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2nd Album 『Santat』制作秘話

というわけで、今回は2nd album『Santat(サンタット)』のレコーディングについて色々と思い出してみようかと思います。


このアルバムから、現在所属するレーベルPlaywrightにお世話になることになり、『Santat』はその第一弾としてリリースされました。

Santat / サンタット(ウォロフ語:感謝を伝える)
「アフロビート」と言えば、元はジャズやファンクといった音楽を下敷きに「フェラ・クティ」ら偉大な先人らによって発展してきたアフリカ産ビート音楽ですが、近年ではいろんなジャンルと結びつきを強めクラブシーンでも取り入れられ、注目度は高まっています。今回の音源も「Playwrightとの蜜月はごく自然なことである」としっかりと伝わってくるクオリティの高い演奏が詰まっています。強力なリズム、乾いた空気感を演出するギターリフ、哀愁漂うサックスやフルートなどのリード楽器、そして力のある歌声…アフロビートで押し寄せる音のエネルギーを是非体感していただきたい。
(by Disk union)


2017年3月リリースのこのアルバムですが、レコーディングしたのは、これから寒くなるな〜って時だった気がします。山中湖のとあるスタジオで合宿のように数日間泊まり込みで。

冬の前半でも山中湖はもうだいぶ寒くて、宿泊するコテージのベッドに電気毛布が仕込んでありました。
うぉ〜最高!って、それはそれはあったかくて気持ちよかったです。

朝食はSuzKenが張り切って作ってくれたり、夕飯にはOmarセネガル料理を作ってくれたり、みんなで買い出し行ったり、なんだかそんな楽しい時間もたっぷり過ごしました。

と、ここまではただの楽しかったエピソードですね。
そう、楽しかったんですよ
でもメインは当然、何と言ってもレコーディング

朝起きてSuzKen特製の朝食を食べて、それからずーっと夜までレコーディングです。
もちろん休憩挟みつつ。
バンドとしてはとても贅沢で有意義な時間でした。

普段なかなか一緒に長く同じ時間を過ごせることってないですが、演奏することだけがリハーサルっていうわけでもないんです。
一緒に過ごしている中で笑ったりちょっと雲行き怪しくなったり、そんなのが後々実はリハーサルになってたりします。

そういった意味で、あの時間はバンドとしてとても貴重なリハーサルというかチューニングというか、そんな時間でもあった気がします。

さて、また話が逸れましたが、『Santat』は10曲入りのアルバムだったし、『Begue』の時よりもいわゆるオーバーダビングというやつも多くやったので、レコーディングにもそれなりに時間がかかりました。

オーバーダビングというのは、Afro Begueでいえば一度ドラムとベースとギターと歌とかでベーシックを録って、それに対してパーカッションやコーラスなどを重ねて録音していく作業です。

僕もコーラスを重ねたりしましたが、普段ライブではギター弾きながらやってるので、手ぶらで歌だけ歌うということに未だになかなか慣れません。

ギターもレコーディング時は座って弾くことが多いですが、座り方も足を組んでみたり普通にしてみたり角度を変えてみたり、その時の体勢によって色々とハマりが違うんですよね。

寝る時も、色々とあっちいったりこっちいったり動いて動いてようやく身体がハマったところで落ちるみたいなとこないですか?
僕だけかな?
そんなようなやつです。

もちろん、やってる時にそんなこと頭で考えちゃいないけど、後で思い返してみるとそんなこともやってるな〜という感じ。

なんだかんだ含め、大きな事件もなくレコーディングは順調に進みました。

こうして考えてみると、色々と思い出します。

実際に録っている最中の光景とか、どの曲で誰と目が合ったなとか。

あと、これは僕の男の子心としてはよだれモノなのですが、エンジニアさんが高価な機材を持ち込んでくれていたりして、それを使用させてもらえたのもワクワクしました。
実際それは僕にとっては素晴らしく良かったです。

高価な機材って高価だから良いってわけでもないと思うんですよね。

『良い音』ってその人が『良い音と感じる音』ってことだと思うので、『良いとされてる音』とはまた違うと思うんです。

でも、得てして高価な楽器や機材には良いなと思えるものが多いのもまた事実です。
かといって、安価なものの中にも良いと思えるものはあったりして。

いずれにしても、それらの道具を誰がどんな風に使うのかってところが最も重要な前提だと思います。
つまり、腕を磨くということが結局は『良い音』の為に一番重要な要素だということですね。

当たり前だけど。

まあそんなこんなで、みんなでセッションしながら数日間同じ釜の飯を食べて出来たアルバムが『Santat』だったというわけです。

レコーディングでは録る作業がおわった後も、録った音のそれぞれのバランスを調整する作業があったり、音に様々な装飾を施したりするなどの作業があるのですが、山中湖のスタジオでは録る作業まで。
ここまでがおわったところで、やったー!お疲れ様ー!ってことでみんなで近くのファミレスでプチ打ち上げしました。
ファミレスって!って感じだけど、あの時の感じもまた絶妙になんともたまらない感じで、よかったなぁ。
なんだか一緒に一つの山を登り切ったような感じで。

次の日東京に帰る時には雨が降っててちょっと大変だったけど、その光景まで記憶に残ってます。


そして、このCDでは2016年にセネガルにご一緒したR&B・ソウルシンガー上田正樹さん、すみだストリートジャズフェスティバルでお会いしてからお世話になっているドラマー沼澤尚さんと、日本を代表するミュージシャンお二人にコメントもいただきました。ありがとうございます!

from 上田正樹さん(R&B・ソウルシンガー、ソングライター)
オマールのジャンベから叩き出されるBeatは耳から身体の中に入ってくる。オマールが生み出す音が、疲れた身体のすみずみに入ってくる。
彼のジャンベは身体中の一つずつの細胞に呼びかけて、目覚めさせる力がある。自然と身体が元気になっていく。
Afro Begue、アフリカの大地にそよぐ風のようなYusukeのGuitarからほとんどの曲は始まる。YusukeのGuitarはアフリカの匂いを持って入ってくる。優しく漂っているギターリフに、BandのGrooveを支えるシンプルだが力強いSuzkenのBassとDrum、Percussionが加わる。
さぁ、どこへでも行きなさい!どこへでも飛びなさい!という太いGroove が創られる。
太いGroove があるからこそ好きな表現が出来る。
それは帰る家があるから旅が出来るのと良く似ている。
聴く人の五感以上の、隠れた全ての感覚をも刺激する力がAfro Begueにはある。
9曲目のBlack and Whiteは、『頑張ろう 今 』と歌っているように聴こえる。
毎日の暮らし、人は起きて日常のルーティーンを消化して仕事に出かける。
Afro Begue は、朝聴くと良いかもしれない。一つずつの日常のルーティーンを元気にこなす助けになるような力がある。
オマールのジャンベが一つずつの細胞に呼びかけてくれているから!
元気になると明日のことや未来に思いを巡らすことが出来る!
聴く人全てを元気にさせる。聴く人の五感を刺激する。1日1曲Afro Begueを!
from 沼澤尚さん(Drummer)
自分が長年馴染み親しんできた数々のアフリカ打楽器奏者とは全く別次元の技術とパワーとエネルギーと、そして何よりも「音楽」そのものに対するその精神性にただただ驚かされたオマール・ゲンデファル…
共演者はもちろんその場にいる全ての人々を同じ方向に向かわせてくれる彼のマジックは作品でもこうして見事に表現されている。

メンバーインタビューはこちら↓

『Santat』デザイン by Tatsuya Horikawa
(墨で「Sant=感謝(ウォロフ語)」を表現していただきました)


さて、次回はいよいよ最新作の『Balkô』のお話です。
お楽しみに!

by ユウスケ


▼1st Album『Begue』制作秘話↓

▼3rd Album『Balkô』制作秘話↓


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