纐纈歩美『リンピッド・フレイム』は日本のジャズの真ん中を走っているのかもしれない Disk Review
ストレートアヘッドでコンテンポラリーなジャズを追求するアルト・サックス奏者、纐纈歩美(こうけつ あゆみ)が、5年半ぶりとなる新作をリリースした。
端正ながらジャジーなフィーリングを携えた演奏で注目度をアップさせてきた彼女だが、今回も活動10年目を迎えているレギュラー・クァルテットでオリジナル曲を揃えての意欲的な構成となっている。
そろそろジャズのワンホーン・クァルテットにおける1950~60年バイアスも溶けかかっているので、あえてポスト・スムースなサウンドであることを指摘する必要もないのかもしれないが、ポスト・スムースのなかで纐纈歩美が突出しているのはそのオリジナルが湛えるジャズ的な存在感が故であり、比べるべきは渡辺貞夫が磨き上げてきた日本のグルーヴであろう。
そのあたりは、“和ジャズ”や“侍ジャズ”とも一線を画するので、俯瞰した“纐纈歩美諭”をまとめてみたいものだ。
それはまた、佐藤浩一のピアノがレギュラーとして収まり続けていることと関係がありそうなのだけれど、そうすると“端正さ”をジャズに昇華できる曲と演奏に注目しながら聴き直してみなくてはと思ったりさせる、なかなか奥行きがありそうな仕上がりなのだ。