30歳手前くらいの人で、でも童顔だったからか若く見えた。ドトールでコーヒーをテイクアウトして、その一杯で新宿御苑に3時間くらいいた。沈黙もあったが、なんとか話は続いた。

私はその後の予定があったので、日が沈む頃に解散。「また会ってくれる?」と、新宿駅に向かう人の多い道で聞かれて「機会があれば、もちろん」と返事をしたが、それ以降連絡を取ることはなかった。

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二人目は、これまた年上の社会人。たしか私はこの頃「余裕とお金のある社会人と付き合いたい」と必死だった。

チャットでの話はそれなりに、土曜に下北沢でランチをすることになった。待ち合わせは12時。遅刻するのもされるのも大嫌いな私は、10分以上前に到着していた。「着きました!」とメッセージを送る。

しかし、待てど暮らせど彼からの返信はなかった。人を待つのがとにかく苦手だから、待ち合わせ時刻から15分経って連絡が来なかった時、私は近所に住んでいる女友達にLINEを入れた。

「ねえ、今日会う予定だった人にバックレられたかも。下北でランチしよう」

すぐに「いいよ。でも準備するからちょっと待って」と返信が来た。

結局30分だけ待って、バックレられたんだと確信をした私はその場を離れ、彼女を待つ間、なぜか隣駅まで歩いた。とにかく天気が良くて、暑い日の出来事だった。(今回選んだ画像はその時下北沢で買ったレモネードの写真。残ってた)

人生で初めて人に待ち合わせをバックレられるという経験をしたが、それもアプリだから仕方ないと思えたし、特に会いたかった人ではないので落ち込むこともなく、あまり気にしなかった。

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三人目は、湘南に住んでいる公務員だった。

その頃していた仕事上、様々ものに触れる機会が多かった。おかげで「ハッピーエンドを前提として」という本に出会った。待ち合わせまでの時間の暇つぶしと思って立ち読みをしたら、思いの外面白くて即購入。その彼との集合時間までに3分の1ほど電車で読み進めてしまったくらい。確実に、その時の私に必要な本だったと言える。よかったら読んでみてください。

その本の中に「待ち合わせ場所に自宅の最寄りを選んでくる男には気をつけろ」と書いてあった。まずい、と思った。待ち合わせは彼の最寄りだ。私が当時住んでいた場所からはあまり近くない場所だった。確かに優しさを感じない。しかし、時すでに遅し。とりあえず誘拐とか、拉致とか、そういうものにだけは巻き込まれないように友達に連絡しておいた。

めちゃくちゃいい車で現れたその人に、さっき買ったばかりの本で身につけた技術をここぞとばかりに発揮した。そして初めての彼氏とも、二人目の彼氏とも行ったことのある、有名なハンバーガー屋に行った。色々な意味でとてつもなく食べづらかったけれど、話は盛り上がった。「月曜から夜更かし」を毎週観ている女は大抵評価が高い、とこの辺りで学んだ。そして奢ってくれた。単純に嬉しかった。

お店を出た時、時刻はまだ20時を回った頃で、なんとなくそのまま帰る雰囲気ではなく、彼が車を家に置いてくるから海で飲もうという話になった。夜の湘南は外で飲むにはまだ少し寒かったが、「俺の家で飲んでもいいけど、流石に抵抗あるよね」と笑いながら言われて、案外しっかりした人だなと思った。

長年付き合っていた人と別れたばかりだったらしく、その話を聞いた。私も別れた直後だったから、その話をした。そして丁度私は就活が終わったタイミングだったので、その人に「一次選考に通過したらまたお知らせしますね」と冗談ぽく言われたことが記憶にある。

結局その後彼からはなんの連絡もなかった。一次選考に落ちたということだ。

それにしても、ここまで全員の記憶を鮮明に思い出せるとは思っていなかったから、このnoteを書きながら自分に驚いている。

長くなってしまったので今夜はこのあたりで。続きはまた。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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