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水曜日に夜廻りを続ける理由

2023年6月14日、今夜も夜廻りお裾分けの水曜日がやってきました。
このところ、喉の炎症が長引いていて、もうひとつ体調が良くない日々で、水曜日のたびに体力が削られているのを感じていました。30個のお弁当を作って、お手紙をつけて、マスクやタオルやお菓子を添える作業は、調子のいいときでも数時間、ゆっくりしか動けないときは半日以上かかるのです。
でも今夜、元気百倍、疲れが吹っ飛ぶような出来事がおきました!

生憎のお天気でしたが、30番までの数字が書かれた引換えのためのカードを配るときには雨もあがって、おっちゃんたちは、外の植え込みの端に新聞やビニール袋を敷いて、ちょこんと座って待っていました。

お弁当と、仲間が持ってきてくれたおにぎりや飲み物などを入れた白い袋をカードと引き換えに配り始めたとき、「みどりさん!」と声がかかりました。並んで待っている人たちと年恰好の変わらないおじさんでした。

「あんな、3年前くらいにエレベーターの下で待ってたんよ、覚えてる?」と聞かれ、うっすら記憶がよみがえってきました。紆余曲折あって、配る場所を何度も変えているのですが、そういえば以前よく見かけたお顔でした。

「一番しんどい時に助けてもらったから、一回来たかってん」

そう言って、みんなに配れるように個包装になったフィナンシェを30個くれました。たお弁当の袋を手にして歩き始めたおっちゃんたちに、「待って、待って!みんなひとつずつもらって!今もらったよ」と呼びかけて全員に配りました。

「配ってくれる人にもあるから」と、おじさんは私や仲間にもお菓子をくれました。

おっちゃんたちが立ち去った後、その人は、3年前に生活保護を受けたこと、その後少し事情が好転し、今は不自由なく暮らしていると教えてくれました。そして、

「少しやけど」

と1万円をくれたのです。

「自腹で毎週配ってるんやろ、ほんまにあの時は助かった」

と帽子をぬいで挨拶してくれました。涙が出るほど嬉しい出来事でした。

弁当、美味しかったよと何度も言ってくれるので、今日はたまたま29名だったために、1つ残っていたお弁当を渡しました。

「もらいに来たみたいやなあ、でも、嬉しいわ」

と言って、何度もお辞儀をしてくれました。

でもお礼を言うのはこちらの方です。こうやって覚えていてくれて、今日はちゃんと全員に配れるように数をそろえてお菓子をくれて、その上カンパまで。こんなに嬉しいことはありません。

体調不良も吹き飛ぶような夜でした。こんなことがあると、「リーズナブルに手早く30個のお弁当を作る」という趣味は、やっぱりやめられません。水曜日に夜廻りを続ける理由です。

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