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ある日の渋谷で
「蝋纈(ろうけち)」ってご存知ですか?
七~八世紀に大陸から伝来した文様染めの一種。布帛に蝋で文様を置いて防染し、浸染によって文様を表わしたもの。文様は凸型で押したものが多い。奈良時代に盛んに行なわれたが平安中期以後その技術は廃絶。
[初出の実例]「一斑竹床子象牙為足、在蝋結褥」(出典:大和法隆寺文書-天平宝字五年(761)法隆寺縁起并資財帳)
「コトバンク」には、『百科事典マイペディア(平凡社)』と『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』の解説も。読んでいて楽しい🙂
「布帛(ふはく)」も知らなかったし、こういうときにジャンプできるのもありがたい( ´ ▽ ` )
で、この「蝋纈」は、つい先日予備校(渋谷校)で、ある先生との会話の中で出てきた言葉。その先生は日本の古美術にとても詳しく、いろいろなことを教えてくださるのだが、そのときの話題は、今年の正倉院展だった。
この「鹿草木夾纈屏風(しか くさき きょうけちのびょうぶ)」。左右対称の鹿が印象的で記憶に残っていた。しかし解説を読んでみても、どうにもイメージが沸かない…。
そこで、以下のサイトを参考にさせていただいた。
夾纈(きょうけち)・纐纈(こうけち)・﨟纈(ろうけち)を、まとめて「天平の三纈」と呼ぶ。はさむか・しぼるか・ロウをつけるかで、染めない部分を作るということか。
正倉院展で見たのは、夾纈の屏風だった(蝋纈ではなかった)。しかし「はさむ」技法を突き詰めると、あんなに色彩豊かな作品が生まれて、それが1300年間残って今でも見ることができるってやっぱりとんでもないことだな…。
大学院では、主に奈良時代の文学について学んでいるわけだが、「そこには人がいた」という当たり前のことを忘れないでいたい。それを意識することで、芸術でも文学でも歴史でも、具体的なイメージがどんどん立ち上がってくるのが本当に面白い。上代文学研究の醍醐味の一つに違いない。
今の僕は「上代文学研究」の「上」の一画目も書けないレベルだが。
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