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【徹底討論】社会人漫才王で決勝に行くにはどうすれば良いか

※客席で観た個人の感想です。
※真面目な話じゃないです。
※なんか良くないこと書いてたら消しますので遠慮なく言ってください。


社会人漫才王2024の準決勝2部めちゃくちゃ面白かった。そんな面白い演者とネタの数々を観ながら、社会人漫才王にエントリーして決勝に行くためにはどうしたら良いのかを客席で真面目に考えた。いろんな要素から戦略を構築していきたい。

基本情報
11/17(日)に開催された社会人漫才王2024準決勝。総勢218組のエントリーから動画審査を勝ち上がった30組が1部15組、2部15組に分かれ決勝へ向かうために戦う。決勝の枠は12組。12/30で進出率は40%ほど。痺れる戦い。自分は18:30開演の2部を観に行った。壁に貼られてた各コンビのキャッチコピー面白かったんだよ。

準決勝の会場となる方南会館は学校の体育館のようなイメージ。東京メトロ丸の内線 方南町駅から徒歩10分程度。スマホの電波は入らない。

客が下から見上げる形で舞台があり空間は広め。舞台には奥行きがあり、黒暗幕が両サイドにあり。
音響としてサンパチマイクは軽く集音が入っているような状態。口元近づけるとはっきり音声が入るけど、基本あんま拡張はしてない?ような印象に聞こえた。MCのワイヤレスマイクも集音したりしなかったり。審査員用の有線マイクだけはっきりと集音してるような感じだった。

舞台正面の客席中央に審査員席があり、そこから前後に客席が広がっている。チケットは完売してたらしいからほぼ満席のはず。前から3列目の中央ちょい下手側に座った。僕の隣の方、よく笑ってくださる方だったので僕も安心してゲラゲラ笑えた。

演者は上手出上手ハケだったけど、舞台袖のちょっと奥めで待機していないと、登場前から演者が見えてる感じになっていた。真ん中列の左でこれだから客席左サイドの人はもっと角度がついてて見えてたかもしれない。

MCのひつじねいりさんが「お笑いライブ初めての人〜?」と聞くと手はあまり挙がらなかったみたい。お笑いライブ初見ではないものの、コアなお笑いファンはそんなに多くない印象。わらリーマン演者か出演者の友人、家族が多いように思えた。

各コンビのネタ感想
どの組も決勝に上がる可能性があるためなるべくネタバレにならない様に書く。そして各コンビと直接対決となってしまった場合、どのように立ち向かえば良いか事前に策略を練っておく。

・半熟ハラスメント
トップバッターとしてめちゃくちゃ良い大会が始まった感じになった。しょーけんさんがボケということが登場から明確でボケ方もダイナミック。声もよく通る。ヤバおじ感が自然と漂っていてとても見やすかった。しばらくはこのしょーけんさんの声が準決勝2部の基準の声量として刷り込まれたのではなかろうか。
しかし、そのしょーけんさんは仮の姿。ツッコミのししださんが闇の魔術師としてしょーけんさんを操っているのは言うまでもない。でなければあのようなヤバおじの行動に説明がつかない。本体であるししださんから先に戦闘不能にするべし。

・ナイルパーチ
これまた続いてくっきりとしたボケとツッコミ。そしてスーモさんの声大きい。しょーけんさんの声量に並ぶ声の出し方だったため客席も自然についていけた。つかみからみんなに好かれる空気を作ってた。一個一個のツッコミで確実に笑いをとっていく形だから後半に行くほどハードルが上がるよねえ。
ここで苔むし地蔵さんが後ろでサポート系のスキルをこっそりと使っていたことに気がついていただろうか。バフ系の能力をスーモさんに付与することで事を有利に運んでいる。でなければあんなに1ワードごとに威力を放てるわけがないのだから。

・アダムシルバー
ナイルパーチとの身長差すごーい。マイクの位置だけで笑い起きてた。神田ワンツーさんがボケツッコミのような役割を担ってたけど、設定の核があるあるへの共感なのか神田さんの暴論なのかどっちに転んでいるのかイマイチ客席と合いきらなかったような感触だった。一組前のスーモさんがニコニコしながら漫才してたぶん平和な空気になってたから、アダムシルバーの2人の本格派の雰囲気で空気がピリっとしたのかもしれない。でも神田さんの目はつぶらでまつ毛が長そう。
抜群の安定感を誇り隙がないように見える2人だけど、深瀬さんがメガネをかけていることは好都合。洗剤入りの水鉄砲で両レンズをピュピュッと射抜けば、たちまちバランスを崩すだろう。

・キッスエンドラン
このネタ生で見られて嬉しぃ〜。ネタの題材的にハマるかハマらないかは客層次第なのだろうとは思うけど、もっとウケてもいいことばっかだったのに。このネタのポテンシャルが100%伝わり切らなかった印象。かべさんの立ち位置(間違ってることは訂正するけどエロいことには興味あるツッコミみたいな)が入りで伝わり切らなかったのと、ツッコミの初音(一文字目っていうのかな)が聴き取りにくかった可能性もあるかも。あと一歩マイクを口元に持ってけば良いのかな。
大人の色気を醸し出す2人だが、唯一神田さんがネタ中に白目になる瞬間がある。その瞬間に後ろに回り込めばこちらのベースに持ち込めるに違いない。

・フジミノフジコ
とんぐくんもギョメムラくんも見た目のキャラクターがコミカルなので、動くのがとても似合う。設定とそこからの最初のボケはめっちゃ良かったけどそこから向かっていく先がもったいなかった気がする。ネタの設定をもっと活かせたのかもしれない。
どう考えてもとんぐくんが前衛、ギョメムラくんが後衛の布陣になる訳だが、狙うべきはギョメムラくん一択。とんぐくんをマグロの刺身でおびき寄せた隙に、ギョメムラくんの細長すぎる手足に海苔を巻いて細巻きにしてしまえば良い。

(中MC)
やっぱり準決勝だしレベル高くおもしろーいの空気が流れる客席

・ユキミザクラ
序盤から徐々に笑いが積まれていく理想的なウケ方をしてたけど、最後もっとウケてもいいはずなんですよね。共田さんがもっと顔真っ赤になれば面白いのかな。てかなんでM-1一回戦落ちてるんだこれ。たまたま観に行った日に出てたけどウケてたぞ。なんか小林さんスーツ変えてた。ピンクどないしてん。
2人ともバランスが良く、どこから崩すべきか見失いそうになるが慌てない。小林さんがピンクのスーツではないというところに着目すれば、必然的に狙いは小林になる。大きい桃をひと思いにぶつければ良いのだ。

・テクノ鳩
厳かな空気感から吐き出されたバカバカしい題材がめっちゃ面白かったしハマってたと思う。語り手側がブレないからぐちゃぐちゃになりそうな中身なのに見やすいし見失わずについていけた。
どちらもどっしりと構えているため揺さぶるのは容易ではないが、2人とも黒服なのが好都合。舞台袖から虫眼鏡で膝辺りに集光すればたちまちリズムを崩すに違いない。

・マオグリーン
すごいなあ。楽しいネタ。お互いのパワーとネタのリズム感というか、ストレスのないグルーブ感で会場を取り込んでたと思う。ジャバ森さんの動きも顔も面白いから目が行きがちだけどよーく見てほしい。ツッコミの時の乾くんの顔も面白いから。しらこい顔してんねん。乾くんがマイク前ビタ止まりで陣取ってるから綺麗に声が集音されてた。
乾くんの安定感を崩すのは至難の技なので、狙いはジャバ森さん。長袖ではないベストを着ているため腕の皮膚があらわになっている。人差し指と中指で腕を擦れば摩擦熱で一気に優位に持ち込めるとみた。

・ドウセイブン
マオグリーンのシンプルな構成の後だったからか、要素が増えたことで面白い部分が伝わり切らなかったような気がする。つかみでちょっとだけお客さんに引かれた?感も。でも最後のメッセージは心打たれたからこその拍手だったんだよ。悲しみを知ってこそ人は強くなるんだよ。
そんな人間のパワーをむき出しにする海老川さんに正面から挑むのは浅はかで、狙いはマンスリー松村さんになる。明らかに肌が白く滑らかなので、スケートリンクのようにその肌の上でトリプルトゥーループを決めれば良い。

・ロクザンキ
ここが社会人お笑いあるあるの同一人物二度出てくるが初出だったんで、共田さんの登場で薄ら笑いが起こる追い風。ユキミザクラとは逆で共田さんがボケ。でもユキミザクラも終盤で共田さんがおかしい部分も出してたから違和感なく入ってきた。共田さんと並ぶと川崎くんが小坊主に見えて面白い。
どちらもパワーに溢れた怒涛の掛け合いで間に割り込むのは至難の技。2人の間に両面鏡を置くことで自分の怒号が跳ね返り自滅に導くことができるだろう。

(中MC)
このあたりでマオグリーン→ドウセイブン→ロクザンキと一気にパワーを浴びて、もったり疲労感が客席にも漂い始めた頃合い。

・ふねしぼり
つかみの声量も分かりやすくだったし、設定からウケてた。3つ目まで行くと一見無茶苦茶すぎるけど、すんなり受け入れられるくらいまではこの設定と積み上げ方が違和感無く浸透してたんだと思う。お二人はネタによってボケとツッコミの役割交代ができるのもすごくて。今回は遠藤さんが大声でじんわり笑いを起こした後、ごとうさんが一言でつかむことでこっちがボケの役割ってのが分かりやすかった。
ボケツッコミ両方できるお2人であるが故に、2人が同時にボケて同時にツッコむというキャパオーバー状態を作り出せるかが勝負の決め手だ。ボケにも聞こえるしツッコミにも聞こえる言葉でガンガン攻めていこう。

・夕げ
石井さんの声質は聴き取りやしぃ〜。マイク通さないでも方南会館に綺麗に響き渡ってた。鈴マキさんの登場には共田さんで既に体制がついていたためすんなり受け入れられていた。出順的に仕方ないんだけど、テクノ鳩が先に出ていたから初手のインパクトみたいなのはちょっと薄れてしまったように思えた。逆にいうと異質な空気に対する抵抗感はほぼ無かった。観る側のお笑いへの知見があるかどうかで深みが変わってくるなあと思った。
鈴木マキアートさんは後方支援に徹しているが聖なる光に守られており手出しができない。石井さんが右に2歩動いた瞬間、左にできた空間に強引に割り込むことでまずは先手を打つしかないだろう。

・没企画
樋口さんのねちっこい嫌なトーンが絶妙で面白かった。児玉さんの口の悪いツッコミ。ボケでもツッコミでも面白い。テンポの良いボケのセリフにツッコミがパァンって入るから気持ちよく笑える。なんかandroidじゃなくてiPhoneの画面のスクロールみたいな。カクカクじゃなくてぬるぬる進んでく漫才だからずっと着いて行きたくなるんだよな。この感覚わかりません?
近距離物理は樋口さん、遠距離魔法は児玉さんと抜群のコンビネーションを魅せる2人にどうやって立ち向かおうか。iPhoneのようなぬるぬる漫才をしている間に強制的にソフトウェアアップデートを発生させてしまえばこちらのペースに持ち込めるはずだ。

・追いザクロ
落ち着いた空気から淡々と進んでいくネタ。一つ一つ分かりやすく、後半のこのタイミングだからこそゆっくり聴かせるのが効果的になったと思う。石井さんの間の取り方といわもとさんの丁寧な表情と動きで淀みなく観ることができる。石井さんの所作とか姿勢の良さってどこで鍛えたんだろう。ひとつも無駄が無いんだよな。
付け入る隙があるとするならば、いわもとさんがセットアップの下にネクタイを締めていないところか。首元にまだ余裕があることから銀のドクロのネックレスを装着させることで、あの完璧な間を乱すことができるだろう。

・下町モルモット
トリでみんなうっすら疲れてた頃にこのパワープレイは笑ってしまうなあ。入りは凝ったロジカルなネタになるのかと思ったら真面目に聞きすぎなくても大丈夫なやつだった。音で笑ってた。それに加えて要所で入るぽこやかざんさんの一言がハズレなく面白い。ぽこやかざんさんの太く大きい声にれいさんの高細い声がどう頑張っても負けるから、れいさんの負け役感が増してて良いのかな。
2人とも身長が高く、れいさんはスポーツマンのため身体能力も高い。となるとぽこやかざんさんをどうにか抑え込むしかない。思いつく策として、ぽこやかざんさんのあの黒のMA-1の前ファスナーを全閉じできれば勝機は見えてくる。


昼の一部を観てないからどこが通るかなんて分からないけど(最悪2部の演者が全落ちの可能性もあるんだから)、個人的に社会人漫才としてユキミザクラのようなネタが通ってくれないと悲しいなとも思う。客席の笑いは暖かかったけど、全ネタもっとウケても良いはずだった。笑い声のMAX音量を出すことに慣れてる人ばかりじゃなかったのかもしれない。大声でゲラゲラ笑うのって普段しないもんね。

社会人漫才王をどうやったら勝てるのか。
ここまで改めて全組を思い返してみたが、準決勝に上がっている組は基本的にすごい。上手いし面白いし人前で堂々としてるし。明らかに出来すぎている。
その分横一線でそれぞれ大きな差がつきにくい状態にまでなってきている。EDで審査員の方は「違うジャンルで比較するから点数つけにくい」「なるべく同点がないようにしたけど同点も生まれる」「6組くらいはここかな?ってのがあって残りはほぼ差がない」といったようなコメントを挙げていた。

全組が仕上がったネタをする中で、横一線を突き抜ける尖った部分を研ぎ上げて差別化をはかる必要があるのかな。1部観てないからなんとも言えないけれど、2部になっても各所で擦られ続けたブレインマッスルくらい印象に残ることをした方が良いのかもしれない。

じゃあ団子状態からどうやって差別化をはかれば良いのか。
準決勝に出てきた漫才をあえて大括りでカテゴリ化すると以下のようになると思う。細かく分けたらそりゃ全部違うけどね。変化球も変化球でない部分もあるしね。

しゃべくり漫才
・アダムシルバー
・ユキミザクラ
・ロクザンキ
・没企画
・下町モルモット

漫才コント
・キッスエンドラン
・マオグリーン
・ドウセイブン

コント漫才
・半熟ハラスメント
・フジミノフジコ

システム漫才?
・追いザクロ

変化球
・ナイルパーチ
・テクノ鳩
・夕げ

※漫才コントとコント漫才の違いは設定上の役柄を演じ切るのがコント漫才、素の自分に戻るのが漫才コントとするらしい(「答え合わせ」石田明 マガジンハウス新書より)ので、2人とも設定に入っているのをコント漫才としてます。

この競合関係の中で横一線を抜けるための差別化を図るのであれば、ジャンルとして被りの少ないシステム漫才の開発。もしくはキャラ漫才やリズム漫才という手もある。もしくは3人以上での漫才という選択肢も考えられる。それだけでちょっと単純比較されることは避けられそう。

社会人なのにすごいと思わせるようなとんでもない技術を見せつける(大声、早口、特技など)ことも差別化になるだろうか。必ずしもそうとは言えない。
何年前とかは漫才が上手いことがそれだけで差別化になっていたように思うけど、いまや上手いことは前提とされつつある。当たり前のようにM-1一回戦を通り始めてるし。没企画さんの添い寝ASMRネタくらいまでやられたらそれはそれで上手さが差別化になってるけども。そんなのが増えて高天井になったらたまったもんじゃないけどさ。

ということで、ここまで考えを巡らせた結論として、社会人漫才王で決勝に行くためにはキャラの強い3人以上でリズムに乗せたシステム漫才をすれば決勝に行ける可能性が非常に高まるのではないかと思われる。

つまり来年の社会人漫才王の決勝を目指すために、今からスリーピースバンドの結成を目指すのが最短のルートのようだと考えられる。ドラム、ベース、ギターのセッションで3人のリズム感を鍛えつつ人前に立つ練習をし、個性を磨き上げていく。エントリー開始が近づく頃にはキャラとリズムは身についているはず。そこからシステムをひとつ作れば非常に高い確率で決勝に進むことができるだろう。

ちなみに僕はベースを3日ほどやったことがある。もしこの戦略を実行できる方がいればぜひスリピースバンドに加えてほしい。責任は取れない。

〜完〜

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