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ヨシオクボ 2023SSコレクション

長らく放置気味になっていたnoteだが、展示会やショー取材のショートレポートを、これからはnoteをメインにアップしていこうと思う。引き続きTwitterでもアップ予定だが、noteでは速報的なTwitterレポートよりボリュームをアップさせ、撮影した画像を混ぜながらショートレポートをお送りしたい。

挨拶はこのぐらいにして、早速始めていこう。

今回取材に訪れたのは、久保嘉男による「ヨシオクボ(Yoshio Kubo)」2023SSコレクションのショー。会場は渋谷「ベルサール渋谷ファースト」になる。再開発が進む渋谷は、本当に高層ビルが増えた。特に、今回の会場とは別の方角だが、桜丘プロジェクトの規模の大きさは圧巻。

小雨が降り続ける渋谷の空

ショー会場内に入ると、真っ暗闇の空間が広がっていた。ショーが始まると、壁だと思っていた正面の向こう側から人が踊る姿が見えた。これから神聖な儀式を迎えるような、神秘的な踊りだった。

天井からぶら下がる薄い膜を通して見えて幻想的

今回のコレクションで最も印象的だったのは、リアルなルックとデザイン性の強いルックが混ざっていたことだ。

座席の関係上、撮影アングルが良かったバックスタイルで申し訳ない……。

ここ数シーズン、海外のモードシーンを観察していると、以前に増して非常に強いデザインのコレクションが増加傾向にある。2020年以降、モードシーンはリラックスでリアルなデザインが一気に増したが、その反動か、現在は王道モードと呼ぶにふさわしいインパクトあふれるデザインが見られ、今回のヨシオクボも同様だった。

ただ、面白かったのがコレクションの構成である。例えば、リアル→インパクトといったように、正反対である二つのデザインをグループにまとめて展開するのではなく、一瞬無秩序に感じられるほどリアルとインパクトが入り乱れて発表され、観ているこちら側に混沌した感覚をもたらしていた。

そして一見するとリアルなルックも、モデルはトライバルなマスクを被って登場することがあり、現実的な服が現実的ではない不思議さを醸す。

透明で造形的なマスクをつけるモデル

また、リアルルックはベーシックアイテムがベースのデザインだが、ディテールやシルエットに変化を加え、通常のベーシックとは似ていて異なるデザインへと昇華させてる。

袖に膨らみを持たせたジャケット

今回最も印象に残った素材はチュールだ。これはリアルとインパクト双方のルックに使用され、ブルー、グリーン、オレンジなどの明るいカラーで展開され、特にリアルルックに使用されたデザインに面白さを感じた。

ショートパンツの上からチュール製のパンツがレイヤードされ、脚の肌が見えたと思えば、全身を覆う黒いチュールの下に見えるのは白いシャツとパンツで肌は全く見えないなど、「チュール=透ける」というイメージを揺さぶる感覚を感じた。

コレクションの構成、アイテムのデザイン、一見すると統一感が感じられず、先ほど述べた無秩序感を感じてもおかしくない。だが、このコレクションを見ていて感じたのは、非常に「今っぽい」ということである。

「今っぽい」とはトレンドを意味した言葉ではなく、現在の社会を反映したように感じられたのだ。今、世の中は予想もしない出来事に襲われる日々が続いている。そんな時代の現実を、一つのコレクションの中に感じたヨシオクボ2023SSコレクションだった。

ショー終盤にも神秘的な踊りが披露される

モードは時代と密接に関係している。そこに面白さがあるのだ。

今回のレポートは以上になる。ショートレポートと言いながら、1,500字ほどになってしまった。冒頭で述べた通り、noteは展示会とショーの取材レポートがメインになるため、記事のアップは頻繁ではなく、コレクション時期に集中するため、数ヶ月ごとのアップになると思われる。

それではまた次回にお会いしましょう。

〈了〉

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現在、月額¥440(税込)で毎週2本のニュースレターを配信中。国内外で注目のコレクションをピックアップし、現在モードシーンに起きているデザインを読み解きます。展示会やショーを取材し、noteで公開した取材ショートレポートの中でも特に注目のコレクションは、より詳細な取材レポートをニュースレターで配信しています。

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