『ジープニーに描かれる生: フィリピン社会にみる個とつながりの力』
ピナツボ・アエタ教育里親プログラムの元奨学生が、コロナで海外旅行がストップする寸前に訪比したときの写真をアップして、「また集まりましょう」と呼びかけてくれたので、「ああ、フィリピンに行きたいなぁ」という気持ちが高まっています。
今なら、もうとっくにクリスマスの支度が始まっているはず。何と言っても、世界で一番クリスマスが長い国ですから。クリスマスソングが流れ、パロール(星形の灯篭)やツリーが飾られていることでしょう。
注文していた本『ジープニーに描かれる生: フィリピン社会にみる個とつながりの力』が届いて、あっという間に読んでしまったので、マニラの町やサンバレスの村を駆ける派手に装飾された乗り合いジプニーが懐かしくてたまりません。
旅行者には乗りこなすのが難しいと言われるジプニーですが、料金は安く、車体に書かれている目的地や経由地のルート上ならどこでも乗れて、どこでも降りられて、慣れればとても便利です。
低い天井の細長い車内で、15~8名くらいの人が乗り合う車。
料金はリレーのように乗客から乗客へ、そして運転手へ。お釣りもまたリレーされてきます。
この小銭の受け渡しを、ずいぶん前ですが一度だけ私と一緒にマニラを旅した両親、特に父が面白がって、何度も「バヤド!(料金)」と声を出して隣のお客さんに回していた姿を思い出します。
元気なうちに、連れていっておいて良かった!
マニラに住んでいた頃に、大学や友達のつとめている事務所などに行ける路線のジプニーをよく利用していました。でも、研究者である西尾さんの本では、第二次大戦後に出現した庶民の足ジプニーの歴史をひもとき、車体に描かれているグラフィックアートから、親しくなった運転手やオーナーの夢や暮らしを鮮やかに読み解いていて流石です。
今度フィリピンに行ったら、そういう目でジプニーのボディに描かれた絵を見たいと思います。
愛する家族の顔が描かれているとき、排気ガスの中、窓のない車を一日中運転するドライバーが働く”理由”も一緒に町を走っている。農業をする人が描かれていたら、自分の出身地:どんなところから来たのかを忘れないための絵なのかもしれない…。
親しんだフィリピンのことを、また新しく知った気持ちです。
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